アセビよ、貴方の手を引いて
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「蜂名さーん…まだやってたんすか。そんなにパソコンが好きなの?」
「ねえもう朝ご飯できたよー?直器君食べようよー。ガクトさんと食べちゃうよー」
二人が呼び掛けてくるのに「待って」と答え、僕はパソコンを一旦閉じる。どの道このパソコンでは栄羽の情報は得られないと諦めた所だった。丁度いいタイミングだったのだろう。
「今日は?」
「和食にしてみたよ」
「朝はパン派じゃなかったの?」
「明日はエスニックにするんだ」
「晴乃さん、それはやめてくれませんか」
「家主が言うなら従いましょう」
けらけら笑う晴乃君は、昨日から僕の事を直器君と呼び始めた。どんどん距離を詰めてくる。もしや友達だったのかと聞くと、「うん、ほぼね」との答えだった。ほぼって何だろう。
「頂きます」と三人で手を合わせて、晴乃君の手料理を食べる。ここ三日間の恒例行事だ。ここで交わす馬鹿っぽい会話がまた楽しかったりする。
「しかし、本が増えましたね」
「ホーント。もう五十万吹っ飛んでるってどういう事でしょうね」
「え、あれそんなにするの?!」
「専門書が高いんですよ!いいんですけど」
「いいんですか?!」
「直器君…賢くおなり…」
「晴乃さんそんな…母になってどうするんですか…」
「ガクトさんもたくさんお食べ」
「母さん!」
冗談に乗って食事にがっつくガクトだったが、電話が来たので慌てて咀嚼しながら立ち上がる。
「何?本当かっ…ああ、了解した。すぐ出る」
電話を切ったガクトに「どうしたの?」と聞くと、彼は「ああ、前に話した機密漏洩の件だ」と快く話し出す。そして、それを聞いた晴乃は慣れた手つきでガクトの食べ掛けの食事をタッパーに詰め、お弁当へ変えていく。
「目を付けていた地下銀行グループに動きがあった。奴らは裏金の洗浄を主に暗躍している組織だ。今日金を受け取る手筈らしい。俺達は奴らが根城に戻った所を秘聴する。だが俺達の本当の狙いは奴らに洗浄を依頼した者…依頼者だ。その洗浄屋をよく使っている依頼者…そいつはどうやら俺が追っている機密漏洩にも絡んでいる可能性があるらしいんだ…「XASM-3」…試作中の新型国産対艦ミサイルの密輸だ。この件…流出が発覚した際に「盗難事件」として偽装する為、外国人密輸組織を介在させているらしい…つまり」
「黒幕がいるね」
「ああ。裏金の調達…防衛省幹部や政治家が関与している疑惑がある。元々のネタは朝毎新聞の横井からの情報だ。奴はスクープを欲しがっているが…俺の立場としては背後が大物の可能性がある以上、出来るだけ秘密裏に調査を進めろと言われている。つまり外事三課や情報本部の応援も呼べない。手伝ってくれるな?蜂名」
「いいけど…条件がある」
因みに晴乃君はその返答を聞いて、慌てて僕のお弁当も詰め始めた。
「何だ?」
「それは…その内分かる」
「そうか…。助かる。すぐ出るぞ。準備してくれ」
「ああ」
僕は晴乃君に「君の分のお弁当も作ってよね」と声を掛けてガクトの目をそちらに向けた隙をついて、ガクトの社員証をスーツの内ポケットから抜き取った。
「え、晴乃さんは危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫。意外と役に立つでお馴染みの晴乃ちゃんですよ」
「初めて聞いたよ、その話」
「直器君、そういうの言っちゃダメ」
彼女はそう笑いながらお弁当を詰め終わり、コートとマフラーを装備した。
「ねえもう朝ご飯できたよー?直器君食べようよー。ガクトさんと食べちゃうよー」
二人が呼び掛けてくるのに「待って」と答え、僕はパソコンを一旦閉じる。どの道このパソコンでは栄羽の情報は得られないと諦めた所だった。丁度いいタイミングだったのだろう。
「今日は?」
「和食にしてみたよ」
「朝はパン派じゃなかったの?」
「明日はエスニックにするんだ」
「晴乃さん、それはやめてくれませんか」
「家主が言うなら従いましょう」
けらけら笑う晴乃君は、昨日から僕の事を直器君と呼び始めた。どんどん距離を詰めてくる。もしや友達だったのかと聞くと、「うん、ほぼね」との答えだった。ほぼって何だろう。
「頂きます」と三人で手を合わせて、晴乃君の手料理を食べる。ここ三日間の恒例行事だ。ここで交わす馬鹿っぽい会話がまた楽しかったりする。
「しかし、本が増えましたね」
「ホーント。もう五十万吹っ飛んでるってどういう事でしょうね」
「え、あれそんなにするの?!」
「専門書が高いんですよ!いいんですけど」
「いいんですか?!」
「直器君…賢くおなり…」
「晴乃さんそんな…母になってどうするんですか…」
「ガクトさんもたくさんお食べ」
「母さん!」
冗談に乗って食事にがっつくガクトだったが、電話が来たので慌てて咀嚼しながら立ち上がる。
「何?本当かっ…ああ、了解した。すぐ出る」
電話を切ったガクトに「どうしたの?」と聞くと、彼は「ああ、前に話した機密漏洩の件だ」と快く話し出す。そして、それを聞いた晴乃は慣れた手つきでガクトの食べ掛けの食事をタッパーに詰め、お弁当へ変えていく。
「目を付けていた地下銀行グループに動きがあった。奴らは裏金の洗浄を主に暗躍している組織だ。今日金を受け取る手筈らしい。俺達は奴らが根城に戻った所を秘聴する。だが俺達の本当の狙いは奴らに洗浄を依頼した者…依頼者だ。その洗浄屋をよく使っている依頼者…そいつはどうやら俺が追っている機密漏洩にも絡んでいる可能性があるらしいんだ…「XASM-3」…試作中の新型国産対艦ミサイルの密輸だ。この件…流出が発覚した際に「盗難事件」として偽装する為、外国人密輸組織を介在させているらしい…つまり」
「黒幕がいるね」
「ああ。裏金の調達…防衛省幹部や政治家が関与している疑惑がある。元々のネタは朝毎新聞の横井からの情報だ。奴はスクープを欲しがっているが…俺の立場としては背後が大物の可能性がある以上、出来るだけ秘密裏に調査を進めろと言われている。つまり外事三課や情報本部の応援も呼べない。手伝ってくれるな?蜂名」
「いいけど…条件がある」
因みに晴乃君はその返答を聞いて、慌てて僕のお弁当も詰め始めた。
「何だ?」
「それは…その内分かる」
「そうか…。助かる。すぐ出るぞ。準備してくれ」
「ああ」
僕は晴乃君に「君の分のお弁当も作ってよね」と声を掛けてガクトの目をそちらに向けた隙をついて、ガクトの社員証をスーツの内ポケットから抜き取った。
「え、晴乃さんは危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫。意外と役に立つでお馴染みの晴乃ちゃんですよ」
「初めて聞いたよ、その話」
「直器君、そういうの言っちゃダメ」
彼女はそう笑いながらお弁当を詰め終わり、コートとマフラーを装備した。