アセビよ、貴方の手を引いて
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『どうもこうもねぇ…もう腹がパンパンで死にそうだった。いい加減うんざりだよ…毎回あの大食漢に付き合うのは体が持たねえ。おかげで吐きっぷりが上達しちまった。あいつまだまだあのファミレスで食う勢いだったぜ…ああ…大丈夫だ…ちゃんと仕事は済ませた…もう少ししたら予定通りそっちに向かう…額はいつも通り一億だ。手数料もいつも通りだ』
よし、ビンゴだ。
『じゃあ帰るぞ。今回も香港ルートでいけるな?』
「あ」
助手席でぼーっとしていた晴乃さんが声を上げる。俺は驚いて彼女を見たが、コートを脱ぎ始めただけだった。
「どうしたの晴乃さん、袖でも引っかかった?」
「何言ってるんですか。来る来る」
「何がよ」
頼りになりそうなオーラを出していたから連れてきたはいいが、蜂名は外の空気を吸ってくると車を出てしまったし、晴乃さんはコートと格闘中。何だかなあである。
「急げ急げ」
そうぶつぶつ呟きながら、彼女はシャツのボタンを二つほど開けて着崩すと、シャツの下でブラジャーのホックを外した。胸元でブラジャーが跳ね上がったのがシャツ越しに分かった。…え?
「大船さん、ここは任せて下さいね」
そう言うと彼女はがばっと俺に跨る。そして、俺を熱のこもった目で見つめながらヘッドホンを外す。えー何?!据え膳食わぬは?!
「ねーこれお宅が…ってうわ?!」
「うわ?!」
「きゃー!」
混乱しつつも晴乃さんに恥をかかす訳にはいかないと心を決めたのと、車のドアが開かれるのは同時くらい。そして、洗浄屋と俺達の悲鳴が上がったのも同時くらいだった。
「信じらんない何勝手にドア開けてんのよ!変態!」
「いやっ、違っ」
「言い訳はいいからさっさとドア閉めてよ!警察呼ぶわよ?!」
そう捲し立てながら晴乃さんはドアを閉めようと手を伸ばし、一瞬迷って男の手首を握った。
「それか…混ざる?」
わー晴乃さん破廉恥!
と思ったら、男が吹っ飛び、晴乃さんは大笑い。
「直器君ナイスシュート!」
「野球はナイスボールだよ」
「蜂名!一体どこへ行ってたんだ!」
「お前の守備をしていただけだ」
晴乃さんはまだ余韻で笑い続けながら俺の上から退いて、服装を正す。俺は彼女の着替えを見ないように車から降りつつ、「気付いてたんですか」と喋りかける。
「ええ。ブラインドから目が見えたもので。流石に盗聴中に本気で邪魔はしませんよ?」
「蜂名も」
「うん。僕は遊んでただけ」
「あはは。ホントはドア閉めたら車出してやろうかと思ってましたけど、直器君が助けてくれそうだったんで」
「で、当たりだったのか?ガクト」
「あ…ああ…金はあった。受け取った場所もゲロった…上出来だ」
「じゃあ…行こうか。君には一宿一飯の恩がある」
「この人達はどうします?」
「転がしといたら?」
「はーい」
彼女は助手席に腰掛け直すと、「うーん」と伸びをした。蜂名はそれに呼応してかあくびを一つすると、後部座席に潜り込む。
「じゃ、ガクトが一億を回収したら出発ね」
「ファイトです」
「あんたらね」
適当な二人にため息をつき、俺は洗浄屋の事務所へと上がって行く。
ーーーーーーーーーー
「君、僕との連携に慣れてるね」
「残念、これが初連携」
彼女は後部座席を振り返って笑いかける。
「ちょっと旅が危険な感じになってきたから、教えとくね。私、人の…心っていうのかな。そういうのが分かるんだ。具体的な考えは読めないけどね。文字通りの読心術」
「ふうん?」
「ごめん、見せた方が早いよねえ?」
そう言うと彼女は車外に出て、転がっている洗浄屋の一人の頬を軽く叩いて起こす。そして、「なっ、お前は…」と面食らった男の口にすかさずカプセル錠を放り込み、無理矢理水で流し込む。
「何を…」
「ああそれ?私の悩みの種を消してくれる優秀なお薬です。効き始めまで10分位かな?死にたくない?」
「なっ…くそっ!」
男が指を突っ込んで吐こうとするのを、彼女は手首を掴んで止める。
「まあまあお兄さん。私平和主義者なんですよ。あの一億の持ち主の事だけ答えてくれたら生きて返してあげますから」
「話、す訳…」
「じゃ、いい子でそこに居てください」
「行きますよー」と車の窓から顔を出す僕に微笑みかけると、彼女は早速異様な尋問を始めた。
「男?ふむ男。じゃ、髪の毛って何色?黒、茶、金…ほほう金色。あ、何歳くらい?20代…30代…あら30代。若いですね。後なんでしょ。ええと…」
「車」
「ああはい。色は?赤、青、黄、黒…黒ですか」
「セダン?」
「セダンだそうです」
「ふうん。…さ、ガクトさんに確認しなきゃね」
「いやいいよ。ガクトには黙っときなよ、そのチカラ」
「へ?うん分かった」
ポカンとしている男に、彼女は「ごめんなさいね、さっきのはただの頭痛薬。30分は運転しちゃダメですよ」と笑いかけて肩を叩いた。
よし、ビンゴだ。
『じゃあ帰るぞ。今回も香港ルートでいけるな?』
「あ」
助手席でぼーっとしていた晴乃さんが声を上げる。俺は驚いて彼女を見たが、コートを脱ぎ始めただけだった。
「どうしたの晴乃さん、袖でも引っかかった?」
「何言ってるんですか。来る来る」
「何がよ」
頼りになりそうなオーラを出していたから連れてきたはいいが、蜂名は外の空気を吸ってくると車を出てしまったし、晴乃さんはコートと格闘中。何だかなあである。
「急げ急げ」
そうぶつぶつ呟きながら、彼女はシャツのボタンを二つほど開けて着崩すと、シャツの下でブラジャーのホックを外した。胸元でブラジャーが跳ね上がったのがシャツ越しに分かった。…え?
