からむ宿木
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夕湖に落ちてこいと言われてしまった。どっちの意味かしら。物理的に?精神的に?どっちも?というかいつから聞かれてたんだろう、恥ずかしい。
でも、なら、落ちてしまおうか。
「ねえ、捨隈さん。今、落ちてきていいって通信が入ったので、信じて落ちてみます。賭郎嫌いって言ったの聞かれてたみたいだから罠かもしれませんけど、物は試しです」
「は?…何を」
「それで、もし生きてたら、お願い一つ聞いてくださいね」
捨隈さんは離そうとしない。仕方がないので、私は足をぷらんぷらん揺らしてみる。尚更ぎゅっと握られた手首に笑ってしまう。
「もう…意気地なし!」
私は捨隈さんの手首を蹴り上げる。流石に彼は手を離し、私は333mの空の旅に出発した。
ヘリコプターが斜めに傾いて、私は強風に煽られる。一気に遠のいたタワーのメインデッキから、ぴょこんと目蒲さんが飛び出した。落ちるスピードには敵わないものの、恐ろしい速度で降りてくる。何をしに来るんだろう?助けに来てくれているんだろうか。目蒲さんが間に合わなかったら死ぬのかしら。自業自得だからいいけどさ。
頭が下になる。地上が近付く。タワー前では夕湖がSATと戦っている。ふと、外れたところに人影が二つ、近づいて来ている事に気付く。
「あ」
夕湖と夜行さんだ。助けに来てくれている。そりゃそうか、落ちてこいって言ったのは夕湖だもんな。じゃあ、目蒲さん何しに来てるの?私は空を‘見下ろし’て確認する。目蒲さんはもうタワー中腹まで来ている。そして、ヘリコプターが降下している。
分かった。
二人とも怒りにくる気だ。
でもダメだ。もう怒られるか死ぬかしか選択肢が無い。私はなすがまま落ちていく。
「晴乃、痛むぞ」
夕湖が飛び上がりながら、そう声を掛ける。え、何、と思うが早いか、夕湖は私のお腹をがっちり抱えて、遠心力で横に吹っ飛ばした。お腹が潰れてぐえっとなった。
「来い、馬鹿娘」
吹っ飛んだ先にいたのは、夜行さん。私が彼の胸にダイブすると同時に後ろに飛び、衝撃を逃した。
「嘘やん…生きてる…」
「俺達が失敗するわけないだろう…」
「そう…そうなんですけど…普通帝国タワーから落ちたら最早人力では何ともならないんですよ…」
夜行さんの上で呆然としていた私だったが、夜行さんが私が転げ落ちるのも構わず体を起こすので慌てて彼の横に座る。
「なら、落ちてくるな」
「それは…返す言葉もありませんけど…」
ごちゃごちゃ言いかけて、止める。言葉が多いのは悪い癖だ。
「ありがとうございました」
「お前が死ぬと、賭郎が困る」
夜行さんが差し伸べてくれた手を断る。腰が抜けてしまって、まだ立てないのだ。彼はそれを察して口の端を上げた。
そんな私たちの元に、若手三人が続々と到着する。
「晴乃、大丈夫か?!」
「夕湖ありがとう!生きてる!」
飛びついてくる夕湖を座ったまま受け止められるはずもなく、私は彼女と後ろに倒れる。
「あまり心配させないでくれ!」
「その馬鹿が死ぬ筈ないでしょう」
あ、目蒲さん。と呼ぶと、彼はわざとらしい大きなため息で返事をする。
「全く、何をすれば死ぬのやら」
「貴方がトランシーバーのスイッチを入れなければ無事死んでましたよ、私。ありがとうございました」
「おや、殊勝なことで」
目蒲さんがもう一度ため息をついた。照れ隠しだ。私は少し笑って、起き上がる。
「よお〜伏龍、無事か」
「無事!ありがとう!ハグでもしとく?」
「あ〜、しとくか」
私達は抱き合って無事を喜び合う。目蒲さんが羨ましそうに見ていたので「分かった分かった。目蒲さんも来ていいですよ」と手を広げたけど「馬鹿女」と一蹴されてしまった。
「貘様は良かったのですか?」
「ええ〜。血塗れの姿が見れましたので、満足です」
「誰が貴方の気持ちを聞きましたか。頭の悪い方ですねえ」
「今は護衛対象を帝国タワーから落とすという大失態を犯した目蒲立会人の顔が見たくてわざわざ降りてきましたよ」
「何、必要上仕方がなく落としたまでの事」
「強がりですかぁ〜?オッサンがやっても可愛くありませんねぇ〜」
「まあまあ弥鱈君、私が悪いんだから、その辺にしたげてよ」
