からむ宿木
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「ああああ…痛い…心が痛い…何て悲しいんだ…命を助けられて…私の全てを打ち明けたのに….友達を殺すのは何て悲しいんだ…」
バスッバスッバスッ!
「私コレ向いてないかもです…」
「じゃあ寄越しなっ!」
バスッバスッ!
「ぐっ!」
「…何かショックです」
「うるさいよあんた!ほらっ、行くよ!」
鞍馬さんが私の手を引きつつ、脱いだジャケットをマーティンの携帯めがけて放り投げ、彼の光源を奪う。彼が視界を失った数秒の間で、私達は物陰に隠れた。
「どこですか〜?近くにいるのは分かってるんです…君のことが心配です…」
個人的にはこのままやり過ごしたい。でも、鞍馬さんはそうもいかないだろう。部下も賭けの成り行きも心配な筈だ。
「ねえあんた…光源を探すのとあれの相手、どっちがいい…?」
案の定、鞍馬さんが耳打ちしてくる。だろうなあとは思っていたが…はぁ。
「そうですよね…はぁ。エタノールでも取ってきます。ライター貸してください」
「あいよ」
私はライターを受け取り、走り出す。私もやっぱり目蒲さんの救援待ちじゃあ情けないと思っていたところだ。
「ああ出てきてくれたね…ニコラ!君は語ってくれたね…人は定められた寿命まで全力で生きなきゃならないんだ…命が長くても短くてもどれだけ充実した人生を送るかが大事…私は…そんな君と友情を築いたまま永遠に一緒になりたかった…」
バスッバスッバスッ!鞍馬さんの鋲打ちの音を背に、私は走る。
「寂しくないよ…君の両親も殺しておいたから…君も本当は親友の私に殺して欲しかった筈だ…さあ…出てきて…」
身勝手な奴。反吐が出る。絶対一発殴ってやる。
‘チャージしています’
「はあふざけんな!」
思わず叫ぶ。あいつまたAED押しやがった!
エコーするAEDの音声。違うこれエコーじゃないわ、複数台稼働してるんだ。私は丁度水の無いところにいたので立ち止まる。
「…‘体から離れて下さい’…3、2、1。よし、こっちだ」
私は電気ショックが終わったのを確認し、医務室に入る。エタノールはまだいくつか残っていたので、ポッケに一本、手に二本持ってまた走り出す。
ーー二人はすぐに見つかった。ぎゅいいという不穏な音の発生源だったからだ。
「鞍馬さん!」
私は叫び、エタノールの瓶を叩き割って火をつける。炎で明るくなり、辺りがよく見えた。
手前ではマーティンが電ノコみたいなのを持って鞍馬さんに馬乗りになり、奥ではレオさんと雹吾さんとカラカルさんが伸びている。このフィールド、カラカルさんと相性最悪なのでは?ニコラが出てこないよう祈りつつ、私はまた走り出す。とりあえず、鞍馬さんが危ない。
「そこどけばーか!」
私はそのままの勢いで跳び上がり、マーティンにドロップキックをかます。マーティンと、着地などできるはずもない私が鞍馬さんの上を吹っ飛んでいく。
「ぎゃん!」
「あんた…まあ、ありがとね」
派手に尻餅をついた私を鞍馬さんが哀れみの目で見ながら立ち上がる。それを見て、慌てて自分も倣う。
「ひいいい!」
「マーティン…?」
目を覚ましたカラカルさんが、逃げていくマーティンに気付く。その瞬間、私の動きは決まった。
「待ちなさいマーティン!ニコラに手ぇついて謝るまで許さないんだから!!」
私は大きな声でそう叫んで、走り出す。もちろん、カラカルさんへのアピールだ。武器になるものなんてエタノール位だが、何とかするしかない。
‘心電図を調べています’
私は追う。あいつが仕掛けた罠は、同時にあいつが通ったルートを示す道標。私は確実に解除しつつ、先へ進む。
「マーティン!マーティン出てきなさい!いくじなし!乗ってやるわよあんたの無理心中!」
返事が無いのは、恐らく私が‘ニコラ’から外れ始めているからだろう。こんな風に怒るのはニコラじゃないそうだ。
誰彼構わず怒るときは怒るのが私なんだけどな。分かり合えないもんだ。
「マーティン!マーティン!」
「うるさいよ、あんた」
悲鳴を上げかけて、口を塞がれた。タバコの匂いで声の主に気付く。
「…鞍馬さん」
「ここいらで終わらせないとね…任せなっ」
鞍馬さんは携帯を取り出し、何やらメールを打ち始める。同時にまたAEDの音声が聞こえ始める。次は…二カ所。
「どっち…」
「まあ、見てな」
鞍馬さんがメールを送信すると、左の方から‘パラララン’と着信音が聞こえた。
「あっちだね」
「おお…!」
私達は走り出す。AEDの発動が差し迫っている。
バスッバスッバスッ!
