エンゼルランプの腕の中
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ドアノブに手を掛けて、大きく息を吐く。滝さんのご厚意により錚々たるメンバーが集まった。勿論、尊敬すべき立会人も名を連ねている。有難い事だ。
だが、リーダーは俺。この癖の強い立会人達を使いこなし、立会いを全うするのが俺の役目だ。そして…お屋形様の記憶を取り戻す事も。それは賭郎の為であり、‘俺達の幸せ’の為でもある。
もう一度大きく息を吐き、ドアを開ける。既に全員集まっていた立会人達が、じろりと値踏みするかのように俺を見た。勿論、気心知れている筈の伏龍会も例外ではない。結局のところ、俺達は立会人なのだ。
「遅くなりました」
バラバラと頭を下げる立会人達に会釈を返しつつ、俺は議長席の前に立つ。
「皆さん、お集まり頂きありがとうございます。滝さんからお聞きの通り、斑目貘とアイデアルボス、ビンセント・ラロが、お互いの全てを賭けて卍戦をする次第となりました。互いの協力者は五人。期間は本日より24日間。そして場所は…リアルMMO RPG、プロトポロス。これにつきましては、すぐに資料を配ります」
両脇に座る判事と門倉立会人に資料を渡せば、手渡しで全員に資料が行き渡る。それを確認して俺はまた説明を再開した。
「一つの島を貸し切り、そこに招かれたプレイヤー達が‘プロトポロス島を三分するそれぞれの国の住人’に扮して三国統一を目指す。それが今この島で行われているゲームです。貘様とラロ様にはその島の住人の一人となり、お互いの協力者…そして、先住のプレイヤー達の手を借りて三国統一を目指して頂きます。我々の王に挑む為の前哨戦として、これ以上無い場を提供できたのではないかと自負しております」
「我々の王に…?」
能輪壱號が片眉を上げるのに頷き、「そうです。この勝負、今二人が分割して持っている屋形越えの権利を一纏めにし、屋形越えに持ち込む為の勝負です」と話せば、立会人達は大きく騒めき始めた。
「おい、どうするんだ、今お屋形様は…」
「仰る通りです。だからこそこの勝負は一筋縄ではいかず、スリリングで、魅惑的なものとなるのです」
ここからは勢いとハッタリの勝負だ。俺は一歩前へ出る。
「これは実質三つ巴の勝負…暗躍するのは我々、立会人です。この24日間の内にお屋形様を玉座に戻す。もしそれが叶わなければ…勝者不在、ドローに向けて勝負をコントロールする。それができるメンバーを集めたつもりです」
「それは…八百長をしろと言っているのか?」
「いいえ、我々はあくまで中立…ただ、我々の設定した賭けによって勝ち残ったプレイヤーの力が拮抗し、相打ちとなってしまう…そういうことも、あるのでは」
「…あるじゃろうな」
「いや、ある筈がない」
能輪壱號と判事の意見が真っ向から対立し、二人は睨み合う。これが例えば伏龍なら「そもそもお屋形様は卍にいるので大丈夫ですよう」なんて早々にネタバレして諍いを収めるのだろうが…まあ、俺は伏龍ではない。お集まり頂いた立会人の皆様には、とんでもないタイミングでお屋形様の介入を知って、とんでもない取り乱し方をして欲しいのである。だから、仲間の絆でも何でも使えるものは使わせてもらう。そっと泉江外務卿に視線を送れば、彼女は小さく息をついて「お屋形様は既に防犯カメラ上で補足されております。ここから煙のように消える事はないでしょう。外務卿部隊が24日以内に必ず辿り着きます」と助け舟を出した。俺はその流れに乗り、「これは賭郎の面子の問題です。お屋形様が行方不明と外部に悟らせるなど、あり得ません。我々は外務卿チームと連携し、この問題に対処する必要があるのでは」と畳み掛ける。