「大船さん、ここは任せて下さいね」
そう言うと彼女はがばっと俺に跨る。そして、俺を熱のこもった目で見つめながらヘッドホンを外す。えー何?!据え膳食わぬは?!
「ねーこれお宅が…ってうわ?!」
「うわ?!」
「きゃー!」
混乱しつつも晴乃さんに恥をかかす訳にはいかないと心を決めたのと、車のドアが開かれるのは同時くらい。そして、洗浄屋と俺達の悲鳴が上がったのも同時くらいだった。
「信じらんない何勝手にドア開けてんのよ!変態!」
「いやっ、違っ」
「言い訳はいいからさっさとドア閉めてよ!警察呼ぶわよ?!」
そう捲し立てながら晴乃さんはドアを閉めようと手を伸ばし、一瞬迷って男の手首を握った。
「それか…混ざる?」
わー晴乃さん破廉恥!
と思ったら、男が吹っ飛び、晴乃さんは大笑い。
「直器君ナイスシュート!」
「野球はナイスボールだよ」
「蜂名!一体どこへ行ってたんだ!」
「お前の守備をしていただけだ」
晴乃さんはまだ余韻で笑い続けながら俺の上から退いて、服装を正す。俺は彼女の着替えを見ないように車から降りつつ、「気付いてたんですか」と喋りかける。
「ええ。ブラインドから目が見えたもので。流石に盗聴中に本気で邪魔はしませんよ?」
「蜂名も」
「うん。僕は遊んでただけ」
「あはは。ホントはドア閉めたら車出してやろうかと思ってましたけど、直器君が助けてくれそうだったんで」
「で、当たりだったのか?ガクト」
「あ…ああ…金はあった。受け取った場所もゲロった…上出来だ」
「じゃあ…行こうか。君には一宿一飯の恩がある」
「この人達はどうします?」
「転がしといたら?」
「はーい」
彼女は助手席に腰掛け直すと、「うーん」と伸びをした。蜂名はそれに呼応してかあくびを一つすると、後部座席に潜り込む。
「じゃ、ガクトが一億を回収したら出発ね」
「ファイトです」
「あんたらね」
適当な二人にため息をつき、俺は洗浄屋の事務所へと上がって行く。
ーーーーーーーーーー
「君、僕との連携に慣れてるね」
「残念、これが初連携」
彼女は後部座席を振り返って笑いかける。
「ちょっと旅が危険な感じになってきたから、教えとくね。私、人の…心っていうのかな。そういうのが分かるんだ。具体的な考えは読めないけどね。文字通りの読心術」
「ふうん?」
「ごめん、見せた方が早いよねえ?」
そう言うと彼女は車外に出て、転がっている洗浄屋の一人の頬を軽く叩いて起こす。そして、「なっ、お前は…」と面食らった男の口にすかさずカプセル錠を放り込み、無理矢理水で流し込む。
「何を…」
「ああそれ?私の悩みの種を消してくれる優秀なお薬です。効き始めまで10分位かな?死にたくない?」
「なっ…くそっ!」
男が指を突っ込んで吐こうとするのを、彼女は手首を掴んで止める。
「まあまあお兄さん。私平和主義者なんですよ。あの一億の持ち主の事だけ答えてくれたら生きて返してあげますから」
「話、す訳…」
「じゃ、いい子でそこに居てください」
「行きますよー」と車の窓から顔を出す僕に微笑みかけると、彼女は早速異様な尋問を始めた。
「男?ふむ男。じゃ、髪の毛って何色?黒、茶、金…ほほう金色。あ、何歳くらい?20代…30代…あら30代。若いですね。後なんでしょ。ええと…」
「車」
「ああはい。色は?赤、青、黄、黒…黒ですか」
「セダン?」
「セダンだそうです」
「ふうん。…さ、ガクトさんに確認しなきゃね」
「いやいいよ。ガクトには黙っときなよ、そのチカラ」
「へ?うん分かった」
ポカンとしている男に、彼女は「ごめんなさいね、さっきのはただの頭痛薬。30分は運転しちゃダメですよ」と笑いかけて肩を叩いた。