ギリアの元へ
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銅寺さんと門倉さんが部屋のドアをノックしたのは、丁度そんなタイミング。私は立ち上がり、二人を招き入れた。
「わー目蒲立会人、敵を作りそうなシチュエーション」
「是非能輪に見せてやりとうなるのう。呼ぶか」
「はぁ…やめろ門っち」
挨拶もそこそこに目蒲さんをからかい始めた二人に、彼は大きなため息で返す。
「この人いつも女の子の部屋にお夕飯目当てで来るんですよ?どう思います?」
「あー、そら失礼じゃのう。メカ、たまにはデートにでも誘ったれや」
「これがもっと従順で可愛ければ考えるんですがねぇ」
「うわ傷付いた!目蒲さん流石にそれは無しです!」
「ねー先生、OK?僕も食べにきてOK?」
「銅寺立会人…このタイミングでぶっこむのは…」
「あ、いいですよー。でも何か食材持ってきてくれないと困りますからねー。ウチの冷蔵庫に何もなくなっちゃう」
「晴乃さん…」
咎めかけて、亜面さんがちょっと考える。そんな彼女が可愛らしくて、私は先を促す。
「亜面さん亜面さん、亜面さんもぶっこんでいいんですよ」
「いえそんな…あの…その、私も来ていいですか?」
「ふふ、もちろんですよー」
目蒲さんが不服そうに黙り込み、それを門倉さんが心底楽しそうな笑顔でチラ見する。なにが起きているかはよく分からないけど、目蒲さんが友達に恵まれていないのはよく分かった。夕湖もその光景は見ていたけど、特に何か行動を起こしてあげる気にはならなかったらしい。「さあゲームの続きをやるか」とトランプを手に取った。亜面さんが「銅寺立会人、テーブルの近くへどうぞ」と努めて自然な感じに私と彼女の間に銅寺さんを入れようとする。しかし、銅寺さんがあからさまに渋った。
「門倉立会人、そこどうぞ」
「何じゃ銅寺、照れとんのか?」
「いや照れてないけどさ。先生は魔法を使うから」
「魔法?」
門倉さんが聞き返しながら、私を見る。ないない。私は手をひらひらさせた。もちろんこの反応を予想していた門倉さんは「じゃろうなあ」と肩を竦めた。私の同意を得られなかった銅寺さんは、次は目蒲さんに振る。
「あの夜の事ですか」
目蒲さんはしみじみとそう答えた。分かってくれる人がいたと喜ぶ銅寺さんに、夕湖が説明を求めた。銅寺さんは思い出すだけで興奮すると言わんばかりに、身振りをつけて説明しだす。
「僕の元専属の平田様が目蒲立会人の元専属の佐田国様に身包み剥がされて、ご自分はおろか息子さんまで担保に入れちゃったんですよ。それで僕の部下に息子さんを連れて来させたら、あいつら騒がれたら困るからって一緒にいた先生まで連れて来ちゃって」
「だから銅寺立会人は晴乃さんを先生と呼ぶのですね」
「そうそう。担任の先生だったんです。で、連れて来られてからがもう凄かったんですよ。ねえ目蒲立会人?」
「始終それの独壇場でしたからねぇ」
そう言って、一瞬黙って、目蒲さんは「お前、強引に事を進める時の雰囲気はお屋形様そっくりだな」と呟いた。夕湖と銅寺さんも「あ」と声を上げる。自覚が無い。私はただ首をかしげた。
門倉さんが先を促して、銅寺さんはまた語り始める。浩一君のお父さんに説教をかました時のこと、代打ちとして名乗りを上げた時のこと、ゲーム中のこと。
「…先生は佐田国様のカードの上をすーっと撫でて、ちょっと笑って、必ずババ以外を引くんです。どんなに目を凝らしても、イカサマは見つけられないんです。どちらも。でも先生は'先生の前で悪さはさせませんよ'っておどけて言うんです。絶対イカサマはあったって事ですよね。佐田国様は怒鳴り散らすんですけど、どこ吹く風って感じで、結局ストレート勝ち。魔法としか形容できません」
結局何が起きてたんですか?と問いかけてくる銅寺さんに、私は防犯カメラがそのカメラであった事は伏せつつ、佐田国さんが盲目であったこと、カメラを使って手札を見ようとしていたことを話した。やっと謎が解けた、とスッキリした顔の銅寺さん。代わって門倉さんが「お前さんの方はどんなカラクリやったんじゃ、チビ助」と問いかけてくる。「チビ助?」と横から夕湖が問いかけた。
「こいつワシと初めてあった時、ワシ見上げてフリーズしよったんじゃ」
「や、普通びっくりしますって!」
「しかも後日話しとったら見上げすぎてよろけよったしの」
門倉さんは豪快に笑って、「で、チビ助は?」と話を戻した。でも、次は目蒲さんがまた横から「それのはマジで魔法」と口を挟む。「No gimmic or trick、のな」と、言葉を引き継ぐのは夕湖。なんとなく、トスを上げられた気がした。
「よし、門倉さんにもやってあげますねー」