「いいか伏龍、これはアンタの頭がおかしいのを計算に入れなかった目蒲立会人の失態なんだぜ。笑ってやれ」
「弥鱈君、怒るよ?」
でも、なら、落ちてしまおうか。
「ねえ、捨隈さん。今、落ちてきていいって通信が入ったので、信じて落ちてみます。賭郎嫌いって言ったの聞かれてたみたいだから罠かもしれませんけど、物は試しです」
「は?…何を」
「それで、もし生きてたら、お願い一つ聞いてくださいね」
捨隈さんは離そうとしない。仕方がないので、私は足をぷらんぷらん揺らしてみる。尚更ぎゅっと握られた手首に笑ってしまう。
「もう…意気地なし!」
私は捨隈さんの手首を蹴り上げる。流石に彼は手を離し、私は333mの空の旅に出発した。
ヘリコプターが斜めに傾いて、私は強風に煽られる。一気に遠のいたタワーのメインデッキから、ぴょこんと目蒲さんが飛び出した。落ちるスピードには敵わないものの、恐ろしい速度で降りてくる。何をしに来るんだろう?助けに来てくれているんだろうか。目蒲さんが間に合わなかったら死ぬのかしら。自業自得だからいいけどさ。
頭が下になる。地上が近付く。タワー前では夕湖がSATと戦っている。ふと、外れたところに人影が二つ、近づいて来ている事に気付く。
「あ」
夕湖と夜行さんだ。助けに来てくれている。そりゃそうか、落ちてこいって言ったのは夕湖だもんな。じゃあ、目蒲さん何しに来てるの?私は空を‘見下ろし’て確認する。目蒲さんはもうタワー中腹まで来ている。そして、ヘリコプターが降下している。
分かった。
二人とも怒りにくる気だ。
でもダメだ。もう怒られるか死ぬかしか選択肢が無い。私はなすがまま落ちていく。
「晴乃、痛むぞ」
夕湖が飛び上がりながら、そう声を掛ける。え、何、と思うが早いか、夕湖は私のお腹をがっちり抱えて、遠心力で横に吹っ飛ばした。お腹が潰れてぐえっとなった。
「来い、馬鹿娘」
吹っ飛んだ先にいたのは、夜行さん。私が彼の胸にダイブすると同時に後ろに飛び、衝撃を逃した。
「嘘やん…生きてる…」
「俺達が失敗するわけないだろう…」
「そう…そうなんですけど…普通帝国タワーから落ちたら最早人力では何ともならないんですよ…」
夜行さんの上で呆然としていた私だったが、夜行さんが私が転げ落ちるのも構わず体を起こすので慌てて彼の横に座る。
「なら、落ちてくるな」
「それは…返す言葉もありませんけど…」
ごちゃごちゃ言いかけて、止める。言葉が多いのは悪い癖だ。
「ありがとうございました」
「お前が死ぬと、賭郎が困る」
夜行さんが差し伸べてくれた手を断る。腰が抜けてしまって、まだ立てないのだ。彼はそれを察して口の端を上げた。
そんな私たちの元に、若手三人が続々と到着する。
「晴乃、大丈夫か?!」
「夕湖ありがとう!生きてる!」
飛びついてくる夕湖を座ったまま受け止められるはずもなく、私は彼女と後ろに倒れる。
「あまり心配させないでくれ!」
「その馬鹿が死ぬ筈ないでしょう」
あ、目蒲さん。と呼ぶと、彼はわざとらしい大きなため息で返事をする。
「全く、何をすれば死ぬのやら」
「貴方がトランシーバーのスイッチを入れなければ無事死んでましたよ、私。ありがとうございました」
「おや、殊勝なことで」
目蒲さんがもう一度ため息をついた。照れ隠しだ。私は少し笑って、起き上がる。
「よお〜伏龍、無事か」
「無事!ありがとう!ハグでもしとく?」
「あ〜、しとくか」
私達は抱き合って無事を喜び合う。目蒲さんが羨ましそうに見ていたので「分かった分かった。目蒲さんも来ていいですよ」と手を広げたけど「馬鹿女」と一蹴されてしまった。
「貘様は良かったのですか?」
「ええ〜。血塗れの姿が見れましたので、満足です」
「誰が貴方の気持ちを聞きましたか。頭の悪い方ですねえ」
「今は護衛対象を帝国タワーから落とすという大失態を犯した目蒲立会人の顔が見たくてわざわざ降りてきましたよ」
「何、必要上仕方がなく落としたまでの事」
「強がりですかぁ〜?オッサンがやっても可愛くありませんねぇ〜」
「まあまあ弥鱈君、私が悪いんだから、その辺にしたげてよ」
「いいか伏龍、これはアンタの頭がおかしいのを計算に入れなかった目蒲立会人の失態なんだぜ。笑ってやれ」
「弥鱈君、怒るよ?」