エンゼルランプの腕の中
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「では、そろそろ本題に入ろう」
まだお尻の違和感を引きずりつつ、直器君が仕切り始める。
「斑目貘…君には屋形越えを行う資格がある。だが屋形越えの条件の一つである500億はこのラロ氏に奪われてしまっている。これで間違いはないね?」
「YES」
「ラロ氏、段階を踏み正当な権利を持ったのは斑目貘だ。君がいくら500億を手にしても、君が屋形越えをする事はできない。君が名乗りを上げる事は不可能だ」
「…そのようですね」
「しかし、このままではこれで話が終わってしまう…君をわざわざ呼ぶまでもない話になる。…一つ、チャンスを与えよう。今からゲームをしてもらう。屋形越え同様君の全てをテーブルの上に置いてもらう…当然500億も含まれるね。その条件をクリアした後なら、君の屋形越えを受ける」
「つまり二度金を賭ける…リスクが大き過ぎます」
「粛清対象が横から割り込む事を考えれば安い方だと思うが?」
「断れば?」
「屋形越えはこのまま斑目貘が行う」
げ、と反射的に思ってしまったが、直器君の背中からは嘘の気配がしたので私は見守ることにする。貘様と素直に屋形越えをする気もないらしい。三人ともが会話の裏で膨大な思考を巡らせている。
「しかし彼は500億を持っていませんよ?」
「そんなものはどうとでもなるよ。僕が立て替えてもいい。僕が言いたいのは君がこの話を断るという事は、賭郎を手にしたいという君の目的が終わりを告げるという事だ」
「…そんなものいらないね」
貘様が口を挟む。
「相変わらずお利口さんでムカつくねぇ〜。そんなの有り難く恵んでもらうつもりは無いね。この目も500億が奪われたのも自分の責任…無くしちゃったものは倍にして取り返しましょう…ギャンブルで」
つまり、貘様は勝負を受ける気になったという事。まだ、誰とどんなゲームをするか全く話していない段階だが…自分がこの先に呼ばれたという事は、自分がこのゲームに参加しなければいけないと悟って先回りした、という事なのかしら。
そして、その言葉でラロ氏も腹を決めたようだ。「勝負内容は?どこでどういう勝負を行うか分からなければYESと言えません」と、警戒を露わにはしつつも流れに乗り始める。
「ゲーム内容は二人が勝負をすると決めた後初めて考える。もちろん公平を期したものにする」
「…お話になりませんね」
「二人とも…勘違いしないで欲しい。今一方的に歩み寄っているのは僕だけだ。斑目貘、ビンセント・ラロ…このままだと君らは屋形越えの条件を満たしていない事になるんだよ?今ルールを決めるのは僕だ。ゲームはまだ決まっていない。僕の中で決めているのはただ一つ…卍を貼る…という事だけだ」
卍を貼る。また、大掛かりな事を。でもそうか。そうすればこの二人は勿論、立会人さんも数多く卍の中に閉じ込めてしまえる。私達も暫くのびのびと過ごせるという事か。いい事だ。
「卍とは?」とラロ氏が聞いてきたのを受けて、直器君が私に視線を送る。まあ、今の私は彼の部下なので仕方がない。
「卍とは‘縦横無尽に入り乱れる’…という意味です。文化圏によって様々な意味を持つ卍ですが、今回は卍巴の卍ですね。言葉の通り、貘様とラロ様、それぞれが招いたプレイヤーが限られた時間、限られた場所の中で縦横無尽に入り乱れながら好きに勝負をします。勿論、その場所や人数に応じた立会人が派遣されますので、全てのプレイヤーが立会人を呼び、公平を保証された状態で戦う事ができます。勝負の最中、卍…つまり、決められた場所の外に出る事も、そこに誰かを招き入れる事も禁止です。あくまで、その場所、時間、人数の中で戦って頂きます」
「成る程…いいでしょう。では…」
「…詳細については、これより派遣される立会人と共に決めて頂きますので、あしからず」
