ハシバミの小旅行
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目蒲さんが測ってくれたところをどんどん図面に書き込んでいく。因みに図面も「馬鹿か。リストにしても後から分からなくなるに決まってるだろう。ほら、貸せ」と憎まれ口を叩きつつ目蒲さんがさっと書き上げてくれたものだ。全く、優しいのに嫌味な人だ。
「ほら、床測るぞ。端持て」
「はい!」
「おい短い距離でも松葉杖使え!」
「えー」
「当たり前だろうが…ほら、12m」
「ここ、半分に仕切って寝室とリビングと分けたいです!」
「いいんじゃねえの?」
「よっしゃ!」
私は図面に線を一本引いた。それを見た目蒲さんが眉間にしわを寄せ、「それじゃ通りづらいだろうが」と苦言を一つ。そしてピッと図面を取り上げ、書いたばかりの仕切りを1センチほど前にずらした。
「ここに仕切り置くと給湯室から出てきた時に邪魔になるだろ。考えろ」
「…目蒲さんA型?」
「いやO型…おいなんだその顔は」
「いやー、意外だなぁと思っただけですよ?」
「ぜってえ違うだろ、それ」
言ってみろ怒らねぇから、と詰め寄る目蒲さんから全力で目をそらす。この人は絶対怒るタイプだと思う。
しばらく押し問答を続けていたが、ノックに遮られる。お屋形様が言っていた付き添いの人が来たのだろう。立ち上がろうとしたところで「だから松葉杖使えっつってんだろ」と叱られた。そして目蒲さんも立ち上がり、彼のエスコートの元仕方がなく松葉杖をつきながらドアを開けにいく。
ドアの向こうに居たのは、すらっと背の高い、ミディアムヘアのお姉さん。真っ黒い髪と意思の強そうな猫目が麗しい。
「おや、これはこれは。泉江外務卿じゃあありませんか。お忙しい中ご苦労な事ですねぇ」
何を思ったか、目蒲さんが嫌味ったらしくそう言った。
「フン…目蒲か。女の世話とは、立会人も暇になったものだな」
「友人なものでしてねぇ。そちらこそ、天下の外務卿様がたかが買い物の付き添いを引き受けて下さるとはお優しい」
泉江と呼ばれる女性がキッと目を吊り上げ、目蒲さんがニヤッと笑う。ほっとけばいつまででも嫌味を言い合うのだろう。よりによって、私の買い物前に!
私は目蒲さんの口を塞ごうと右手を伸ばす。すると、脇に挟む形になっていた松葉杖が支えを失って倒れる。それによってバランスを崩し、私の体は目蒲さんに体当たりをかますかのように倒れそうになるが、目蒲さんが素晴らしい反応速度で抱きとめてくれた。泉江さんも驚いたのだろう。きゅっと眉間にしわを寄せた。
「お、お前今なんで倒れた!?」
まだ体調が戻っていないのではと心配をしてくれる目蒲さんに「目蒲さんの口を塞ごうと思ったんです…」と言うと、彼は目に見えて脱力した。
「もういい、お前早く行け」
大きなため息まじりに、目蒲さんはそう言って私の背を押す。その姿を見て泉江さんが眉間のしわを深くした。
ああ、この人多分、私の何かが気に食わないんだ。
まずいなとは思ったけれど、時すでに遅し。目蒲さんは私を押し出して、部屋のドアを閉めてしまった。
気まずいショッピングの始まりである。
「ほら、床測るぞ。端持て」
「はい!」
「おい短い距離でも松葉杖使え!」
「えー」
「当たり前だろうが…ほら、12m」
「ここ、半分に仕切って寝室とリビングと分けたいです!」
「いいんじゃねえの?」
「よっしゃ!」
私は図面に線を一本引いた。それを見た目蒲さんが眉間にしわを寄せ、「それじゃ通りづらいだろうが」と苦言を一つ。そしてピッと図面を取り上げ、書いたばかりの仕切りを1センチほど前にずらした。
「ここに仕切り置くと給湯室から出てきた時に邪魔になるだろ。考えろ」
「…目蒲さんA型?」
「いやO型…おいなんだその顔は」
「いやー、意外だなぁと思っただけですよ?」
「ぜってえ違うだろ、それ」
言ってみろ怒らねぇから、と詰め寄る目蒲さんから全力で目をそらす。この人は絶対怒るタイプだと思う。
しばらく押し問答を続けていたが、ノックに遮られる。お屋形様が言っていた付き添いの人が来たのだろう。立ち上がろうとしたところで「だから松葉杖使えっつってんだろ」と叱られた。そして目蒲さんも立ち上がり、彼のエスコートの元仕方がなく松葉杖をつきながらドアを開けにいく。
ドアの向こうに居たのは、すらっと背の高い、ミディアムヘアのお姉さん。真っ黒い髪と意思の強そうな猫目が麗しい。
「おや、これはこれは。泉江外務卿じゃあありませんか。お忙しい中ご苦労な事ですねぇ」
何を思ったか、目蒲さんが嫌味ったらしくそう言った。
「フン…目蒲か。女の世話とは、立会人も暇になったものだな」
「友人なものでしてねぇ。そちらこそ、天下の外務卿様がたかが買い物の付き添いを引き受けて下さるとはお優しい」
泉江と呼ばれる女性がキッと目を吊り上げ、目蒲さんがニヤッと笑う。ほっとけばいつまででも嫌味を言い合うのだろう。よりによって、私の買い物前に!
私は目蒲さんの口を塞ごうと右手を伸ばす。すると、脇に挟む形になっていた松葉杖が支えを失って倒れる。それによってバランスを崩し、私の体は目蒲さんに体当たりをかますかのように倒れそうになるが、目蒲さんが素晴らしい反応速度で抱きとめてくれた。泉江さんも驚いたのだろう。きゅっと眉間にしわを寄せた。
「お、お前今なんで倒れた!?」
まだ体調が戻っていないのではと心配をしてくれる目蒲さんに「目蒲さんの口を塞ごうと思ったんです…」と言うと、彼は目に見えて脱力した。
「もういい、お前早く行け」
大きなため息まじりに、目蒲さんはそう言って私の背を押す。その姿を見て泉江さんが眉間のしわを深くした。
ああ、この人多分、私の何かが気に食わないんだ。
まずいなとは思ったけれど、時すでに遅し。目蒲さんは私を押し出して、部屋のドアを閉めてしまった。
気まずいショッピングの始まりである。