私はぽすぽす自分の隣のクッションを叩く。怖いもの見たさに負けた門倉さんは意を決したようにそこに座り、夕湖は意気揚々とカードを配り始めた。
「わー目蒲立会人、敵を作りそうなシチュエーション」
「是非能輪に見せてやりとうなるのう。呼ぶか」
「はぁ…やめろ門っち」
挨拶もそこそこに目蒲さんをからかい始めた二人に、彼は大きなため息で返す。
「この人いつも女の子の部屋にお夕飯目当てで来るんですよ?どう思います?」
「あー、そら失礼じゃのう。メカ、たまにはデートにでも誘ったれや」
「これがもっと従順で可愛ければ考えるんですがねぇ」
「うわ傷付いた!目蒲さん流石にそれは無しです!」
「ねー先生、OK?僕も食べにきてOK?」
「銅寺立会人…このタイミングでぶっこむのは…」
「あ、いいですよー。でも何か食材持ってきてくれないと困りますからねー。ウチの冷蔵庫に何もなくなっちゃう」
「晴乃さん…」
咎めかけて、亜面さんがちょっと考える。そんな彼女が可愛らしくて、私は先を促す。
「亜面さん亜面さん、亜面さんもぶっこんでいいんですよ」
「いえそんな…あの…その、私も来ていいですか?」
「ふふ、もちろんですよー」
目蒲さんが不服そうに黙り込み、それを門倉さんが心底楽しそうな笑顔でチラ見する。なにが起きているかはよく分からないけど、目蒲さんが友達に恵まれていないのはよく分かった。夕湖もその光景は見ていたけど、特に何か行動を起こしてあげる気にはならなかったらしい。「さあゲームの続きをやるか」とトランプを手に取った。亜面さんが「銅寺立会人、テーブルの近くへどうぞ」と努めて自然な感じに私と彼女の間に銅寺さんを入れようとする。しかし、銅寺さんがあからさまに渋った。
「門倉立会人、そこどうぞ」
「何じゃ銅寺、照れとんのか?」
「いや照れてないけどさ。先生は魔法を使うから」
「魔法?」
門倉さんが聞き返しながら、私を見る。ないない。私は手をひらひらさせた。もちろんこの反応を予想していた門倉さんは「じゃろうなあ」と肩を竦めた。私の同意を得られなかった銅寺さんは、次は目蒲さんに振る。
「あの夜の事ですか」
目蒲さんはしみじみとそう答えた。分かってくれる人がいたと喜ぶ銅寺さんに、夕湖が説明を求めた。銅寺さんは思い出すだけで興奮すると言わんばかりに、身振りをつけて説明しだす。
「僕の元専属の平田様が目蒲立会人の元専属の佐田国様に身包み剥がされて、ご自分はおろか息子さんまで担保に入れちゃったんですよ。それで僕の部下に息子さんを連れて来させたら、あいつら騒がれたら困るからって一緒にいた先生まで連れて来ちゃって」
「だから銅寺立会人は晴乃さんを先生と呼ぶのですね」
「そうそう。担任の先生だったんです。で、連れて来られてからがもう凄かったんですよ。ねえ目蒲立会人?」
「始終それの独壇場でしたからねぇ」
そう言って、一瞬黙って、目蒲さんは「お前、強引に事を進める時の雰囲気はお屋形様そっくりだな」と呟いた。夕湖と銅寺さんも「あ」と声を上げる。自覚が無い。私はただ首をかしげた。
門倉さんが先を促して、銅寺さんはまた語り始める。浩一君のお父さんに説教をかました時のこと、代打ちとして名乗りを上げた時のこと、ゲーム中のこと。
「…先生は佐田国様のカードの上をすーっと撫でて、ちょっと笑って、必ずババ以外を引くんです。どんなに目を凝らしても、イカサマは見つけられないんです。どちらも。でも先生は'先生の前で悪さはさせませんよ'っておどけて言うんです。絶対イカサマはあったって事ですよね。佐田国様は怒鳴り散らすんですけど、どこ吹く風って感じで、結局ストレート勝ち。魔法としか形容できません」
結局何が起きてたんですか?と問いかけてくる銅寺さんに、私は防犯カメラがそのカメラであった事は伏せつつ、佐田国さんが盲目であったこと、カメラを使って手札を見ようとしていたことを話した。やっと謎が解けた、とスッキリした顔の銅寺さん。代わって門倉さんが「お前さんの方はどんなカラクリやったんじゃ、チビ助」と問いかけてくる。「チビ助?」と横から夕湖が問いかけた。
「こいつワシと初めてあった時、ワシ見上げてフリーズしよったんじゃ」
「や、普通びっくりしますって!」
「しかも後日話しとったら見上げすぎてよろけよったしの」
門倉さんは豪快に笑って、「で、チビ助は?」と話を戻した。でも、次は目蒲さんがまた横から「それのはマジで魔法」と口を挟む。「No gimmic or trick、のな」と、言葉を引き継ぐのは夕湖。なんとなく、トスを上げられた気がした。
「よし、門倉さんにもやってあげますねー」
私はぽすぽす自分の隣のクッションを叩く。怖いもの見たさに負けた門倉さんは意を決したようにそこに座り、夕湖は意気揚々とカードを配り始めた。