クレオメ的生活
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能輪のとこの孫が事務室にやってきて、いつも通り伏龍が真っ先にご挨拶。不味いか?と思ったら案の定だった。
「あ?新人か?」
「はい!伏龍晴乃です。よろしくお願いします」
「ふうん…」
能輪がニマと下卑た笑いを浮かべ、「いーじゃん」と呟いた。
「なあ、今晩暇か?」
「へ?どうかしました?」
伏龍が首をかしげる。能輪はそんな彼女の手を握り、「時間あんだろ?どっか行こうぜ」と強引に誘う。彼女の顔がこわばった。男女比が極端な賭郎では、女性の寡占市場…まあつまり、ざっくばらんに言うところの女日照り、が顕在している。女というだけで狙われる。言わば洗礼だ。これを御せない女はすぐに'喰われ'る。そして、能輪はその名手だった。
流石に初戦が能輪は可哀想か。俺は車椅子のホイールに手を掛けたが、それは徒労に終わる。次に事務室のドアを開けた銅寺が大きな声を出したからだ。
「あー!伏龍先生!」
「あっ、銅寺さん!」
「先生?」
能輪がボソッと呟いた。全く同感である。どういう関係になったら先生になるのかと。残念ながら伏龍は能輪の呟きより銅寺の対応を優先した為、俺たちの疑問は宙ぶらりんになった。
「先生ご無事だったんですね!俺あの後先生が行方不明になったって知って探してたんですよ」
「え、探してくれてたんですか?ありがとうございます!なんか、佐田国さんが殺そうとしてるからって、ずっと目蒲さんに匿ってもらってたんです」
「目蒲立会人にですか?!えー意外。あの人人助けするタイプなんですね」
「ちょっ…銅寺さんそれ失礼ですよー!あれでいい人ですよ」
「ほら、先生も'あれで'って言ったじゃん!やっぱり意外なんですよね?」
笑い合う二人。面白くないのは能輪だ。握ったままになっていた手を揺さぶり、「話の途中だろうが」と伏龍の注目を取り戻そうとする。銅寺は逆に、それが面白くない。
開戦だ。
「ねー能輪立会人さ、そういうのやめたら?迷惑だよ」
「うるせえなー。モテねえ奴が僻んでんじゃねえよ」
「今モテるモテないの話してないよね?迷惑か迷惑じゃないかだよ。OK?君は迷惑だ」
「んーなん当人同士の問題だろうが。別に迷惑じゃねえだろ?なあ晴乃」
能輪が伏龍に振る。それを受けた彼女が眉間にきゅっとシワを寄せ、何か言いかけたその瞬間、また扉が開いた。
「滝さん、お呼びですか?…って」
入ってきた門倉がいつもと違う雰囲気に気付き、最高の笑顔を浮かべた。
「どうぞ、私に構わず、ゆっくりと」
相変わらずの趣味の悪さを爆発させる門倉にげんなりしつつも、伏龍を見遣る。
びっくりしていた。
確かに中々見ない風態だとは思うが、そのタイミングでしっかりリアクションしなくて良かったんじゃないだろうか。それより先に御さなければならない問題があるんじゃないか。それを思ったのは俺だけじゃなかったらしく、門倉が水を向けた。
「その、お二人のことはよろしいのですか?」
意識の風船がパチンと割れたように、伏龍ははっとする。
「あ、えと、なんの話でしたっけ」
こいつどんだけ門倉にびっくりしてんだ。沢山言いたくなるのを堪え、俺は「で、迷惑なのか?迷惑じゃないのか?」とだけ言った。伏龍は再度はっとして、数度頷いた。
「そうだ、そうだ。うん、えと、うん。私が悪かったです」
何を反省したというのか。俺たちは首をかしげる。
「勤務時間中に関係ない話をしちゃダメですね。うん。やめましょ」
能輪が何か言いかけるが、それより早く伏龍が資料を取り出した。それを能輪に示しながら、手短に依頼の内容を伝える。それが終われば次は銅寺の番だ。結局は立会人。仕事の話となれば強制的にスイッチが入る。二人は渡された資料に目を通し、いくつか質問を投げかけた。伏龍はそれに答え、二人が一頻り満足したところで、付け加えるように言った。
「それ終わらせて帰ってくる頃には定時過ぎてると思うので、お話はその時に聞きますね」
