アセビよ、貴方の手を引いて
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協議の結果、完全に手分けして兵器入りコンテナを探すのは、主に私が危険という結論に達した。正直有り難い。
「残念、ハズレー」
「こっちもハズレ」
だからといってピッタリそばにいる必要もないので、私達は一人一列割り振って、並走する形を取ることになった。
「意外とヒットしないもんだぜ」
「100分の20だからね」
「そう思うと、賭けのテーブルにいるガクトさんは気が気じゃないだろうなあ」
「落ち着いてできるギャンブルなんてこの世に存在しないよ」
「それもそっか」
「あ、あった」
「おお!こっちはハズレ。縦置きかな?」
次のコンテナを開けた直器君は、「そうみたいだね」と微笑む。3マスの巡洋艦である事が分かると、私は早速ガクトさんに連絡を入れた。それを繰り返し、私達がE、F列、つまり、左から5、6列目に差し掛かった時だ。
『ヴォジャ…待っていたぞ…ヴォジャ』
『レーシィ船長、駆逐艦撃沈ならず』
『…心配は無用だ…ヴォジャ。2隻沈められたが、ここからは私の番だ』
私達は目を見合わせる。
「待っていた?」
「大方、あちらのイカサマの準備が整ったんだろう。晴乃君、急ごう」
『船長、連絡の取れない船員が一名
連絡も取れず姿も見えない船員が一名います、船長。そして他の者の話を聞いたところ、船に乗ったのは防衛省の男の他にもう二人いたと話す者がいました。船長、この船にはもう二名の侵入者がいる模様です』
『ヴォジャ…鼠を捕えろ。いいか、殺すのはこの私だ』
直器君の眉間に皺が寄る。私も似た様な顔をしているだろう。レーシィ船長のイカサマと私達の捜索が同時に始まってしまった。この命令で私達を探し始めるのは‘ヴォジャ’だけではないだろう。当然手の空いている船員は全員捜索に駆り出される。
となれば。
「晴乃君、君はそのコンテナの中だ」
「了解。直器君は?」
「ガクトの事もある。僕はギリギリまで粘って、そのまま船員の迎撃に入る」
「了解。…気を付けてくださいね」
「誰に言ってるの」
微笑んだ直器君にとりあえず微笑みを返して、私はコンテナに篭る準備を始める。
さて、鍵を馬鹿にしなきゃいけない。その為には扉の上下にあるフックを壊せばいい。じゃあどうする?簡単だ、一旦凍らせればいいのだ。大体の金属には低温脆性があり、鉄も例外ではない。冷やせば壊せる。そうご理解頂きたい。勿論、雪が降る程度の寒さじゃあ凍らない。液体窒素で凍らすのだ。その液体窒素は危険物故、通常空路では輸送されない。多くの場合、船便で輸送される。
そう。長々話したが、要は‘さっきのコンテナに在ったのが使えそうだぞ’と言っている。
私は液体窒素のスプレー缶を二本拝借し、両ポケットに詰める。ツルハシも一本拝借し、早速コンテナの鍵を破壊した。因みに、コンテナは横流し兵器入りのを選んでみた。最悪見つかったらここの兵器で最後まで戦う所存である。兵器、使ったことなどないのだが。
さてコンテナに引きこもった私は、ドアにピッタリと耳を寄せ、漏れ聞こえてくる物音を拾う。バタバタと複数の足音の主が「やっぱり誰も見つからねえな」「メールの情報通り侵入者は船内にいるに違ねえ。行こうぜ」と話している。その後も話し声は行ったり来たり。
「ちょ…ちょっと待ってくれよ。ダメ元でやってみるから…」
不意に聞き覚えがある声が耳に届いて、私は目を丸くする。城道さんじゃないか。船員側に着いたのか。そりゃそうか。何をするやらと思っていたら、携帯の着信音が鳴った。成る程、今城道さんの携帯は直器君が持っている。それに掛けた訳か。賢い。だが、直器君は迎撃すると言っていたから心配はしない。迎撃は迎撃。持っていた携帯が鳴ったからとて、私ごときが難しく考える必要はないのだ。
「このコンテナからだ…閉まってねえ。中にいるぞ」
「へ…全員で入った方がいい…油断するな…奴はためらいなく人を殺す奴だ…へへ。今鳴ったのは俺の携帯電話なんだ…。俺から奪ったものだ。俺は敵じゃねえって言ったろ?出港の邪魔をする本当の敵はコイツらだ…トイレの乗組員を殺ったのもコイツだ。きっちり始末してくれよお?頼むぜぇ…でなきゃ…へ…へへ…俺は困るんだ…金が貰えねえし、もうこの美味しい仕事で食っていけなくなっちまうからなぁ〜」
全体的に知らんがなである。私は忠告はした。貴方は今日をきっかけに、また一段深いところへ足を踏み入れる事になる。しかし、貴方はそこで待ち受ける人々とは渡り合えないだろう。待っているのは…やめよう。あまり考えたくない。とにかく、私はもう手は出さない。
「へへ…おい、聞こえるかぁ〜?お前も残りの奴らも死んでもらう…へ…へへ…分かるか?お前に俺の気持ちが分かるかぁ?何度も同じようなクズ男と付き合う…そんな男しか好きになれない女の気持ちが分かるか?絶対に幸せになれないと頭の中で散々理解していても同じ事を繰り返す…そんな人間の気持ちがお前に分かるかぁ〜?」
