エンゼルランプの腕の中
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‘ドキドキ☆くじ引き大会’…切間立会人が卍戦の度にアタリのプレイヤーを巡って浅ましい戦いを繰り広げる立会人達にキレて発案した、卍戦名物である。ふざけた名前とは裏腹に、根本がギャンブル好きな立会人達のツボを突いた一品だ。くじとはいえ、公平に決まったものに物言いをつける無粋は中々出来ない。くじを用意するリーダーも誰かの専属に付くのならまだ物言いもつけ易かっただろうが、リーダーは誰にもつかない総監督の立場なのは決まっている。その上、さっきの三鷹立会人のように、訳あってその立会人しか専属になれない場合はリーダーが先に指名する。八百長が入り込む理由がない、という事だ。
という訳で、滝さんがデスクの下に大切に保管していたドキドキ☆ボックスーー勿論、切間立会人が丁寧にデコレートした大作だーーを議長席の上に置き、「年功序列でよろしいですね」と断りを入れる。ヰ近立会人が「ばははは!」と立ち上がり、能輪壱號に「儂からじゃろ」と諌められた。順番は関係無いと分かっていてもこうなってしまう。くじ引きとは罪深いものだ。
「…なんじゃ、マルコか」
「おや、運が悪い」
落胆する能輪壱號を、後ろに並んだ間紙立会人が茶化す。暴力要因はどうしても人気が無い。皆戦闘を見るよりもギャンブルを見る方が好きなのだ。俺はホワイトボードに役割分担を記入しながら、間紙立会人にくじ引きを促す。
「ふぅむ…フロイド・リーか…魅せてくれるのを願うばかりよ」
「ばはは!やったぞ!嘘喰いだ!…ん?何だ弥鱈、これは…夜行が復帰次第交代?!」
「ええ、正規の専属ですので」
間紙立会人が引くや否や箱に手を突っ込み、大当たりの一つを引き当てたヰ近立会人だったが、くじに書かれた断りを読んで見事に萎れた。この方は何故か筋肉ごと萎れるからおもしろい。
「次は…判事、お願いします」
「ん?…ああ…ノヂシャだ。ふむ…」
「鬼が出るか蛇が出るかですね〜」
「そうだな…適当な数合わせでない事を祈ろう」
正にワイルドカード、と喉元まで出掛かるのを抑える。プレイヤーの一人として見た時、伏龍がどこまで魅せてくれるかは未知数だ。そして…‘鬼が出るか蛇が出るか’は伏龍も同じ。実力は折り紙付きだが兎に角判例主義の判事がどこまで彼女に利するか…。
「さて…」
そう立ち上がった真鍋立会人と同時に、番代立会人も立ち上がる。どちらが年上なのだろうか。年功序列でとは言ったものの、実は殆ど全員がお互いの年齢を知らない。ここまで見た目と勤続年数と空気感で引いていたツケが今ここにきている。
二人は暫く見つめ合ったが、新人の真鍋立会人が手のひらで箱を差し、順番を譲った。
「キョンホ・ジョンリョ…」
「ハル…」
番代立会人ハズレからの真鍋立会人大当たりである。勿論、本人は知る由もない。何ならお屋形様の顔も知らないので、対面しても大当たりに気づく事はないだろう。俺としても、一番悲しいのはハルについた立会人が初日に無線で暴露してしまう事だから、この結果は大当たりだ。
さて、若手はまさかのーーとはいえ、滝さんが伏龍の為に考えた結果だろうが…ーー全員伏龍会でまとまってしまったので、ここからは煩い。まずは目蒲立会人と門倉立会人、そして南方立会人が立ち上がり、順番を巡って火花を散らし始める。
「なんやメカー、ワシゃ知っとるぞ、お前はワシの2個下や!」
「なんだよ、歳上のくせに余裕が無いな。同時に立ち上がっただけだろ」
「お前は狡い所があるでのう!まあええわ…ん?!」
立会人なんだから新人が新人らしくするとは限らないだろうに。目下のライバルに夢中になり過ぎていた二人は南方立会人の動きに気付くのが遅れた。
「えいっ」
そう、南方立会人は小走りでこちらに近づくと、迷わず箱に手を突っ込んだ。
「おっ!ビンセント・ラロだよ。これはいいのを引いた」
「なっ!…お前…マジか!」
「南方立会人、貴方ではまだ経験不足です。代わりなさい」
「女史でも引いたら代わりましょう」
「あれがいる訳ないでしょうが。くそ…」
いるんだなあ、これが。そんな事は露とも知らぬ目蒲立会人は、ブツブツ言いながら箱に手を突っ込む。門倉立会人が「あ!」とまた声を上げた。
「おや、カラカルですよ」
「はぁ?!じゃあなんや、残っとんのは梶隆臣とロバートKかいな!おもんな!」
「えー。OK?僕先に引いてOK?」
門倉立会人は銅寺立会人が箱に寄ってくるのを「許さんぞ!」と恫喝すると、いよいよ箱の前に立ち、勢いよく手を突っ込む。そして、三枚しかないくじをよく混ぜ、一枚を選び取った。
「ぬうう、梶隆臣…」
「えー、じゃあ僕は…あ、ロバートKだ」
「では、私が全体補佐ですね!」
引く前から結果は分かっているものの、亜面立会人は一応くじを引く。当然全体補佐と書いてあるくじを確認する彼女に、「それを引いたのが貴女で何よりです」と声を掛けると、彼女ははにかんだ。