判事がこめかみを抑え、大きなため息を吐いた。彼がこの問題を受け入れた以上、もう反論する者はいない。俺は心の中で大きくガッツポーズを決め、次に進む。
「それでは…卍内での配置について決めていきたいと思います。貘様の協力者は梶様、マルコ様に加え…元零號の男、伽羅。そしてプロフィール全く不明の、ハルとノヂシャ。この五人です」
「伽羅か…」
「その、ハルとノヂシャについて分かることは何もないのか?」
「そうですね…強いて言うなら、電話の声はハルが男、ノヂシャが女でした」
「ここにきて嘘喰いが伏兵を出してくるとはね…」
「驚きです。そして、ラロ様側は、ロバートK、フロイド・リー、ビリー・クレイグ、キョンホ・ジョンリョ、そして…梟です」
「梟…」
「ええ…アイデアルだったようです。ただ…皮肉な事に、伏龍がこれを知っていました。また、キョンホ・ジョンリョとビリー・クレイグにつきましても、彼女がリサーチ済みです」
そう言って例のノートを掲げれば、見覚えのあるノートに伏龍会が湧く。
「勿論裏切り者の残したノート…全てを信じろとは申しません。参考にしたい方のみ参考にしてください」
そう念を押しつつ協力者全員が載った資料を配る。それをどれだけ信じるかは別として、全員がそれを読み始めたので俺は少し黙って待った。
「さて…配置ですが、まず、伽羅には三鷹立会人、貴女が付いて頂きたい」
「…のう弥鱈立会人」
「ええ、仰りたい事は分かっています。ただ…お知り合いと聞きました」
「ああ…このBoyの事はよく知ってるさ…」
「また、三鷹立会人には確固たる暴がある事、立会人である事を伽羅が把握していない可能性が高い事から、特にファーストコンタクトは三鷹立会人が適任と考えます」
「分かったよ。立会い中はこのBoyを見張ればいいんだね」
「よろしくお願いします。他は…いいでしょう。それでは皆さん、用意は宜しいでしょうか。‘ドキドキ☆くじ引き大会’のお時間です」
だが、リーダーは俺。この癖の強い立会人達を使いこなし、立会いを全うするのが俺の役目だ。そして…お屋形様の記憶を取り戻す事も。それは賭郎の為であり、‘俺達の幸せ’の為でもある。
もう一度大きく息を吐き、ドアを開ける。既に全員集まっていた立会人達が、じろりと値踏みするかのように俺を見た。勿論、気心知れている筈の伏龍会も例外ではない。結局のところ、俺達は立会人なのだ。
「遅くなりました」
バラバラと頭を下げる立会人達に会釈を返しつつ、俺は議長席の前に立つ。
「皆さん、お集まり頂きありがとうございます。滝さんからお聞きの通り、斑目貘とアイデアルボス、ビンセント・ラロが、お互いの全てを賭けて卍戦をする次第となりました。互いの協力者は五人。期間は本日より24日間。そして場所は…リアルMMO RPG、プロトポロス。これにつきましては、すぐに資料を配ります」
両脇に座る判事と門倉立会人に資料を渡せば、手渡しで全員に資料が行き渡る。それを確認して俺はまた説明を再開した。
「一つの島を貸し切り、そこに招かれたプレイヤー達が‘プロトポロス島を三分するそれぞれの国の住人’に扮して三国統一を目指す。それが今この島で行われているゲームです。貘様とラロ様にはその島の住人の一人となり、お互いの協力者…そして、先住のプレイヤー達の手を借りて三国統一を目指して頂きます。我々の王に挑む為の前哨戦として、これ以上無い場を提供できたのではないかと自負しております」
「我々の王に…?」
能輪壱號が片眉を上げるのに頷き、「そうです。この勝負、今二人が分割して持っている屋形越えの権利を一纏めにし、屋形越えに持ち込む為の勝負です」と話せば、立会人達は大きく騒めき始めた。