行ってらっしゃい。お気をつけて。彼女は言い、押し切られた二人は何か言いたげな顔をしつつも、各々の職務に戻っていった。
「あ?新人か?」
「はい!伏龍晴乃です。よろしくお願いします」
「ふうん…」
能輪がニマと下卑た笑いを浮かべ、「いーじゃん」と呟いた。
「なあ、今晩暇か?」
「へ?どうかしました?」
伏龍が首をかしげる。能輪はそんな彼女の手を握り、「時間あんだろ?どっか行こうぜ」と強引に誘う。彼女の顔がこわばった。男女比が極端な賭郎では、女性の寡占市場…まあつまり、ざっくばらんに言うところの女日照り、が顕在している。女というだけで狙われる。言わば洗礼だ。これを御せない女はすぐに'喰われ'る。そして、能輪はその名手だった。
流石に初戦が能輪は可哀想か。俺は車椅子のホイールに手を掛けたが、それは徒労に終わる。次に事務室のドアを開けた銅寺が大きな声を出したからだ。
「あー!伏龍先生!」
「あっ、銅寺さん!」
「先生?」
能輪がボソッと呟いた。全く同感である。どういう関係になったら先生になるのかと。残念ながら伏龍は能輪の呟きより銅寺の対応を優先した為、俺たちの疑問は宙ぶらりんになった。
「先生ご無事だったんですね!俺あの後先生が行方不明になったって知って探してたんですよ」
「え、探してくれてたんですか?ありがとうございます!なんか、佐田国さんが殺そうとしてるからって、ずっと目蒲さんに匿ってもらってたんです」
「目蒲立会人にですか?!えー意外。あの人人助けするタイプなんですね」
「ちょっ…銅寺さんそれ失礼ですよー!あれでいい人ですよ」
「ほら、先生も'あれで'って言ったじゃん!やっぱり意外なんですよね?」
笑い合う二人。面白くないのは能輪だ。握ったままになっていた手を揺さぶり、「話の途中だろうが」と伏龍の注目を取り戻そうとする。銅寺は逆に、それが面白くない。
開戦だ。
「ねー能輪立会人さ、そういうのやめたら?迷惑だよ」
「うるせえなー。モテねえ奴が僻んでんじゃねえよ」
「今モテるモテないの話してないよね?迷惑か迷惑じゃないかだよ。OK?君は迷惑だ」
「んーなん当人同士の問題だろうが。別に迷惑じゃねえだろ?なあ晴乃」
能輪が伏龍に振る。それを受けた彼女が眉間にきゅっとシワを寄せ、何か言いかけたその瞬間、また扉が開いた。
「滝さん、お呼びですか?…って」
入ってきた門倉がいつもと違う雰囲気に気付き、最高の笑顔を浮かべた。
「どうぞ、私に構わず、ゆっくりと」
相変わらずの趣味の悪さを爆発させる門倉にげんなりしつつも、伏龍を見遣る。
びっくりしていた。
確かに中々見ない風態だとは思うが、そのタイミングでしっかりリアクションしなくて良かったんじゃないだろうか。それより先に御さなければならない問題があるんじゃないか。それを思ったのは俺だけじゃなかったらしく、門倉が水を向けた。
「その、お二人のことはよろしいのですか?」
意識の風船がパチンと割れたように、伏龍ははっとする。
「あ、えと、なんの話でしたっけ」
こいつどんだけ門倉にびっくりしてんだ。沢山言いたくなるのを堪え、俺は「で、迷惑なのか?迷惑じゃないのか?」とだけ言った。伏龍は再度はっとして、数度頷いた。
「そうだ、そうだ。うん、えと、うん。私が悪かったです」
何を反省したというのか。俺たちは首をかしげる。
「勤務時間中に関係ない話をしちゃダメですね。うん。やめましょ」
能輪が何か言いかけるが、それより早く伏龍が資料を取り出した。それを能輪に示しながら、手短に依頼の内容を伝える。それが終われば次は銅寺の番だ。結局は立会人。仕事の話となれば強制的にスイッチが入る。二人は渡された資料に目を通し、いくつか質問を投げかけた。伏龍はそれに答え、二人が一頻り満足したところで、付け加えるように言った。
「それ終わらせて帰ってくる頃には定時過ぎてると思うので、お話はその時に聞きますね」
行ってらっしゃい。お気をつけて。彼女は言い、押し切られた二人は何か言いたげな顔をしつつも、各々の職務に戻っていった。