アセビよ、貴方の手を引いて
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「…そう言ってしまえばそれまで…確かな事じゃないし、あくまでどう捉えるかって事に過ぎない」
「何の話だ、蜂名?」
「さっき君と横井の通話中に僕は君のもう一つの携帯で横井にメールを送った」
「それがどうした蜂名」
「横井の携帯が通話中もメールを受信するタイプのものだとすれば、君との会話中にメールが来た事も考えられるよね」
「ああ」
「さっき横井の声が途中で遠く離れたように感じなかった?」
「ああ…そういえば」
「それは奴が俺との通話中にメールを確認したからじゃないのか?」
「こう?これくらいの距離で声が離れる?」
「というか、貴方との通話中に貴方からメールが来たら普通不審に思いますよね」
「そう…確かに自分の携帯なら着信したのはメールと分かるはず。大事な話…ましてや船の名前を喋ってるタイミングで携帯を見るのも不自然。もちろん横井がそうしたと捉えればそれまで…しかし、こう」
直器君は携帯をガクトさんの耳に近づけて、話を続ける。
「もしこの状態、横井が自分で携帯を持っていない場合。この時メールの着信が鳴り、携帯を持っているものが咄嗟にそれをチェックしたとしたらどうなる?」
「声は…遠くなる。そして… 晴乃さんが言った通り、俺との通話中に俺からメールが届く矛盾をスルーした理由にも、そもそも俺を知らなかったとすれば説明がつく」
「そう…横井が自分で携帯を持たなかった理由は…身体を拘束されているから。1、横井の声が遠くなったのは大した理由もなくただの偶然」
「2、横井は何者かに拉致され脅され、無理矢理俺を船に呼び込むよう喋らされていた」
「ガクトは…どう捉える?電話に中々出なかった事、横井自身が出迎えない事もおかしい。ガクト、目的の船ジャルード号は密輸船。何かあった時の為船名を変える用意があったとしてもおかしくはない。横井がいる船、GALLOP号の表記を見てみよう。例えばそのアルファベットの形。GとPに何かあるかもしれない。ジャルード号のスペルがもしJALLOUDであったとしよう。これをGALLOPに変えるとしたらアルファベットの形に痕跡が見て取れるかもしれない」
「蜂名お前…」
「僕達が真に押収したいのはあんな端金じゃなく、ミサイルだ。そうだろう?」
ーーーーーーーーーー
「晴乃君、行くよ」
「へ?うん」
ギャロップ号を発見するなり直器君はそう言って車を降りたので、私もとりあえず指示に従う。当然ガクトさんが待ったをかけた。
「ちょっと待て、どこへ行く気だ?」
「いいかいガクト、あそこにギャロップ号に荷を積み込まんとする運送業者がいる…あれが裏の人間か表の人間か?それを知る事で敵の大まかな数が知れると思わないか?」
「…確かにな。だが、晴乃さんを連れて行って何になる」
「晴乃君は僕の優秀な秘書だよ。知ってるでしょ?」
「じゃあ俺も」
「三人は多い」
そうバッサリ切って、直器君はガクトさんを丁寧に車内に押し込めた。
「仲間はずれ感が凄い」
「心が痛むよ。さあ、行こう。君は僕の嘘発見器をしてくれればいいから」
直器君はそう言うと何気無く私の手を取って、スタスタ歩いて行く。さっき叱られてしまったから、彼なりに甘えているんだろうか?可愛い人だなあ。
しかし、とても優秀な彼の事。少し業者と会話をしたと思えば、ホクホク顔で踵を返す。
「一般人だったね」
「ね。良かったよかった」
うふふと笑い合いながら車に戻ると、仏頂面のガクトさんが待っていた。
「お前たち…仲良く手を繋いで楽しそうに…」
「ごめんガクト、次は一緒に行こう」
「いや、そうじゃなくてなあ」
「寂しかった?」
「ちょっと、晴乃さんまで。…もういい、どうだったんだ?」
「思った通りだったよ。運送会社は真っ当な会社だ。船もただの貨物船だと思っていた。ごく普通の取引としか知らされていないただの第三者。何とか僕一人で彼らを言いくるめコンテナを隠し…伝票などのコンテナ情報を破棄できると思う」
「そっちがうまく行くとは限らん。XASM-3のみならずF35までとなれば事は重大だ。隠密行動は終わりだ。ブツを確実に抑える必要がある…応援を呼んだが、それまで船がいる保証がない。俺が乗り込み時間を稼ぐ。もし奴らが残りコンテナを放棄して出港する強硬手段に出れば終わりだが…やるしかない。お前を信じるぞ、蜂名…船は抑える」
「いいや…その応援が来る保証もない… 晴乃君、君が船を抑えなよ。ガクトは…」
「そんな危険な事させられるか!女性なんだぞ!」
ガクトさんはハンドルを叩き、怒る。庇って貰えるなんて女性冥利に尽きるが…
「いいよ、ガクトさん。多分何とかなるから」
「駄目だ!ただでさえ俺の任務に付き合って貰っている立場でこれ以上の危険になど晒せん!」
「でもガクトさん、応援が来ない可能性がある以上、確実に応援を引っ張って来れる人が必要だよ。私と直器君には今後ろ盾がないから、できるのはガクトさんだけなんだよ」
「だが…だが危険だ!」
ハンドルを叩いて抗議するガクトさんを見て、直器君は肩を竦める。
「…分かった。それがガクトが守りたいルールなんだね。晴乃君、ガクトの補佐について」
