過ぎ去るはエーデルワイス
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滝さんの表情にアテレコするのなら、まさか、まさかこんなことになるなんて!とでもいった感じ。強者が這いつくばる姿にしか興味がありませんと公言している…あれ?今も言ってるのかな。とにかく、そう言って憚らない弥鱈君が、まさか私を引っ叩くとは夢にも思わなかったのだろう。なんなら私もここまでされるとは思っていなかった。そこまで追い詰められていたということだろう。基本的にここの人達に相談するとか愚痴を言うとかいう発想はない。それで誰かに八つ当たりをして、どんどん関係を悪くさせる無限ループなので目も当てられないのだが、弥鱈君もきっとそのループの中でずっと私に対する鬱憤を溜め続けてきたのだろう。
馬鹿である。みんな馬鹿だが、今回の場合は弥鱈君が。独りで背負って何処へ行くやら。
私は権田さんが持ってきてくれた氷を頬に当て直す。いい具合に氷の角が溶けてきて気持ちいい。
「しかし、弥鱈のヤロウはなんだってんだ!」
滝さんがそう声を上げる。そちらを見やると、彼の表情が驚きから怒りへと変わっているのに気づいた。部下のために怒ってくれるいい人だ。ただ、ちょっと罪悪感が混ざっているのが見て取れる。けしかけたことに対してだろう。うん。いい人だ。私はちょっと笑った。
「なあ、権田もそう思わねえか」
「余り褒められた行為ではありませんね。伏龍さん、一体彼と何が?」
「色々ですよ」
「なあ、なんでお前は何でもかんでもそうなんだ」
私は首を傾げた。滝さんの怒りの矛先は、いつの間にか私へとシフトしていた。
「いつか話してくれるだろう、いつか話してくれるだろうと思って待ってたが、いつまで経ってもなんにも明かしゃしねえ。お前にゃ秘密が多すぎる!」
「そんな」
「俺がそんなに頼りねえか!娘ほどに離れてんだ、ちったあ大人しく心配させろ!」
「だって」
「だってもさってもねえ!お前がどんなに納得しててもな、こっちはお前が突然殴られた様にしか見えてねえ!お前が言わねえなら、こっちは勝手に推測して、勝手にやるぞ!」
弥鱈取っ捕まえてくる!と車椅子のロックを外した滝さんに、権田さんが「お伴します」と声を掛ける。私は慌てて二人を止めた。「なんだお前は!」と、滝さんは勢いそのままに怒ってくる。
「待ってください、言えないんじゃなくて、言い切れないから色々って言ったんです!ホントにたくさんあったんです。友達だったんです。青春全部あいつとだったんです!」
権田さんが車椅子に掛けていた手を下ろし、滝さんが車椅子をくるりと反転させる。話せという事らしかった。一方、水を向けられた私は早速後悔していた。「友達だった」という、自分が言った言葉に、ズシンと心にのしかかられてしまったのだ。
泣かずに話し切ることが出来るかしら。私はぎゅっと瞬きをして、話し始めた。
馬鹿である。みんな馬鹿だが、今回の場合は弥鱈君が。独りで背負って何処へ行くやら。
私は権田さんが持ってきてくれた氷を頬に当て直す。いい具合に氷の角が溶けてきて気持ちいい。
「しかし、弥鱈のヤロウはなんだってんだ!」
滝さんがそう声を上げる。そちらを見やると、彼の表情が驚きから怒りへと変わっているのに気づいた。部下のために怒ってくれるいい人だ。ただ、ちょっと罪悪感が混ざっているのが見て取れる。けしかけたことに対してだろう。うん。いい人だ。私はちょっと笑った。
「なあ、権田もそう思わねえか」
「余り褒められた行為ではありませんね。伏龍さん、一体彼と何が?」
「色々ですよ」
「なあ、なんでお前は何でもかんでもそうなんだ」
私は首を傾げた。滝さんの怒りの矛先は、いつの間にか私へとシフトしていた。
「いつか話してくれるだろう、いつか話してくれるだろうと思って待ってたが、いつまで経ってもなんにも明かしゃしねえ。お前にゃ秘密が多すぎる!」
「そんな」
「俺がそんなに頼りねえか!娘ほどに離れてんだ、ちったあ大人しく心配させろ!」
「だって」
「だってもさってもねえ!お前がどんなに納得しててもな、こっちはお前が突然殴られた様にしか見えてねえ!お前が言わねえなら、こっちは勝手に推測して、勝手にやるぞ!」
弥鱈取っ捕まえてくる!と車椅子のロックを外した滝さんに、権田さんが「お伴します」と声を掛ける。私は慌てて二人を止めた。「なんだお前は!」と、滝さんは勢いそのままに怒ってくる。
「待ってください、言えないんじゃなくて、言い切れないから色々って言ったんです!ホントにたくさんあったんです。友達だったんです。青春全部あいつとだったんです!」
権田さんが車椅子に掛けていた手を下ろし、滝さんが車椅子をくるりと反転させる。話せという事らしかった。一方、水を向けられた私は早速後悔していた。「友達だった」という、自分が言った言葉に、ズシンと心にのしかかられてしまったのだ。
泣かずに話し切ることが出来るかしら。私はぎゅっと瞬きをして、話し始めた。