ジニアの初撃
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彼女は笑みを深くすると、「頂きましたよ、ギャンブルで」と言った。オーナーは「ギャンブル?!」と鼻白む。
「うん、ギャンブルのカタに頂きましたよ、と」
「ふ、ふざけるのも大概にしなさいよ!あんた…そんなお遊びで店の権利を…?!」
「そんなお遊びにマジになって、身包み剥がされたのは他ならぬあんたの部下。ざまあみやがれだね。私は内閣情報調査室の人間として必要なモノは全て手に入れた。この店がどんな風に麻薬を売っていたか、反抗的な風俗嬢をどんな風に手なずけていたか、風俗嬢をどんな風に輸入していたか。本土に戻って報告すれば私の仕事はお終い。だから店の権利はどうでもいいから…武士の情けでそれだけ返そうか?」
勿論、そうはいかない。彼女はそれを分かった上でオーナーの出方を待つ。
「テメェ!!」
オーナーが殴りかかる。そう…生きて帰す事はできない。彼女はわかった上で、本人がそう結論づけるのを待っていた訳だ。
前に躍り出る。すると彼は、自分よりガタイの大きな男の介入に戸惑い、その拳を止めた。
「ノヂシャ様はまだアンデス様との勝負の最中…暴力はおやめ下さいませ」
「はあ?!」
「その人は立会人…何て言うのかな、私の勝負が正しく行われる事を保証してくれる人だよ。勝って得たものは必ず取り立ててくれるし…負けて失ったものも必ず徴収してくる。だから、100%私の味方って訳でもないね」
そう彼女は笑った。オーナーはそのふざけた存在に何かしら物言いを付けようとし、体格差に怯えて口をもごつかせる。その姿を晴乃はまた笑う。
「さあ、どうする?貴方は店長…アンデスの代打ちとして、勝負を引き継ぐ事ができる。勿論そんな義理はないから、私がこの店の店長になる事を許容しちゃう事もできる。貴方に任せるよ」
言葉に詰まるオーナーを横目に彼女は立ち上がり、壁際に飾られた日本酒を取りに歩き出す。銘柄は陽乃鳥。変わり種ながら極上の酒である。彼女はその栓を開け、横にあったお猪口でそれをちびっと呑んだ。しかし予想以上に美味かった様で「これはお猪口じゃ済まんぞ。升はないのか」と呟いた。すると、慌てて遊女が立ち上がろうとするので「あ、ごめんね、独り言」と声を掛ける。
「それは…店の酒だぞ」
「つまり誰の酒?」
「俺の酒だよ!オーナーに従いやがれ!」
「うふふ、ばーか。すぐに私の酒になんのよ」
そう彼女は彼を嘲ると、またお猪口に陽乃鳥を注いだ。その動作は彼を激昂させるには十分だった。彼は彼女の手からお猪口を叩き落とし、彼女は彼を睨み上げる。
「うるせえなあ!やってやるよその勝負!使うのはこのお猪口だ…‘菊の花’だ!準備しやがれ!」
「…いいよ。で、どんなゲーム?」
「ちっ!…おい、もっとお猪口持ってこい!」
オーナーは晴乃を無視して、遊女にそう指示を出した。誰も説明を引き受ける者がいないと判断し、口を開く。
「菊の花…日本の遊郭で行われる、伝統的なゲームでございます。お猪口を人数分用意し小さなお盆に裏返して置き、一つのお猪口に菊の花を隠します。そして「誰が取るのか菊の花」と歌いながら一人ずつお猪口を開けていき、菊の花が出た人が罰ゲームで開いているお猪口でお酒を飲む、というものでございます。しかし…今回の参加者は二人。これでは酒を飲むにしても、酔いが回るのに随分かかる事が予想されます。如何致しましょう?」
「増やすんだよ、お猪口を!使うお猪口は十だ!」
「いいよ。どうするの?潰れたら負け?」
「いいや…秘密を賭けるんだよ…開いたお猪口の分だけ俺は秘密を明かし…アンタは本国に持ち帰る秘密が減る…それでいいだろ?」
「それは、勝敗が付きにくいね。店舗数にしようよ。私が今持っているのはこの楼閣だけ。貴方はいくつ持ってるか知らないけどさ、とにかく経営してる店舗を先に全部取られたら負け。何でも言う事を聞く。だって…貴方は私が島から出ないのが一番幸せなんでしょ?それが叶うようにゲームメイクしなきゃ」
「店舗数?アンタは…」
「そうね。担保にできるのはこの一店舗だけ。丁度いいハンデでしょ」
「後悔すんなよ」と鼻で笑うオーナーに、晴乃は「いいハンデでしょ」と肩をすくめて返す。とんとん拍子に進んでいるのは、勿論晴乃がオーナーに悟られず誘導しているからだ。そんな事とはつゆ知らず、木村が彼女の耳元で「やばいですよ」と囁いた。彼女は何も言わず、ただ彼の肩に手を乗せる。
「さあ、能輪立会人。新しいゲームの進行をお願いします」
「畏まりました、ノヂシャ様。それではノヂシャ様対風俗店オーナー・ゴラゴラ様。使用するゲームは‘菊の花’…それぞれが持つ店舗を賭けて戦って頂き、全ての店舗を先に手にした方が相手に言う事を聞かせる権利を手にする…という事でよろしいでしょうか?」
