芍薬の意地
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「あいつのがそういうの知ってるんじゃない?」
休憩室でメカと会って、話していた時のこと。誰と誰が付き合っているだの、誰が振られただのの話に発展してのメカの一言だった。確かにのう。チビ助に相談する奴は多い。自ずとそういう情報も集まっとるじゃろうが…
今のでもっと面白い事を思いついてしまったけえ、その話はもうええわ。
「あいつ…?」
「事務の」
「滝さんか」
「なんでそうなる」
「ボケてみただけじゃ」
頑なに呼ばんのんか、メカ!
内心では大爆笑じゃった。いつも三人称としてあれとかそれとか、二人称としておいとかお前とか。メカがチビ助の名前を呼んだのを聞いたことがない。照れとるんじゃろうか。やとしたらむっちゃおもろいぞ、メカ。おっさんに片足突っ込んどいて何やっとるんじゃ、メカ。
「あー、チビ助は確かにそういうの詳しそうじゃのう。今度話振ってみるわ」
ワシはそう言ってそそくさと休憩室を後にする。あかん、このままおったらマジで笑ってまうわ。
ーーーーーーーーーー
「ちゅうことがあっての。むっちゃおもろないか?是非今後全力でからかいたいと思っとるんじゃ」
「確かに晴乃に失礼じゃないかとは思うが…お前もしかして、その話をする為だけにわざわざ私の執務室に来たんじゃないだろうな」
「むしろそれ以外にここに来る理由なんてないじゃろ」
「喧嘩なら買うぞ、なあ、門倉」
こうしている間にも、泉江の後ろを彼女の部下が行き来を繰り返す。今すぐに駆けつけられる掃除人を探しているようやった。
「なんや、今日も人手不足か?」
「ああ、お陰様でな。週に一回は狙われてる」
「後の6日は」
「反乱因子を押さえつけたり、取引をしたり、潰したり、お前らの尻拭いをしたり、色々だ」
「今回は」
「狙われた」
「大変じゃのう。一つ知恵をやろうか」
「いらん。時間がない。去れ」
「まあ、そう言うなや。ええか、すぐにそこの内線を事務につないでチビ助を呼び出せ。で、掃除人が足りんけえ、門倉を貸してくれって一言言うんじゃ。そしたら解決じゃ」
はあ?!と、泉江は大きな声を出した。お前らに借りなんか作れるか!絶対嫌だ!泉江の言葉とは反対に、彼女の部下が期待を込めた目でこちらを見る。
「じゃが泉江、チビ助はそれを待ち望んどるぞ。お前と合いそうな立会人には根回しが終わっとる。ワシも、メカも、銅寺も、亜面も。他にも打診されとるのはおる。お前はもう、立会人への貸し借りなんか考えんでようなったんじゃ」
「は?」
「チビ助は制度として整えてから言う気じゃったが、必要なのは今じゃろ。今電話せえ」
「いや、しかしだな…」
「ほら、長考の時間なんかないやろ。ワシがかけたるわ。その代わりチビ助に弱虫や思われてもワシは知らんぞ」
受話器を持ち上げてしまえば、泉江はそれを慌てて取り上げる。ゴクリと生唾を呑むと、自らの指で事務に掛けた。
程なく、やたらと弾んだチビ助の声が漏れ聞こえてきた。それを聞いた泉江の表情から緊張が消え去り、彼女はちゃんと教えた通りの台詞を言った。
休憩室でメカと会って、話していた時のこと。誰と誰が付き合っているだの、誰が振られただのの話に発展してのメカの一言だった。確かにのう。チビ助に相談する奴は多い。自ずとそういう情報も集まっとるじゃろうが…
今のでもっと面白い事を思いついてしまったけえ、その話はもうええわ。
「あいつ…?」
「事務の」
「滝さんか」
「なんでそうなる」
「ボケてみただけじゃ」
頑なに呼ばんのんか、メカ!
内心では大爆笑じゃった。いつも三人称としてあれとかそれとか、二人称としておいとかお前とか。メカがチビ助の名前を呼んだのを聞いたことがない。照れとるんじゃろうか。やとしたらむっちゃおもろいぞ、メカ。おっさんに片足突っ込んどいて何やっとるんじゃ、メカ。
「あー、チビ助は確かにそういうの詳しそうじゃのう。今度話振ってみるわ」
ワシはそう言ってそそくさと休憩室を後にする。あかん、このままおったらマジで笑ってまうわ。
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「ちゅうことがあっての。むっちゃおもろないか?是非今後全力でからかいたいと思っとるんじゃ」
「確かに晴乃に失礼じゃないかとは思うが…お前もしかして、その話をする為だけにわざわざ私の執務室に来たんじゃないだろうな」
「むしろそれ以外にここに来る理由なんてないじゃろ」
「喧嘩なら買うぞ、なあ、門倉」
こうしている間にも、泉江の後ろを彼女の部下が行き来を繰り返す。今すぐに駆けつけられる掃除人を探しているようやった。
「なんや、今日も人手不足か?」
「ああ、お陰様でな。週に一回は狙われてる」
「後の6日は」
「反乱因子を押さえつけたり、取引をしたり、潰したり、お前らの尻拭いをしたり、色々だ」
「今回は」
「狙われた」
「大変じゃのう。一つ知恵をやろうか」
「いらん。時間がない。去れ」
「まあ、そう言うなや。ええか、すぐにそこの内線を事務につないでチビ助を呼び出せ。で、掃除人が足りんけえ、門倉を貸してくれって一言言うんじゃ。そしたら解決じゃ」
はあ?!と、泉江は大きな声を出した。お前らに借りなんか作れるか!絶対嫌だ!泉江の言葉とは反対に、彼女の部下が期待を込めた目でこちらを見る。
「じゃが泉江、チビ助はそれを待ち望んどるぞ。お前と合いそうな立会人には根回しが終わっとる。ワシも、メカも、銅寺も、亜面も。他にも打診されとるのはおる。お前はもう、立会人への貸し借りなんか考えんでようなったんじゃ」
「は?」
「チビ助は制度として整えてから言う気じゃったが、必要なのは今じゃろ。今電話せえ」
「いや、しかしだな…」
「ほら、長考の時間なんかないやろ。ワシがかけたるわ。その代わりチビ助に弱虫や思われてもワシは知らんぞ」
受話器を持ち上げてしまえば、泉江はそれを慌てて取り上げる。ゴクリと生唾を呑むと、自らの指で事務に掛けた。
程なく、やたらと弾んだチビ助の声が漏れ聞こえてきた。それを聞いた泉江の表情から緊張が消え去り、彼女はちゃんと教えた通りの台詞を言った。