過ぎ去るはエーデルワイス
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「そういや、苗字同じだな。親だったりしたか?」
「まさか!そんな事ないよ」
そういう彼女の表情は険しい。極め付けは背中に打たれる「親子」とのモールス。
「安心した。流石にクラスメートの親は寝覚めが悪い」
「そうだよね」
彼女は曖昧な表情を浮かべた。そして、「ごめんね、私行かないと」と歩き出す。その行く先は、さっき猫議員が入っていったホテル。す、と伏龍が目を細める。
「ねえ、近藤さん。男の人には気をつけなよ?」
近藤さんの歩みが一瞬止まる。そして、伏龍の言葉を無視する形でそのまま歩いて、ホテルの中に消えていった。
「ホントに彼女を呼ぶものなんだ…」
間違った知識を与えてしまった罪悪感はあれど、訂正する勇気もない。伏龍の顔を盗み見れば、薄く笑いを湛えていて引いた。コイツの悪癖が爆発したらしい。
「しかし、嫉妬されちゃったよ。光栄だね」
「はぁ?」
「弥鱈君と付き合ってるの、羨ましくって堪らないんだって」
「羨ましいって、退学になったばっかなんだけど」
「とはいえ、頭は学校一良いし背は高いし足も長いけど、そんな事よりもっと素敵なアピールポイントがあるんだよね。なんだと思う?」
半月型にカーブを描く口許が、今日ばかりは凶悪に映る。
「家が金持ち」
「確かに超魅力的だけど、残念。正解は'同年代'でしたー」
「はぁ?」
「誰にも隠さなくていい恋愛って、それだけで羨ましがられるものなんだよ」
「隠さなければいい」
「弥鱈君はさ、私が猫議員と付き合ってるって聞いたらどう思う?」
なんてキラーセンテンス。俺は脳裏に浮かんだ絵面に吐き気を催した。
「やめてくれ。親友の彼氏があれとか、俺の名誉にも関わりそうだ」
「大丈夫、私もヤだから。でも、分かったでしょ?そういう人と付き合うと、人には言えなくなるの」
言わないでくれと思われることは、当然自分から言えない。近藤さんは、猫議員を追ってホテルに入っていった近藤さんは、言えなかったのだ。直前に入っていった男が自分の相手だと。そんな彼女に俺たちはどう映っただろう。誰から見ても普通のカップルとして映る俺たちは。
「アイツは、脅されてんのか」
昼間の伏龍の言葉を借りるなら、'四方八方脅しまくり'の猫議員ならありえる話だと思ったが、伏龍は首を横に振る。
「選んだ相手だよ。多分、金とか地位とかで」
「それで選んだ結果誰にも自慢出来ねえなら、本末顛倒だな」
「ほんとだよねえ」
しみじみと伏龍は頷いた。
「付き合ってるのにそれを知られるのが恥ずかしいだなんて、ちょっと可哀想」
「確かにな」
伏龍は俺が萩原先生に「デートです」とふざけて言った時も、近藤さんに付き合ってると嘘をついた時も、自然にそれに乗った。俺も彼女も時と場合によってそうすることを苦に思わない。お互いを誇りに思うからだ。恐らく、酒井のカップルも。
近藤さんは、どんな思いで付き合うのだろうか。疑問に思う俺の脳裏に浮かぶのは、近藤聖司が所持していたボロボロの財布と携帯。
「まさか!そんな事ないよ」
そういう彼女の表情は険しい。極め付けは背中に打たれる「親子」とのモールス。
「安心した。流石にクラスメートの親は寝覚めが悪い」
「そうだよね」
彼女は曖昧な表情を浮かべた。そして、「ごめんね、私行かないと」と歩き出す。その行く先は、さっき猫議員が入っていったホテル。す、と伏龍が目を細める。
「ねえ、近藤さん。男の人には気をつけなよ?」
近藤さんの歩みが一瞬止まる。そして、伏龍の言葉を無視する形でそのまま歩いて、ホテルの中に消えていった。
「ホントに彼女を呼ぶものなんだ…」
間違った知識を与えてしまった罪悪感はあれど、訂正する勇気もない。伏龍の顔を盗み見れば、薄く笑いを湛えていて引いた。コイツの悪癖が爆発したらしい。
「しかし、嫉妬されちゃったよ。光栄だね」
「はぁ?」
「弥鱈君と付き合ってるの、羨ましくって堪らないんだって」
「羨ましいって、退学になったばっかなんだけど」
「とはいえ、頭は学校一良いし背は高いし足も長いけど、そんな事よりもっと素敵なアピールポイントがあるんだよね。なんだと思う?」
半月型にカーブを描く口許が、今日ばかりは凶悪に映る。
「家が金持ち」
「確かに超魅力的だけど、残念。正解は'同年代'でしたー」
「はぁ?」
「誰にも隠さなくていい恋愛って、それだけで羨ましがられるものなんだよ」
「隠さなければいい」
「弥鱈君はさ、私が猫議員と付き合ってるって聞いたらどう思う?」
なんてキラーセンテンス。俺は脳裏に浮かんだ絵面に吐き気を催した。
「やめてくれ。親友の彼氏があれとか、俺の名誉にも関わりそうだ」
「大丈夫、私もヤだから。でも、分かったでしょ?そういう人と付き合うと、人には言えなくなるの」
言わないでくれと思われることは、当然自分から言えない。近藤さんは、猫議員を追ってホテルに入っていった近藤さんは、言えなかったのだ。直前に入っていった男が自分の相手だと。そんな彼女に俺たちはどう映っただろう。誰から見ても普通のカップルとして映る俺たちは。
「アイツは、脅されてんのか」
昼間の伏龍の言葉を借りるなら、'四方八方脅しまくり'の猫議員ならありえる話だと思ったが、伏龍は首を横に振る。
「選んだ相手だよ。多分、金とか地位とかで」
「それで選んだ結果誰にも自慢出来ねえなら、本末顛倒だな」
「ほんとだよねえ」
しみじみと伏龍は頷いた。
「付き合ってるのにそれを知られるのが恥ずかしいだなんて、ちょっと可哀想」
「確かにな」
伏龍は俺が萩原先生に「デートです」とふざけて言った時も、近藤さんに付き合ってると嘘をついた時も、自然にそれに乗った。俺も彼女も時と場合によってそうすることを苦に思わない。お互いを誇りに思うからだ。恐らく、酒井のカップルも。
近藤さんは、どんな思いで付き合うのだろうか。疑問に思う俺の脳裏に浮かぶのは、近藤聖司が所持していたボロボロの財布と携帯。