「むう…了解」
「三人で何とかしよう。何とかなるでしょ、強運の僕がいるからね」
「何の話だ、蜂名?」
「さっき君と横井の通話中に僕は君のもう一つの携帯で横井にメールを送った」
「それがどうした蜂名」
「横井の携帯が通話中もメールを受信するタイプのものだとすれば、君との会話中にメールが来た事も考えられるよね」
「ああ」
「さっき横井の声が途中で遠く離れたように感じなかった?」
「ああ…そういえば」
「それは奴が俺との通話中にメールを確認したからじゃないのか?」
「こう?これくらいの距離で声が離れる?」
「というか、貴方との通話中に貴方からメールが来たら普通不審に思いますよね」
「そう…確かに自分の携帯なら着信したのはメールと分かるはず。大事な話…ましてや船の名前を喋ってるタイミングで携帯を見るのも不自然。もちろん横井がそうしたと捉えればそれまで…しかし、こう」
直器君は携帯をガクトさんの耳に近づけて、話を続ける。
「もしこの状態、横井が自分で携帯を持っていない場合。この時メールの着信が鳴り、携帯を持っているものが咄嗟にそれをチェックしたとしたらどうなる?」
「声は…遠くなる。そして… 晴乃さんが言った通り、俺との通話中に俺からメールが届く矛盾をスルーした理由にも、そもそも俺を知らなかったとすれば説明がつく」
「そう…横井が自分で携帯を持たなかった理由は…身体を拘束されているから。1、横井の声が遠くなったのは大した理由もなくただの偶然」
「2、横井は何者かに拉致され脅され、無理矢理俺を船に呼び込むよう喋らされていた」
「ガクトは…どう捉える?電話に中々出なかった事、横井自身が出迎えない事もおかしい。ガクト、目的の船ジャルード号は密輸船。何かあった時の為船名を変える用意があったとしてもおかしくはない。横井がいる船、GALLOP号の表記を見てみよう。例えばそのアルファベットの形。GとPに何かあるかもしれない。ジャルード号のスペルがもしJALLOUDであったとしよう。これをGALLOPに変えるとしたらアルファベットの形に痕跡が見て取れるかもしれない」
「蜂名お前…」
「僕達が真に押収したいのはあんな端金じゃなく、ミサイルだ。そうだろう?」
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「晴乃君、行くよ」
「へ?うん」
ギャロップ号を発見するなり直器君はそう言って車を降りたので、私もとりあえず指示に従う。当然ガクトさんが待ったをかけた。
「ちょっと待て、どこへ行く気だ?」
「いいかいガクト、あそこにギャロップ号に荷を積み込まんとする運送業者がいる…あれが裏の人間か表の人間か?それを知る事で敵の大まかな数が知れると思わないか?」
「…確かにな。だが、晴乃さんを連れて行って何になる」
「晴乃君は僕の優秀な秘書だよ。知ってるでしょ?」
「じゃあ俺も」
「三人は多い」
そうバッサリ切って、直器君はガクトさんを丁寧に車内に押し込めた。
「仲間はずれ感が凄い」
「心が痛むよ。さあ、行こう。君は僕の嘘発見器をしてくれればいいから」
直器君はそう言うと何気無く私の手を取って、スタスタ歩いて行く。さっき叱られてしまったから、彼なりに甘えているんだろうか?可愛い人だなあ。
しかし、とても優秀な彼の事。少し業者と会話をしたと思えば、ホクホク顔で踵を返す。
「一般人だったね」
「ね。良かったよかった」
うふふと笑い合いながら車に戻ると、仏頂面のガクトさんが待っていた。
「お前たち…仲良く手を繋いで楽しそうに…」
「ごめんガクト、次は一緒に行こう」
「いや、そうじゃなくてなあ」
「寂しかった?」
「ちょっと、晴乃さんまで。…もういい、どうだったんだ?」
「思った通りだったよ。運送会社は真っ当な会社だ。船もただの貨物船だと思っていた。ごく普通の取引としか知らされていないただの第三者。何とか僕一人で彼らを言いくるめコンテナを隠し…伝票などのコンテナ情報を破棄できると思う」
「そっちがうまく行くとは限らん。XASM-3のみならずF35までとなれば事は重大だ。隠密行動は終わりだ。ブツを確実に抑える必要がある…応援を呼んだが、それまで船がいる保証がない。俺が乗り込み時間を稼ぐ。もし奴らが残りコンテナを放棄して出港する強硬手段に出れば終わりだが…やるしかない。お前を信じるぞ、蜂名…船は抑える」
「いいや…その応援が来る保証もない… 晴乃君、君が船を抑えなよ。ガクトは…」
「そんな危険な事させられるか!女性なんだぞ!」
ガクトさんはハンドルを叩き、怒る。庇って貰えるなんて女性冥利に尽きるが…
「いいよ、ガクトさん。多分何とかなるから」
「駄目だ!ただでさえ俺の任務に付き合って貰っている立場でこれ以上の危険になど晒せん!」
「でもガクトさん、応援が来ない可能性がある以上、確実に応援を引っ張って来れる人が必要だよ。私と直器君には今後ろ盾がないから、できるのはガクトさんだけなんだよ」
「だが…だが危険だ!」
ハンドルを叩いて抗議するガクトさんを見て、直器君は肩を竦める。
「…分かった。それがガクトが守りたいルールなんだね。晴乃君、ガクトの補佐について」
「むう…了解」
「三人で何とかしよう。何とかなるでしょ、強運の僕がいるからね」