芍薬の意地
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「こっわ、あの人こっわ!何なんスか獏さんあの人!」
「おい嘘喰い…廃坑で何を見たんだ」
引き気味の二人に笑いつつ、俺はとりあえず、伽羅さんに廃坑での乱入者の話をしてやる。ハルとの取引を、キタロー君の説得を、佐田国への説教を。そして、それら全てを彼女がどんな状態で行なったのかを。
「そりゃあ…」
「うん、そうなんだ伽羅さん。化け物はキタロー君じゃない、晴乃チャンの方なんだよ」
「へ?」
「梶ちゃん…。いい?怪我してるから可哀想じゃないんだ。よく思い出して。あの日望みを全部叶えて帰ったのは晴乃チャンだけだよ」
「あっ…」
「厄介なんだ、あの子は。あの宇宙人がわざわざルールを曲げてキタロー君を生かしてまで仲間に引き入れるくらいにはね」
生きてるっていうなら、是非会って話してみたいなあ。俺が呟くと、梶ちゃんが「やめといた方がいいっすよ、絶対」と呟き返した。
ーーーーーーーーーー
「なんや、チョロかったのう」
門倉がそう笑うのに相槌を打つ。確かに想定よりずっとチョロかった。しかし、それは己の勢力に立会人がいたからに他ならない。
思い返すのは、倉庫裏でのやり取り。対峙した勢力の幹部に妙な余裕がある事は感じ取っていた。しかし、決定打がない。言い得ぬ不安に安易に要求を跳ね除ける踏ん切りがつかず、迷っていた時のこと。
「泉江外務卿、要求を呑むべきです。お互いに立場がある。平和的にやるべきでしょう」
門倉がそう言った。不思議なことに「ワシが伏兵を潰してきたる」と、そう聞こえた。
「はぁ…止むを得まい、門倉、金を」
門倉が車がある方向へ捌ける。その2分後、死に体になった相手の伏兵たちが、文字通り降ってきた。
あの時、もし連れていたのが掃除人だったら、あの動きは出来ただろうか。そう自問するも答えは自明。立会人だったから出来た連携だった。もっと言えば、気心の知れた門倉立会人だったからこそ出来た連携だった。
ブレインが二人いる。それだけでこんなにも楽になるのか。次は立会人に掃除人をつけて、完全な別働隊を作ったらもっと楽になるのかもしれない。
簡単なことだった。頼るだけでいい。一人でできないこともある。それを認めるだけで良かったんだ。
「ケーキを買って帰りたい」
「なんや、突然」
「晴乃のお陰で今日は楽だったからな。その礼をしようと思ってな。もちろん、お前の分もだ。甘いものは平気か?」
門倉は「珍しいこともあるもんじゃ」と笑った。私もそう思う。
「帰って、目蒲を全力でからかうんだろ?口実があってよかったじゃないか」
「なら、ケーキは四つじゃの」
門倉は例の不謹慎な笑顔で笑う。つられて私も楽しみになってきた。あの鉄面皮はどんな反応を返すんだろうか。
「おい嘘喰い…廃坑で何を見たんだ」
引き気味の二人に笑いつつ、俺はとりあえず、伽羅さんに廃坑での乱入者の話をしてやる。ハルとの取引を、キタロー君の説得を、佐田国への説教を。そして、それら全てを彼女がどんな状態で行なったのかを。
「そりゃあ…」
「うん、そうなんだ伽羅さん。化け物はキタロー君じゃない、晴乃チャンの方なんだよ」
「へ?」
「梶ちゃん…。いい?怪我してるから可哀想じゃないんだ。よく思い出して。あの日望みを全部叶えて帰ったのは晴乃チャンだけだよ」
「あっ…」
「厄介なんだ、あの子は。あの宇宙人がわざわざルールを曲げてキタロー君を生かしてまで仲間に引き入れるくらいにはね」
生きてるっていうなら、是非会って話してみたいなあ。俺が呟くと、梶ちゃんが「やめといた方がいいっすよ、絶対」と呟き返した。
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「なんや、チョロかったのう」
門倉がそう笑うのに相槌を打つ。確かに想定よりずっとチョロかった。しかし、それは己の勢力に立会人がいたからに他ならない。
思い返すのは、倉庫裏でのやり取り。対峙した勢力の幹部に妙な余裕がある事は感じ取っていた。しかし、決定打がない。言い得ぬ不安に安易に要求を跳ね除ける踏ん切りがつかず、迷っていた時のこと。
「泉江外務卿、要求を呑むべきです。お互いに立場がある。平和的にやるべきでしょう」
門倉がそう言った。不思議なことに「ワシが伏兵を潰してきたる」と、そう聞こえた。
「はぁ…止むを得まい、門倉、金を」
門倉が車がある方向へ捌ける。その2分後、死に体になった相手の伏兵たちが、文字通り降ってきた。
あの時、もし連れていたのが掃除人だったら、あの動きは出来ただろうか。そう自問するも答えは自明。立会人だったから出来た連携だった。もっと言えば、気心の知れた門倉立会人だったからこそ出来た連携だった。
ブレインが二人いる。それだけでこんなにも楽になるのか。次は立会人に掃除人をつけて、完全な別働隊を作ったらもっと楽になるのかもしれない。
簡単なことだった。頼るだけでいい。一人でできないこともある。それを認めるだけで良かったんだ。
「ケーキを買って帰りたい」
「なんや、突然」
「晴乃のお陰で今日は楽だったからな。その礼をしようと思ってな。もちろん、お前の分もだ。甘いものは平気か?」
門倉は「珍しいこともあるもんじゃ」と笑った。私もそう思う。
「帰って、目蒲を全力でからかうんだろ?口実があってよかったじゃないか」
「なら、ケーキは四つじゃの」
門倉は例の不謹慎な笑顔で笑う。つられて私も楽しみになってきた。あの鉄面皮はどんな反応を返すんだろうか。