捩花そよぐ夜の道
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「聞けなかったなあ」
目蒲さんがくれたタオルをビニール袋から取り出しつつ、つい言葉を漏らす。
横に男の人座ってませんでした?
それだけの事で、特に疚しいことは一つもないはずなんだけれども。でも、駄目だった。もし聞いたら、彼は自分が私を閉じ込めた事実を再認識して悲しむだろう。容易に想像できた。彼は今自分の心を修復している最中だ。そこにわざわざ傷を付ける必要はない。なら、彼はどうだろう。
彼はただの後輩だ。特に深い仲って訳ではない。あちらはあわよくばと思っていたようだが、いかんせん私にその気がない。だから隠すほどの相手ではない。あいつは一生懸命な奴だけど、努力が空回りしがちな奴だった。クラス経営も努力が裏目に出て荒れちゃったから、気分転換のつもりで誘ったライブだった。一緒に行くことは叶わなかったけど、あいつはあの場で楽しめていたんだろうか。気分転換をして、また明日から頑張る気持ちになれているだろうか。これは自分で選んだ道だが、残してきたものが時々気になってしまう。そして振り返りそうになってしまうのだ。
でも、それはもう出来ない。私の場所は、もうこの場所。ここにしかいられない。
くすりと笑い、立ち上がる。タオルを壁に飾ろう。せっかく貰ったものだから。目蒲さんも好きだと言ってくれた歌を口ずさめば、少しだけ気分が上がった。
目蒲さんがくれたタオルをビニール袋から取り出しつつ、つい言葉を漏らす。
横に男の人座ってませんでした?
それだけの事で、特に疚しいことは一つもないはずなんだけれども。でも、駄目だった。もし聞いたら、彼は自分が私を閉じ込めた事実を再認識して悲しむだろう。容易に想像できた。彼は今自分の心を修復している最中だ。そこにわざわざ傷を付ける必要はない。なら、彼はどうだろう。
彼はただの後輩だ。特に深い仲って訳ではない。あちらはあわよくばと思っていたようだが、いかんせん私にその気がない。だから隠すほどの相手ではない。あいつは一生懸命な奴だけど、努力が空回りしがちな奴だった。クラス経営も努力が裏目に出て荒れちゃったから、気分転換のつもりで誘ったライブだった。一緒に行くことは叶わなかったけど、あいつはあの場で楽しめていたんだろうか。気分転換をして、また明日から頑張る気持ちになれているだろうか。これは自分で選んだ道だが、残してきたものが時々気になってしまう。そして振り返りそうになってしまうのだ。
でも、それはもう出来ない。私の場所は、もうこの場所。ここにしかいられない。
くすりと笑い、立ち上がる。タオルを壁に飾ろう。せっかく貰ったものだから。目蒲さんも好きだと言ってくれた歌を口ずさめば、少しだけ気分が上がった。