分からん。ごめん嘘。ちょっと分かる。弥鱈君を追いかけ目蒲さんを助けお屋形様と逃げ出して今この様である。結構ダメンズウォーカーのケがあるかも知れない。
「残念、ハズレー」
「こっちもハズレ」
だからといってピッタリそばにいる必要もないので、私達は一人一列割り振って、並走する形を取ることになった。
「意外とヒットしないもんだぜ」
「100分の20だからね」
「そう思うと、賭けのテーブルにいるガクトさんは気が気じゃないだろうなあ」
「落ち着いてできるギャンブルなんてこの世に存在しないよ」
「それもそっか」
「あ、あった」
「おお!こっちはハズレ。縦置きかな?」
次のコンテナを開けた直器君は、「そうみたいだね」と微笑む。3マスの巡洋艦である事が分かると、私は早速ガクトさんに連絡を入れた。それを繰り返し、私達がE、F列、つまり、左から5、6列目に差し掛かった時だ。
『ヴォジャ…待っていたぞ…ヴォジャ』
『レーシィ船長、駆逐艦撃沈ならず』
『…心配は無用だ…ヴォジャ。2隻沈められたが、ここからは私の番だ』
私達は目を見合わせる。
「待っていた?」
「大方、あちらのイカサマの準備が整ったんだろう。晴乃君、急ごう」
『船長、連絡の取れない船員が一名
連絡も取れず姿も見えない船員が一名います、船長。そして他の者の話を聞いたところ、船に乗ったのは防衛省の男の他にもう二人いたと話す者がいました。船長、この船にはもう二名の侵入者がいる模様です』
『ヴォジャ…鼠を捕えろ。いいか、殺すのはこの私だ』
直器君の眉間に皺が寄る。私も似た様な顔をしているだろう。レーシィ船長のイカサマと私達の捜索が同時に始まってしまった。この命令で私達を探し始めるのは‘ヴォジャ’だけではないだろう。当然手の空いている船員は全員捜索に駆り出される。
となれば。
「晴乃君、君はそのコンテナの中だ」
「了解。直器君は?」
「ガクトの事もある。僕はギリギリまで粘って、そのまま船員の迎撃に入る」
「了解。…気を付けてくださいね」
「誰に言ってるの」
微笑んだ直器君にとりあえず微笑みを返して、私はコンテナに篭る準備を始める。
さて、鍵を馬鹿にしなきゃいけない。その為には扉の上下にあるフックを壊せばいい。じゃあどうする?簡単だ、一旦凍らせればいいのだ。大体の金属には低温脆性があり、鉄も例外ではない。冷やせば壊せる。そうご理解頂きたい。勿論、雪が降る程度の寒さじゃあ凍らない。液体窒素で凍らすのだ。その液体窒素は危険物故、通常空路では輸送されない。多くの場合、船便で輸送される。
そう。長々話したが、要は‘さっきのコンテナに在ったのが使えそうだぞ’と言っている。
私は液体窒素のスプレー缶を二本拝借し、両ポケットに詰める。ツルハシも一本拝借し、早速コンテナの鍵を破壊した。因みに、コンテナは横流し兵器入りのを選んでみた。最悪見つかったらここの兵器で最後まで戦う所存である。兵器、使ったことなどないのだが。
さてコンテナに引きこもった私は、ドアにピッタリと耳を寄せ、漏れ聞こえてくる物音を拾う。バタバタと複数の足音の主が「やっぱり誰も見つからねえな」「メールの情報通り侵入者は船内にいるに違ねえ。行こうぜ」と話している。その後も話し声は行ったり来たり。
「ちょ…ちょっと待ってくれよ。ダメ元でやってみるから…」
不意に聞き覚えがある声が耳に届いて、私は目を丸くする。城道さんじゃないか。船員側に着いたのか。そりゃそうか。何をするやらと思っていたら、携帯の着信音が鳴った。成る程、今城道さんの携帯は直器君が持っている。それに掛けた訳か。賢い。だが、直器君は迎撃すると言っていたから心配はしない。迎撃は迎撃。持っていた携帯が鳴ったからとて、私ごときが難しく考える必要はないのだ。
「このコンテナからだ…閉まってねえ。中にいるぞ」
「へ…全員で入った方がいい…油断するな…奴はためらいなく人を殺す奴だ…へへ。今鳴ったのは俺の携帯電話なんだ…。俺から奪ったものだ。俺は敵じゃねえって言ったろ?出港の邪魔をする本当の敵はコイツらだ…トイレの乗組員を殺ったのもコイツだ。きっちり始末してくれよお?頼むぜぇ…でなきゃ…へ…へへ…俺は困るんだ…金が貰えねえし、もうこの美味しい仕事で食っていけなくなっちまうからなぁ〜」
全体的に知らんがなである。私は忠告はした。貴方は今日をきっかけに、また一段深いところへ足を踏み入れる事になる。しかし、貴方はそこで待ち受ける人々とは渡り合えないだろう。待っているのは…やめよう。あまり考えたくない。とにかく、私はもう手は出さない。
「へへ…おい、聞こえるかぁ〜?お前も残りの奴らも死んでもらう…へ…へへ…分かるか?お前に俺の気持ちが分かるかぁ?何度も同じようなクズ男と付き合う…そんな男しか好きになれない女の気持ちが分かるか?絶対に幸せになれないと頭の中で散々理解していても同じ事を繰り返す…そんな人間の気持ちがお前に分かるかぁ〜?」
分からん。ごめん嘘。ちょっと分かる。弥鱈君を追いかけ目蒲さんを助けお屋形様と逃げ出して今この様である。結構ダメンズウォーカーのケがあるかも知れない。