アセビよ、貴方の手を引いて
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「いやっ…それで済ますな蜂名、晴乃さん!」
大船がシートを叩いて抗議するのを、蜂名はため息で受け止める。
「ガクト…君が亡き者となれば防衛省内に潜む事件の黒幕は動く…尻尾が見えればその正体は特定しやすくなるはずだ。君には今死んでいてもらった方が助かる。横井の協力を得て機を見て名乗り出れば省に潜む膿を見つける事もできる。そして、僕は城道と繋がっているものの電話番号も知っている。そして、もし君が望むなら膿の掃除を君が行えるようになる事もできる」
「そんな…勝手だぞ…お前達」
「…すまない。君に了承を取る時間はなかった」
「言い訳にはなるけどさ、最上立会人…あの人は私達を追う立場の人だったんだよ。私達も逃げ回りながらだったんだ」
「だが、結局君と僕達の繋がりは最上に気付かれた…僕らにはもう時間がない。でも…もう少し。あと少しだけ…ガクト、僕は君が知っている蜂名として、君といたい」
寂しげな笑顔を作る蜂名に大船は面食らい、何かを言いかけては口をもごつかせる。
「あと少しってなぁ…何とかならないのか…?」
「ならない」
「何故だ…蜂名」
「そこが私達の本来の居場所だから、仕方がないの。ついて来てもいいよ。でもね、私達は城道さんなんかより、ずっとずっと深い所に戻ってく。軽い気持ちで‘来て’なんて言えない位」
答えない蜂名の代わりを務めたのは晴乃だった。勿論蜂名はその行動を咎めるが、彼女は「この人、下手に誤魔化すと地の果てまで探しにくるよ。私と同じ匂いがするもん」と、しれっとした顔をしている。
「そうだぞ蜂名!俺はお前を仲間だと思っているっ!多少の困難は受け入れるつもりだ!」
「多少で済まないよ…」
力強い握り拳を作った大船を見て、蜂名は諦めたように笑う。晴乃はそれをミラー越しに見ながら、柔らかい笑顔を溢した。
「ところで、ヴォジャ…さん?貴女は一体どうしてここに…?そうだ、城道や横井…後、梶という男はどうなった?」
一つ解決すれば次が気になる大船に対し、我々はミラー越しに目配せし合う。さて、誰がどう答えるか?
「ヴォジャさんはね、レーシィ船長の船の配置を調べてた私達を妨害しに来たところを私が口説いたの。何てったって滅茶苦茶頭いいし強かったからね」
「城道は殺された。奴は船長室からダイヤを盗んだせいで、目をつけられてしまったんだ」
「横井と梶については心配いらないわ。船内の防犯カメラで逃げる所を確認している」
「そうか…」
我々は大船の質問を先回りするように、思いついた事をぽつぽつ教えてやる。あの船が本来どういうもので、どうなったのか。梶という男、レーシィという男。大体を聞き終えると、大船は手の平で額を覆い、深いため息をついた。
「我々は、随分な闇の中にいたようだ…。蜂名…お前が一旦俺を死んだ事にした事…責めて悪かったな。俺や横井だけでは太刀打ち出来なかっただろう…その、ありがとう」
「いいんだよ」
「そして…改めて頼みたい、蜂名、晴乃さん、ヴォジャさん。俺の仲間として、共にこの巨悪と戦ってくれないだろうか」
私達三人はもう一度目配せし合い、蜂名に判断を任せる。彼はすかさず「構わないよ」と笑った。
大船がシートを叩いて抗議するのを、蜂名はため息で受け止める。
「ガクト…君が亡き者となれば防衛省内に潜む事件の黒幕は動く…尻尾が見えればその正体は特定しやすくなるはずだ。君には今死んでいてもらった方が助かる。横井の協力を得て機を見て名乗り出れば省に潜む膿を見つける事もできる。そして、僕は城道と繋がっているものの電話番号も知っている。そして、もし君が望むなら膿の掃除を君が行えるようになる事もできる」
「そんな…勝手だぞ…お前達」
「…すまない。君に了承を取る時間はなかった」
「言い訳にはなるけどさ、最上立会人…あの人は私達を追う立場の人だったんだよ。私達も逃げ回りながらだったんだ」
「だが、結局君と僕達の繋がりは最上に気付かれた…僕らにはもう時間がない。でも…もう少し。あと少しだけ…ガクト、僕は君が知っている蜂名として、君といたい」
寂しげな笑顔を作る蜂名に大船は面食らい、何かを言いかけては口をもごつかせる。
「あと少しってなぁ…何とかならないのか…?」
「ならない」
「何故だ…蜂名」
「そこが私達の本来の居場所だから、仕方がないの。ついて来てもいいよ。でもね、私達は城道さんなんかより、ずっとずっと深い所に戻ってく。軽い気持ちで‘来て’なんて言えない位」
答えない蜂名の代わりを務めたのは晴乃だった。勿論蜂名はその行動を咎めるが、彼女は「この人、下手に誤魔化すと地の果てまで探しにくるよ。私と同じ匂いがするもん」と、しれっとした顔をしている。
「そうだぞ蜂名!俺はお前を仲間だと思っているっ!多少の困難は受け入れるつもりだ!」
「多少で済まないよ…」
力強い握り拳を作った大船を見て、蜂名は諦めたように笑う。晴乃はそれをミラー越しに見ながら、柔らかい笑顔を溢した。
「ところで、ヴォジャ…さん?貴女は一体どうしてここに…?そうだ、城道や横井…後、梶という男はどうなった?」
一つ解決すれば次が気になる大船に対し、我々はミラー越しに目配せし合う。さて、誰がどう答えるか?
「ヴォジャさんはね、レーシィ船長の船の配置を調べてた私達を妨害しに来たところを私が口説いたの。何てったって滅茶苦茶頭いいし強かったからね」
「城道は殺された。奴は船長室からダイヤを盗んだせいで、目をつけられてしまったんだ」
「横井と梶については心配いらないわ。船内の防犯カメラで逃げる所を確認している」
「そうか…」
我々は大船の質問を先回りするように、思いついた事をぽつぽつ教えてやる。あの船が本来どういうもので、どうなったのか。梶という男、レーシィという男。大体を聞き終えると、大船は手の平で額を覆い、深いため息をついた。
「我々は、随分な闇の中にいたようだ…。蜂名…お前が一旦俺を死んだ事にした事…責めて悪かったな。俺や横井だけでは太刀打ち出来なかっただろう…その、ありがとう」
「いいんだよ」
「そして…改めて頼みたい、蜂名、晴乃さん、ヴォジャさん。俺の仲間として、共にこの巨悪と戦ってくれないだろうか」
私達三人はもう一度目配せし合い、蜂名に判断を任せる。彼はすかさず「構わないよ」と笑った。