私はそこで説明を終え、直器君に進行役を返す。彼は「異論は無いようだね…ではそれ以外のルールを決めよう。斑目貘君、立会人を呼びたまえ」と言った。
まだお尻の違和感を引きずりつつ、直器君が仕切り始める。
「斑目貘…君には屋形越えを行う資格がある。だが屋形越えの条件の一つである500億はこのラロ氏に奪われてしまっている。これで間違いはないね?」
「YES」
「ラロ氏、段階を踏み正当な権利を持ったのは斑目貘だ。君がいくら500億を手にしても、君が屋形越えをする事はできない。君が名乗りを上げる事は不可能だ」
「…そのようですね」
「しかし、このままではこれで話が終わってしまう…君をわざわざ呼ぶまでもない話になる。…一つ、チャンスを与えよう。今からゲームをしてもらう。屋形越え同様君の全てをテーブルの上に置いてもらう…当然500億も含まれるね。その条件をクリアした後なら、君の屋形越えを受ける」
「つまり二度金を賭ける…リスクが大き過ぎます」
「粛清対象が横から割り込む事を考えれば安い方だと思うが?」
「断れば?」
「屋形越えはこのまま斑目貘が行う」
げ、と反射的に思ってしまったが、直器君の背中からは嘘の気配がしたので私は見守ることにする。貘様と素直に屋形越えをする気もないらしい。三人ともが会話の裏で膨大な思考を巡らせている。
「しかし彼は500億を持っていませんよ?」
「そんなものはどうとでもなるよ。僕が立て替えてもいい。僕が言いたいのは君がこの話を断るという事は、賭郎を手にしたいという君の目的が終わりを告げるという事だ」
「…そんなものいらないね」
貘様が口を挟む。
「相変わらずお利口さんでムカつくねぇ〜。そんなの有り難く恵んでもらうつもりは無いね。この目も500億が奪われたのも自分の責任…無くしちゃったものは倍にして取り返しましょう…ギャンブルで」
つまり、貘様は勝負を受ける気になったという事。まだ、誰とどんなゲームをするか全く話していない段階だが…自分がこの先に呼ばれたという事は、自分がこのゲームに参加しなければいけないと悟って先回りした、という事なのかしら。
そして、その言葉でラロ氏も腹を決めたようだ。「勝負内容は?どこでどういう勝負を行うか分からなければYESと言えません」と、警戒を露わにはしつつも流れに乗り始める。
「ゲーム内容は二人が勝負をすると決めた後初めて考える。もちろん公平を期したものにする」
「…お話になりませんね」
「二人とも…勘違いしないで欲しい。今一方的に歩み寄っているのは僕だけだ。斑目貘、ビンセント・ラロ…このままだと君らは屋形越えの条件を満たしていない事になるんだよ?今ルールを決めるのは僕だ。ゲームはまだ決まっていない。僕の中で決めているのはただ一つ…卍を貼る…という事だけだ」
卍を貼る。また、大掛かりな事を。でもそうか。そうすればこの二人は勿論、立会人さんも数多く卍の中に閉じ込めてしまえる。私達も暫くのびのびと過ごせるという事か。いい事だ。
「卍とは?」とラロ氏が聞いてきたのを受けて、直器君が私に視線を送る。まあ、今の私は彼の部下なので仕方がない。
「卍とは‘縦横無尽に入り乱れる’…という意味です。文化圏によって様々な意味を持つ卍ですが、今回は卍巴の卍ですね。言葉の通り、貘様とラロ様、それぞれが招いたプレイヤーが限られた時間、限られた場所の中で縦横無尽に入り乱れながら好きに勝負をします。勿論、その場所や人数に応じた立会人が派遣されますので、全てのプレイヤーが立会人を呼び、公平を保証された状態で戦う事ができます。勝負の最中、卍…つまり、決められた場所の外に出る事も、そこに誰かを招き入れる事も禁止です。あくまで、その場所、時間、人数の中で戦って頂きます」
「成る程…いいでしょう。では…」
「…詳細については、これより派遣される立会人と共に決めて頂きますので、あしからず」
私はそこで説明を終え、直器君に進行役を返す。彼は「異論は無いようだね…ではそれ以外のルールを決めよう。斑目貘君、立会人を呼びたまえ」と言った。