「ええ」
「そうだ」
「それでは改めまして、ルールの確認をいたします」
「うん、ギャンブルのカタに頂きましたよ、と」
「ふ、ふざけるのも大概にしなさいよ!あんた…そんなお遊びで店の権利を…?!」
「そんなお遊びにマジになって、身包み剥がされたのは他ならぬあんたの部下。ざまあみやがれだね。私は内閣情報調査室の人間として必要なモノは全て手に入れた。この店がどんな風に麻薬を売っていたか、反抗的な風俗嬢をどんな風に手なずけていたか、風俗嬢をどんな風に輸入していたか。本土に戻って報告すれば私の仕事はお終い。だから店の権利はどうでもいいから…武士の情けでそれだけ返そうか?」
勿論、そうはいかない。彼女はそれを分かった上でオーナーの出方を待つ。
「テメェ!!」
オーナーが殴りかかる。そう…生きて帰す事はできない。彼女はわかった上で、本人がそう結論づけるのを待っていた訳だ。
前に躍り出る。すると彼は、自分よりガタイの大きな男の介入に戸惑い、その拳を止めた。
「ノヂシャ様はまだアンデス様との勝負の最中…暴力はおやめ下さいませ」
「はあ?!」
「その人は立会人…何て言うのかな、私の勝負が正しく行われる事を保証してくれる人だよ。勝って得たものは必ず取り立ててくれるし…負けて失ったものも必ず徴収してくる。だから、100%私の味方って訳でもないね」
そう彼女は笑った。オーナーはそのふざけた存在に何かしら物言いを付けようとし、体格差に怯えて口をもごつかせる。その姿を晴乃はまた笑う。
「さあ、どうする?貴方は店長…アンデスの代打ちとして、勝負を引き継ぐ事ができる。勿論そんな義理はないから、私がこの店の店長になる事を許容しちゃう事もできる。貴方に任せるよ」
言葉に詰まるオーナーを横目に彼女は立ち上がり、壁際に飾られた日本酒を取りに歩き出す。銘柄は陽乃鳥。変わり種ながら極上の酒である。彼女はその栓を開け、横にあったお猪口でそれをちびっと呑んだ。しかし予想以上に美味かった様で「これはお猪口じゃ済まんぞ。升はないのか」と呟いた。すると、慌てて遊女が立ち上がろうとするので「あ、ごめんね、独り言」と声を掛ける。
「それは…店の酒だぞ」
「つまり誰の酒?」
「俺の酒だよ!オーナーに従いやがれ!」
「うふふ、ばーか。すぐに私の酒になんのよ」
そう彼女は彼を嘲ると、またお猪口に陽乃鳥を注いだ。その動作は彼を激昂させるには十分だった。彼は彼女の手からお猪口を叩き落とし、彼女は彼を睨み上げる。
「うるせえなあ!やってやるよその勝負!使うのはこのお猪口だ…‘菊の花’だ!準備しやがれ!」
「…いいよ。で、どんなゲーム?」
「ちっ!…おい、もっとお猪口持ってこい!」
オーナーは晴乃を無視して、遊女にそう指示を出した。誰も説明を引き受ける者がいないと判断し、口を開く。
「菊の花…日本の遊郭で行われる、伝統的なゲームでございます。お猪口を人数分用意し小さなお盆に裏返して置き、一つのお猪口に菊の花を隠します。そして「誰が取るのか菊の花」と歌いながら一人ずつお猪口を開けていき、菊の花が出た人が罰ゲームで開いているお猪口でお酒を飲む、というものでございます。しかし…今回の参加者は二人。これでは酒を飲むにしても、酔いが回るのに随分かかる事が予想されます。如何致しましょう?」
「増やすんだよ、お猪口を!使うお猪口は十だ!」
「いいよ。どうするの?潰れたら負け?」
「いいや…秘密を賭けるんだよ…開いたお猪口の分だけ俺は秘密を明かし…アンタは本国に持ち帰る秘密が減る…それでいいだろ?」
「それは、勝敗が付きにくいね。店舗数にしようよ。私が今持っているのはこの楼閣だけ。貴方はいくつ持ってるか知らないけどさ、とにかく経営してる店舗を先に全部取られたら負け。何でも言う事を聞く。だって…貴方は私が島から出ないのが一番幸せなんでしょ?それが叶うようにゲームメイクしなきゃ」
「店舗数?アンタは…」
「そうね。担保にできるのはこの一店舗だけ。丁度いいハンデでしょ」
「後悔すんなよ」と鼻で笑うオーナーに、晴乃は「いいハンデでしょ」と肩をすくめて返す。とんとん拍子に進んでいるのは、勿論晴乃がオーナーに悟られず誘導しているからだ。そんな事とはつゆ知らず、木村が彼女の耳元で「やばいですよ」と囁いた。彼女は何も言わず、ただ彼の肩に手を乗せる。
「さあ、能輪立会人。新しいゲームの進行をお願いします」
「畏まりました、ノヂシャ様。それではノヂシャ様対風俗店オーナー・ゴラゴラ様。使用するゲームは‘菊の花’…それぞれが持つ店舗を賭けて戦って頂き、全ての店舗を先に手にした方が相手に言う事を聞かせる権利を手にする…という事でよろしいでしょうか?」
「ええ」
「そうだ」
「それでは改めまして、ルールの確認をいたします」