亜面さんの専属
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「ねーえ?真琴ちゃん」
鈴を転がすような声とは、まさにこんな声のことをいうのだろう。亜面真琴はため息をつく。ネガティブになっているわけではない。この少女が完璧すぎるのだ。
「対戦相手が来るまで、暇じゃなぁい?退屈してなぁい?」
「お構いなく」
「ホント?もし真琴ちゃんが暇ならぁ、晴乃踊ろっか?新曲の振り付け見せたげる!」
そういって伏龍晴乃は椅子からピョコンと降り立つと、ひらりとターンを決めた。癖っ毛一つないよく手入れされたツインテールが揺れる。亜面と同い年であるにもかかわらず、彼女のツインテールは様になっていて、それもまた亜面を嘆息させる。引き締まったウエストは、ミニスカートから見える程よい肉付きの太ももは、実に蠱惑的。それでいてしっかりダンスができるように鍛えているのだろう。メリハリのある体だ。
彼女こそ一世を風靡するトップアイドル。日本国内にいて彼女を見ない日はないと言えよう。晴乃の専属立会人になった時、周りの男性立会人が羨んでいたのは記憶に新しい。能輪八號なんて実に一週間は煩かった。それがフラッシュバックして、亜面はまたため息をつく。ああ、代わっておくべきだった、できることなら、と、こんなところだ。
「あ、真琴ちゃん、晴乃の新しいCM見てくれた?」
「シャンプーの」
「うん!どうだったどうだった?」
「可愛かった、ですよ」
「ホント?うふふ。嬉しい。真琴ちゃんに褒められちゃった!」
ピョコピョコと跳ねる晴乃を見ながら、亜面はまたため息。それに気づいた晴乃が心配そうに近づき、顔を覗き込む。
「お構いなく」
「でもぉ、真琴ちゃんにため息なんて似合わないよぉ?あ!チューしてあげよっか?」
「結構です」
「えー、でもぉ、絶対元気でるよぉ?」
「あのですね、晴乃様。私女です」
「知ってるよー!でもでもぉ、愛に性別なんて関係なくない?」
「あります。少なくとも、私には」
「そっかぁ。真琴ちゃんは女の子しかダメかぁ」
「そうで…んん?」
「うふ。ひっかかったー!」
可愛く顔の横で手を合わせながら、彼女は飛び跳ねる。この少女も二ヶ月間会員として生き延びただけあって、悪知恵がきく。それもまた亜面を悩ませる一因だった。
「からかわないで下さい」
「真剣に言ったら聞いてくれる?」
「もう聞きました。断りました」
「それじゃダメなのー!」
ぶぅ!と頬を膨らませる彼女を見ている内に、思わず亜面に悪戯心が沸いた。両手で頬を押し潰す。ぶぶぶ、という息が漏れる音。彼女は怒ったようで、「酷いことしないで!」と改めて頬を膨らませる。また、押し潰す。
「もう!何するの?」
「余りに見事でしたので」
「酷い!振った相手に軽々しく触れるなんて、そうやって私を勘違いさせるのね!」
「はいはい」
亜面が肩を竦めれば、晴乃は不服そうに彼女を睨みつける。
「真琴ちゃん、どうしてそんなに冷たいの?晴乃の専属なのに」
「はあ…どの立会人もこの程度かと思いますが」
「専属でも?」
「専属でも」
「同い年でも?」
「同い年でも」
「アイドルでも?」
「アイドルでも」
そっかぁ、と、彼女は俯く。ごめんね!と思わず抱きしめたくなるその姿に亜面は狼狽える。抱きしめようここは。亜面は決意する。しかし、亜面にとっては幸運な、そして晴乃にとっては不幸なことに、亜面が行動を起こす前に晴乃が顔を上げた。
「お屋形様になったら彼女にしてくれる?」
「は?」
「だからぁ、晴乃が屋形越えしたら、好きになってくれる?」
つまり、専属でも同い年でもアイドルでもだめなら、新たな肩書きを手にしてしまえと。なんと短絡的な事だろう。亜面は肩を落とす。
「ですから、私達は女同士です」
「でも、好きになっちゃったんだもん」
