ハシバミの小旅行
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「今日からここが君の部屋ね」
記念すべき退院の日、お屋形様がそう言って案内してくれたのは、賭郎にある目蒲さんの立会人室と全く同じ作りの別の部屋。がらんどうの執務室と給湯室とシャワー室とトイレ。ふむ、中々贅沢。私は数度頷いた。
「ここで働くんですか?」
「いや、住むんだよ?因みにこれから君が配属されるのは右手に二つ行ったところにある事務室。そこでの仕事については能輪に聞いてね」
「うん!?」
「君、目蒲の人質でしょ?人質がここから出るのはおかしいじゃない。欲しいものがあるなら目蒲にでも頼みなよ」
「目蒲さんですか…」
「命かけるほど仲良しなんでしょ?」
「いえ…あれはその…行き掛かり上?」
「君…ほんっとに変わってるよね」
お屋形様は私の右手に部屋の鍵を握らせる。
「まあいいよ、役に立ってくれれば」
「はい。今日からですか?」
「松葉杖がなくなってからでいいよ」
「そんな、暇です」
「その身体で何ができるのさ」
「右手が無事なら仕事はできる!」
「養生しなさい」
「…はい」
「どの道、今日中に家具を揃えないと、床に寝ることになるよ」
「あ、そうですね!」
「後で付き添いの者をよこすから、買いに行きなよ」
「はい、ありがとうございます」
私がそう言うと、お屋形様は一つ頷いて踵を返す。ドアノブに手を掛けて、くるりと首を回して振り返る。
「あ、そうだ。僕丁度この上にある部屋に住んでるから、いつでも遊びに来なよ」
じゃあね。お屋形様はまた前を向いて、スタスタ部屋を出て行った。私はその姿に首をかしげる。
「警戒するのか、歓迎するのか、どっちかにすればいいのに」
ーーーーーーーーーー
警戒するか、歓迎するか、か。なるほどね、とんでもない。わざわざ僕が直々に彼女を案内しに来た訳はバレてたって訳だ。
僕はほくそ笑んだ。
能輪は彼女を指して、心が読めると言った。どうやらそれは本当の様だ。しかし、敵性ではない。態度としてはかなり友好的。あの目蒲にさえも恨みの目を向ける気はゼロらしい。普通で言えばそれもまたとんでもないことなのだけれども。
とりあえず、とんでもない洞察力と懐の持ち主であることが分かった。後のことは追い追い知っていこう。彼女は役に立つ。それは揺るがないのだから。
記念すべき退院の日、お屋形様がそう言って案内してくれたのは、賭郎にある目蒲さんの立会人室と全く同じ作りの別の部屋。がらんどうの執務室と給湯室とシャワー室とトイレ。ふむ、中々贅沢。私は数度頷いた。
「ここで働くんですか?」
「いや、住むんだよ?因みにこれから君が配属されるのは右手に二つ行ったところにある事務室。そこでの仕事については能輪に聞いてね」
「うん!?」
「君、目蒲の人質でしょ?人質がここから出るのはおかしいじゃない。欲しいものがあるなら目蒲にでも頼みなよ」
「目蒲さんですか…」
「命かけるほど仲良しなんでしょ?」
「いえ…あれはその…行き掛かり上?」
「君…ほんっとに変わってるよね」
お屋形様は私の右手に部屋の鍵を握らせる。
「まあいいよ、役に立ってくれれば」
「はい。今日からですか?」
「松葉杖がなくなってからでいいよ」
「そんな、暇です」
「その身体で何ができるのさ」
「右手が無事なら仕事はできる!」
「養生しなさい」
「…はい」
「どの道、今日中に家具を揃えないと、床に寝ることになるよ」
「あ、そうですね!」
「後で付き添いの者をよこすから、買いに行きなよ」
「はい、ありがとうございます」
私がそう言うと、お屋形様は一つ頷いて踵を返す。ドアノブに手を掛けて、くるりと首を回して振り返る。
「あ、そうだ。僕丁度この上にある部屋に住んでるから、いつでも遊びに来なよ」
じゃあね。お屋形様はまた前を向いて、スタスタ部屋を出て行った。私はその姿に首をかしげる。
「警戒するのか、歓迎するのか、どっちかにすればいいのに」
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警戒するか、歓迎するか、か。なるほどね、とんでもない。わざわざ僕が直々に彼女を案内しに来た訳はバレてたって訳だ。
僕はほくそ笑んだ。
能輪は彼女を指して、心が読めると言った。どうやらそれは本当の様だ。しかし、敵性ではない。態度としてはかなり友好的。あの目蒲にさえも恨みの目を向ける気はゼロらしい。普通で言えばそれもまたとんでもないことなのだけれども。
とりあえず、とんでもない洞察力と懐の持ち主であることが分かった。後のことは追い追い知っていこう。彼女は役に立つ。それは揺るがないのだから。