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「所で夜行さん、一枚いかがですか?」
悪狸が夜行に目を付けたのは、伏龍が五回、お屋形様が十二回尻尾を触った後の事。
「遠慮する」
「まあまあ、そう仰らず。ね、お屋形様?」
「うん、夜行。味は良かったよ」
「ぐっ…頂きます」
お屋形様に絶対服従のーーそもそも、それが普通なんだがーー夜行は、促されるや否やクッキーを一枚摘み、一思いに口に放り込む。「ぐっ」というくぐもった声を漏らしつつも、仁王立ちで急激な熱に耐える。「格が違う」「格が違うね」と珍獣二匹が囁き合っていたのは聞こえなかった事にした。
「フゥ」という密かなため息。夜行には美しい銀色の耳と尻尾が生えていた。
「あれは…?」
「狼だよ」
「かっけえ」
「似合う」
二人は囁き合う。それを聞いた夜行が若干照れて、下を向いた。
「ううん…でも、法則は分かりませんねえ」
「まだ三例目だからね。そうだ、滝も食べてみなよ」
「ダメですよ、滝さんまで動物になったら目立ちますもん。ばら撒きに影響出ます」
ナイスだ伏龍。逆に夜行は身内だけ庇った伏龍をギッと睨んだ。
「じゃ、じゃあ、次は夜行さんのリクエストに応えますよ!次は誰に食べてもらいます?」
ビビった伏龍が引き攣った笑顔で提案する。夜行は多少機嫌を直し、考えるそぶりを見せる。
ーーーーーーーーーー
「それで私のところに来たわけですか。結構なことですね。ええ、大変結構です」
弐號立会人室に可愛らしい狸と貂がいらして言う事には、この夜行にも愛らしい動物の仲間になってくれと。二人の後ろでは保護者の狼が底意地の悪い笑みを湛えてこちらを見ています。
「しかし申し訳ありません。立会いが入った時に耳が生えていますと…」
「大丈夫です!調整します!」
「…それにですね、お屋形様付きの内二人に尻尾が生えますと、外へ護衛に行く人員が…」
「私がこのナリなんだから、外に行く筈ないじゃない」
この二人に反論しようとした私が間違っておりました。
「仰る通りです。それでは、この爺も一枚頂きましょう」
早々に諦め、私はクッキーを一枚摘みます。カッと体が熱くなる感覚。何とか立ったままやり過ごすと、熱が引いたと同時に「おおー!」という珍獣達の歓声が響きます。
「はて、何の尻尾が生えましたかな?」
「狼です!二匹揃うと余計かっこいい!」
晴乃さんがパタパタと私たちから離れ、繁々とお眺めになります。「おおー!」と再び歓声を上げるのに合わせて尻尾がピンと伸ばされます。ーー確かに歓声を上げたくなる気持ちも分かるような。ええ。元々の無邪気さと相まって、これは中々愛らしい。
「判事からカメラを借りてこないと!」
「晴乃さん、どうかそれはおやめ下さい」
「カメラの礼にクッキーをくれてやれ」
「夜行、中々いいアイデアだね。早速行こうか」
仲良く歩き出した狸と貂の背を見送りながら、私はもう一匹の狼に声を掛けます。
「では、私は執務室に篭ります。夜行掃除人はお二人の護衛を宜しくお願い致します。尻尾、非常にお似合いですので、是非他の方にもお見せになれば宜しいかと」
「死ね」
暴言を吐きつつも、根が真面目な夜行掃除人は歩き出します。さて、私はここに隠れましょう。お二人がさらなる悪巧みにこの爺を巻き込まない事を願いつつ。
悪狸が夜行に目を付けたのは、伏龍が五回、お屋形様が十二回尻尾を触った後の事。
「遠慮する」
「まあまあ、そう仰らず。ね、お屋形様?」
「うん、夜行。味は良かったよ」
「ぐっ…頂きます」
お屋形様に絶対服従のーーそもそも、それが普通なんだがーー夜行は、促されるや否やクッキーを一枚摘み、一思いに口に放り込む。「ぐっ」というくぐもった声を漏らしつつも、仁王立ちで急激な熱に耐える。「格が違う」「格が違うね」と珍獣二匹が囁き合っていたのは聞こえなかった事にした。
「フゥ」という密かなため息。夜行には美しい銀色の耳と尻尾が生えていた。
「あれは…?」
「狼だよ」
「かっけえ」
「似合う」
二人は囁き合う。それを聞いた夜行が若干照れて、下を向いた。
「ううん…でも、法則は分かりませんねえ」
「まだ三例目だからね。そうだ、滝も食べてみなよ」
「ダメですよ、滝さんまで動物になったら目立ちますもん。ばら撒きに影響出ます」
ナイスだ伏龍。逆に夜行は身内だけ庇った伏龍をギッと睨んだ。
「じゃ、じゃあ、次は夜行さんのリクエストに応えますよ!次は誰に食べてもらいます?」
ビビった伏龍が引き攣った笑顔で提案する。夜行は多少機嫌を直し、考えるそぶりを見せる。
ーーーーーーーーーー
「それで私のところに来たわけですか。結構なことですね。ええ、大変結構です」
弐號立会人室に可愛らしい狸と貂がいらして言う事には、この夜行にも愛らしい動物の仲間になってくれと。二人の後ろでは保護者の狼が底意地の悪い笑みを湛えてこちらを見ています。
「しかし申し訳ありません。立会いが入った時に耳が生えていますと…」
「大丈夫です!調整します!」
「…それにですね、お屋形様付きの内二人に尻尾が生えますと、外へ護衛に行く人員が…」
「私がこのナリなんだから、外に行く筈ないじゃない」
この二人に反論しようとした私が間違っておりました。
「仰る通りです。それでは、この爺も一枚頂きましょう」
早々に諦め、私はクッキーを一枚摘みます。カッと体が熱くなる感覚。何とか立ったままやり過ごすと、熱が引いたと同時に「おおー!」という珍獣達の歓声が響きます。
「はて、何の尻尾が生えましたかな?」
「狼です!二匹揃うと余計かっこいい!」
晴乃さんがパタパタと私たちから離れ、繁々とお眺めになります。「おおー!」と再び歓声を上げるのに合わせて尻尾がピンと伸ばされます。ーー確かに歓声を上げたくなる気持ちも分かるような。ええ。元々の無邪気さと相まって、これは中々愛らしい。
「判事からカメラを借りてこないと!」
「晴乃さん、どうかそれはおやめ下さい」
「カメラの礼にクッキーをくれてやれ」
「夜行、中々いいアイデアだね。早速行こうか」
仲良く歩き出した狸と貂の背を見送りながら、私はもう一匹の狼に声を掛けます。
「では、私は執務室に篭ります。夜行掃除人はお二人の護衛を宜しくお願い致します。尻尾、非常にお似合いですので、是非他の方にもお見せになれば宜しいかと」
「死ね」
暴言を吐きつつも、根が真面目な夜行掃除人は歩き出します。さて、私はここに隠れましょう。お二人がさらなる悪巧みにこの爺を巻き込まない事を願いつつ。