手に入れるから。お金も、あなたも、何もかも!彼女はぴっと亜面を指差し、それはもう美しく微笑んだ。
鈴を転がすような声とは、まさにこんな声のことをいうのだろう。亜面真琴はため息をつく。ネガティブになっているわけではない。この少女が完璧すぎるのだ。
「対戦相手が来るまで、暇じゃなぁい?退屈してなぁい?」
「お構いなく」
「ホント?もし真琴ちゃんが暇ならぁ、晴乃踊ろっか?新曲の振り付け見せたげる!」
そういって伏龍晴乃は椅子からピョコンと降り立つと、ひらりとターンを決めた。癖っ毛一つないよく手入れされたツインテールが揺れる。亜面と同い年であるにもかかわらず、彼女のツインテールは様になっていて、それもまた亜面を嘆息させる。引き締まったウエストは、ミニスカートから見える程よい肉付きの太ももは、実に蠱惑的。それでいてしっかりダンスができるように鍛えているのだろう。メリハリのある体だ。
彼女こそ一世を風靡するトップアイドル。日本国内にいて彼女を見ない日はないと言えよう。晴乃の専属立会人になった時、周りの男性立会人が羨んでいたのは記憶に新しい。能輪八號なんて実に一週間は煩かった。それがフラッシュバックして、亜面はまたため息をつく。ああ、代わっておくべきだった、できることなら、と、こんなところだ。
「あ、真琴ちゃん、晴乃の新しいCM見てくれた?」
「シャンプーの」
「うん!どうだったどうだった?」
「可愛かった、ですよ」
「ホント?うふふ。嬉しい。真琴ちゃんに褒められちゃった!」
ピョコピョコと跳ねる晴乃を見ながら、亜面はまたため息。それに気づいた晴乃が心配そうに近づき、顔を覗き込む。
「お構いなく」
「でもぉ、真琴ちゃんにため息なんて似合わないよぉ?あ!チューしてあげよっか?」
「結構です」
「えー、でもぉ、絶対元気でるよぉ?」
「あのですね、晴乃様。私女です」
「知ってるよー!でもでもぉ、愛に性別なんて関係なくない?」
「あります。少なくとも、私には」
「そっかぁ。真琴ちゃんは女の子しかダメかぁ」
「そうで…んん?」
「うふ。ひっかかったー!」
可愛く顔の横で手を合わせながら、彼女は飛び跳ねる。この少女も二ヶ月間会員として生き延びただけあって、悪知恵がきく。それもまた亜面を悩ませる一因だった。
「からかわないで下さい」
「真剣に言ったら聞いてくれる?」
「もう聞きました。断りました」
「それじゃダメなのー!」
ぶぅ!と頬を膨らませる彼女を見ている内に、思わず亜面に悪戯心が沸いた。両手で頬を押し潰す。ぶぶぶ、という息が漏れる音。彼女は怒ったようで、「酷いことしないで!」と改めて頬を膨らませる。また、押し潰す。
「もう!何するの?」
「余りに見事でしたので」
「酷い!振った相手に軽々しく触れるなんて、そうやって私を勘違いさせるのね!」
「はいはい」
亜面が肩を竦めれば、晴乃は不服そうに彼女を睨みつける。
「真琴ちゃん、どうしてそんなに冷たいの?晴乃の専属なのに」
「はあ…どの立会人もこの程度かと思いますが」
「専属でも?」
「専属でも」
「同い年でも?」
「同い年でも」
「アイドルでも?」
「アイドルでも」
そっかぁ、と、彼女は俯く。ごめんね!と思わず抱きしめたくなるその姿に亜面は狼狽える。抱きしめようここは。亜面は決意する。しかし、亜面にとっては幸運な、そして晴乃にとっては不幸なことに、亜面が行動を起こす前に晴乃が顔を上げた。
「お屋形様になったら彼女にしてくれる?」
「は?」
「だからぁ、晴乃が屋形越えしたら、好きになってくれる?」
つまり、専属でも同い年でもアイドルでもだめなら、新たな肩書きを手にしてしまえと。なんと短絡的な事だろう。亜面は肩を落とす。
「ですから、私達は女同士です」
「でも、好きになっちゃったんだもん」
手に入れるから。お金も、あなたも、何もかも!彼女はぴっと亜面を指差し、それはもう美しく微笑んだ。