「さて…、忙しなくて申し訳ありませんが、早速皆さんには協力者を卍内に導いて頂きます。また、貘様、ラロ様、ハル様、ノヂシャ様は既に、プロトポロスへ向かう船内にいます。つきましては、私、亜面立会人、ヰ近立会人、南方立会人、真鍋立会人、判事には用意してありますヘリコプターに搭乗し、四人に先回りして卍に入って頂きます。何か質問は」
3秒待つ。それでも何もない事を確認し、俺は解散の声掛けをしようと口を開く。その時だった。
という訳で、滝さんがデスクの下に大切に保管していたドキドキ☆ボックスーー勿論、切間立会人が丁寧にデコレートした大作だーーを議長席の上に置き、「年功序列でよろしいですね」と断りを入れる。ヰ近立会人が「ばははは!」と立ち上がり、能輪壱號に「儂からじゃろ」と諌められた。順番は関係無いと分かっていてもこうなってしまう。くじ引きとは罪深いものだ。
「…なんじゃ、マルコか」
「おや、運が悪い」
落胆する能輪壱號を、後ろに並んだ間紙立会人が茶化す。暴力要因はどうしても人気が無い。皆戦闘を見るよりもギャンブルを見る方が好きなのだ。俺はホワイトボードに役割分担を記入しながら、間紙立会人にくじ引きを促す。
「ふぅむ…フロイド・リーか…魅せてくれるのを願うばかりよ」
「ばはは!やったぞ!嘘喰いだ!…ん?何だ弥鱈、これは…夜行が復帰次第交代?!」
「ええ、正規の専属ですので」
間紙立会人が引くや否や箱に手を突っ込み、大当たりの一つを引き当てたヰ近立会人だったが、くじに書かれた断りを読んで見事に萎れた。この方は何故か筋肉ごと萎れるからおもしろい。
「次は…判事、お願いします」
「ん?…ああ…ノヂシャだ。ふむ…」
「鬼が出るか蛇が出るかですね〜」
「そうだな…適当な数合わせでない事を祈ろう」
正にワイルドカード、と喉元まで出掛かるのを抑える。プレイヤーの一人として見た時、伏龍がどこまで魅せてくれるかは未知数だ。そして…‘鬼が出るか蛇が出るか’は伏龍も同じ。実力は折り紙付きだが兎に角判例主義の判事がどこまで彼女に利するか…。
「さて…」
そう立ち上がった真鍋立会人と同時に、番代立会人も立ち上がる。どちらが年上なのだろうか。年功序列でとは言ったものの、実は殆ど全員がお互いの年齢を知らない。ここまで見た目と勤続年数と空気感で引いていたツケが今ここにきている。
二人は暫く見つめ合ったが、新人の真鍋立会人が手のひらで箱を差し、順番を譲った。
「キョンホ・ジョンリョ…」
「ハル…」
番代立会人ハズレからの真鍋立会人大当たりである。勿論、本人は知る由もない。何ならお屋形様の顔も知らないので、対面しても大当たりに気づく事はないだろう。俺としても、一番悲しいのはハルについた立会人が初日に無線で暴露してしまう事だから、この結果は大当たりだ。
さて、若手はまさかのーーとはいえ、滝さんが伏龍の為に考えた結果だろうが…ーー全員伏龍会でまとまってしまったので、ここからは煩い。まずは目蒲立会人と門倉立会人、そして南方立会人が立ち上がり、順番を巡って火花を散らし始める。
「なんやメカー、ワシゃ知っとるぞ、お前はワシの2個下や!」
「なんだよ、歳上のくせに余裕が無いな。同時に立ち上がっただけだろ」
「お前は狡い所があるでのう!まあええわ…ん?!」
立会人なんだから新人が新人らしくするとは限らないだろうに。目下のライバルに夢中になり過ぎていた二人は南方立会人の動きに気付くのが遅れた。
「えいっ」
そう、南方立会人は小走りでこちらに近づくと、迷わず箱に手を突っ込んだ。
「おっ!ビンセント・ラロだよ。これはいいのを引いた」
「なっ!…お前…マジか!」
「南方立会人、貴方ではまだ経験不足です。代わりなさい」
「女史でも引いたら代わりましょう」
「あれがいる訳ないでしょうが。くそ…」
いるんだなあ、これが。そんな事は露とも知らぬ目蒲立会人は、ブツブツ言いながら箱に手を突っ込む。門倉立会人が「あ!」とまた声を上げた。
「おや、カラカルですよ」
「はぁ?!じゃあなんや、残っとんのは梶隆臣とロバートKかいな!おもんな!」
「えー。OK?僕先に引いてOK?」
門倉立会人は銅寺立会人が箱に寄ってくるのを「許さんぞ!」と恫喝すると、いよいよ箱の前に立ち、勢いよく手を突っ込む。そして、三枚しかないくじをよく混ぜ、一枚を選び取った。
「ぬうう、梶隆臣…」
「えー、じゃあ僕は…あ、ロバートKだ」
「では、私が全体補佐ですね!」
引く前から結果は分かっているものの、亜面立会人は一応くじを引く。当然全体補佐と書いてあるくじを確認する彼女に、「それを引いたのが貴女で何よりです」と声を掛けると、彼女ははにかんだ。
「さて…、忙しなくて申し訳ありませんが、早速皆さんには協力者を卍内に導いて頂きます。また、貘様、ラロ様、ハル様、ノヂシャ様は既に、プロトポロスへ向かう船内にいます。つきましては、私、亜面立会人、ヰ近立会人、南方立会人、真鍋立会人、判事には用意してありますヘリコプターに搭乗し、四人に先回りして卍に入って頂きます。何か質問は」
3秒待つ。それでも何もない事を確認し、俺は解散の声掛けをしようと口を開く。その時だった。