「私コレ向いてないかもです…」
「じゃあ寄越しなっ!」
バスッバスッ!
「ぐっ!」
「…何かショックです」
「うるさいよあんた!ほらっ、行くよ!」
鞍馬さんが私の手を引きつつ、脱いだジャケットをマーティンの携帯めがけて放り投げ、彼の光源を奪う。彼が視界を失った数秒の間で、私達は物陰に隠れた。
「どこですか〜?近くにいるのは分かってるんです…君のことが心配です…」
個人的にはこのままやり過ごしたい。でも、鞍馬さんはそうもいかないだろう。部下も賭けの成り行きも心配な筈だ。
「ねえあんた…光源を探すのとあれの相手、どっちがいい…?」
案の定、鞍馬さんが耳打ちしてくる。だろうなあとは思っていたが…はぁ。
「そうですよね…はぁ。エタノールでも取ってきます。ライター貸してください」
「あいよ」
私はライターを受け取り、走り出す。私もやっぱり目蒲さんの救援待ちじゃあ情けないと思っていたところだ。
「ああ出てきてくれたね…ニコラ!君は語ってくれたね…人は定められた寿命まで全力で生きなきゃならないんだ…命が長くても短くてもどれだけ充実した人生を送るかが大事…私は…そんな君と友情を築いたまま永遠に一緒になりたかった…」
バスッバスッバスッ!鞍馬さんの鋲打ちの音を背に、私は走る。
「寂しくないよ…君の両親も殺しておいたから…君も本当は親友の私に殺して欲しかった筈だ…さあ…出てきて…」
身勝手な奴。反吐が出る。絶対一発殴ってやる。
‘チャージしています’
「はあふざけんな!」
思わず叫ぶ。あいつまたAED押しやがった!
エコーするAEDの音声。違うこれエコーじゃないわ、複数台稼働してるんだ。私は丁度水の無いところにいたので立ち止まる。
「…‘体から離れて下さい’…3、2、1。よし、こっちだ」
私は電気ショックが終わったのを確認し、医務室に入る。エタノールはまだいくつか残っていたので、ポッケに一本、手に二本持ってまた走り出す。
ーー二人はすぐに見つかった。ぎゅいいという不穏な音の発生源だったからだ。
「鞍馬さん!」
私は叫び、エタノールの瓶を叩き割って火をつける。炎で明るくなり、辺りがよく見えた。
手前ではマーティンが電ノコみたいなのを持って鞍馬さんに馬乗りになり、奥ではレオさんと雹吾さんとカラカルさんが伸びている。このフィールド、カラカルさんと相性最悪なのでは?ニコラが出てこないよう祈りつつ、私はまた走り出す。とりあえず、鞍馬さんが危ない。
「そこどけばーか!」
私はそのままの勢いで跳び上がり、マーティンにドロップキックをかます。マーティンと、着地などできるはずもない私が鞍馬さんの上を吹っ飛んでいく。
「ぎゃん!」
「あんた…まあ、ありがとね」
派手に尻餅をついた私を鞍馬さんが哀れみの目で見ながら立ち上がる。それを見て、慌てて自分も倣う。
「ひいいい!」
「マーティン…?」
目を覚ましたカラカルさんが、逃げていくマーティンに気付く。その瞬間、私の動きは決まった。
「待ちなさいマーティン!ニコラに手ぇついて謝るまで許さないんだから!!」
私は大きな声でそう叫んで、走り出す。もちろん、カラカルさんへのアピールだ。武器になるものなんてエタノール位だが、何とかするしかない。
‘心電図を調べています’
私は追う。あいつが仕掛けた罠は、同時にあいつが通ったルートを示す道標。私は確実に解除しつつ、先へ進む。
「マーティン!マーティン出てきなさい!いくじなし!乗ってやるわよあんたの無理心中!」
返事が無いのは、恐らく私が‘ニコラ’から外れ始めているからだろう。こんな風に怒るのはニコラじゃないそうだ。
誰彼構わず怒るときは怒るのが私なんだけどな。分かり合えないもんだ。
「マーティン!マーティン!」
「うるさいよ、あんた」
悲鳴を上げかけて、口を塞がれた。タバコの匂いで声の主に気付く。
「…鞍馬さん」
「ここいらで終わらせないとね…任せなっ」
鞍馬さんは携帯を取り出し、何やらメールを打ち始める。同時にまたAEDの音声が聞こえ始める。次は…二カ所。
「どっち…」
「まあ、見てな」
鞍馬さんがメールを送信すると、左の方から‘パラララン’と着信音が聞こえた。
「あっちだね」
「おお…!」
私達は走り出す。AEDの発動が差し迫っている。