「おい、どうするんだ、今お屋形様は…」
「仰る通りです。だからこそこの勝負は一筋縄ではいかず、スリリングで、魅惑的なものとなるのです」
ここからは勢いとハッタリの勝負だ。俺は一歩前へ出る。
「これは実質三つ巴の勝負…暗躍するのは我々、立会人です。この24日間の内にお屋形様を玉座に戻す。もしそれが叶わなければ…勝者不在、ドローに向けて勝負をコントロールする。それができるメンバーを集めたつもりです」
「それは…八百長をしろと言っているのか?」
「いいえ、我々はあくまで中立…ただ、我々の設定した賭けによって勝ち残ったプレイヤーの力が拮抗し、相打ちとなってしまう…そういうことも、あるのでは」
「…あるじゃろうな」
「いや、ある筈がない」
能輪壱號と判事の意見が真っ向から対立し、二人は睨み合う。これが例えば伏龍なら「そもそもお屋形様は卍にいるので大丈夫ですよう」なんて早々にネタバレして諍いを収めるのだろうが…まあ、俺は伏龍ではない。お集まり頂いた立会人の皆様には、とんでもないタイミングでお屋形様の介入を知って、とんでもない取り乱し方をして欲しいのである。だから、仲間の絆でも何でも使えるものは使わせてもらう。そっと泉江外務卿に視線を送れば、彼女は小さく息をついて「お屋形様は既に防犯カメラ上で補足されております。ここから煙のように消える事はないでしょう。外務卿部隊が24日以内に必ず辿り着きます」と助け舟を出した。俺はその流れに乗り、「これは賭郎の面子の問題です。お屋形様が行方不明と外部に悟らせるなど、あり得ません。我々は外務卿チームと連携し、この問題に対処する必要があるのでは」と畳み掛ける。
判事がこめかみを抑え、大きなため息を吐いた。彼がこの問題を受け入れた以上、もう反論する者はいない。俺は心の中で大きくガッツポーズを決め、次に進む。
「それでは…卍内での配置について決めていきたいと思います。貘様の協力者は梶様、マルコ様に加え…元零號の男、伽羅。そしてプロフィール全く不明の、ハルとノヂシャ。この五人です」
「伽羅か…」
「その、ハルとノヂシャについて分かることは何もないのか?」
「そうですね…強いて言うなら、電話の声はハルが男、ノヂシャが女でした」
「ここにきて嘘喰いが伏兵を出してくるとはね…」
「驚きです。そして、ラロ様側は、ロバートK、フロイド・リー、ビリー・クレイグ、キョンホ・ジョンリョ、そして…梟です」
「梟…」
「ええ…アイデアルだったようです。ただ…皮肉な事に、伏龍がこれを知っていました。また、キョンホ・ジョンリョとビリー・クレイグにつきましても、彼女がリサーチ済みです」
そう言って例のノートを掲げれば、見覚えのあるノートに伏龍会が湧く。
「勿論裏切り者の残したノート…全てを信じろとは申しません。参考にしたい方のみ参考にしてください」
そう念を押しつつ協力者全員が載った資料を配る。それをどれだけ信じるかは別として、全員がそれを読み始めたので俺は少し黙って待った。
「さて…配置ですが、まず、伽羅には三鷹立会人、貴女が付いて頂きたい」
「…のう弥鱈立会人」
「ええ、仰りたい事は分かっています。ただ…お知り合いと聞きました」
「ああ…このBoyの事はよく知ってるさ…」
「また、三鷹立会人には確固たる暴がある事、立会人である事を伽羅が把握していない可能性が高い事から、特にファーストコンタクトは三鷹立会人が適任と考えます」
「分かったよ。立会い中はこのBoyを見張ればいいんだね」
「よろしくお願いします。他は…いいでしょう。それでは皆さん、用意は宜しいでしょうか。‘ドキドキ☆くじ引き大会’のお時間です」