からむ宿木
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結論から言えば、‘親父さん’は強かった。連れてきたA級掃除人を無傷で拘束するその姿は、逮捕術のプロたる警察そのものだった。
負けてすごすご戻ってきた掃除人が、頭を下げる。
「申し訳ありません!外務卿!!しかし…!」
「言い訳はいらん。後は中の者達を信頼しろ」
「その、中の… 伏龍さんなんです!あの親父、伏龍さんの親父です!」
「…は?」
話を聞くと、こうだった。
親父さん、もとい伏龍氏が掃除人と向き合う。にこにこと笑いながら「お手柔らかにね」と言うどこか楽しそうな姿を見て、掃除人ははっきり言って侮っていたそうだ。私のスタートの合図と共に即座に距離を取るのを見て、それは確信に変わったと言う。勝てる。最近ずっと反抗的だった警察に一泡吹かせられることを喜んだ。
「嬉しそうだね。試合が好きなのかい?」
気さくな声掛け。その手には乗らない。拳を握り込む。
「私もなんだよ。やーっと君達と接触できた。いい日だね」
賭郎に?その気持ちを察したように彼はにこりとする。
「ずっと聞きたい事があったんだよ…ねっ!」
距離が詰まる。ぐんと伏龍氏の笑顔が近づく。拳を飛ばすもいなされ、掴まれる。
あっという間にコブラツイストの完成だ。
「伏龍晴乃、賭郎にいるよねえ?」
「…はっ?」
「いる、よねえ?」
ぐっと力が込められる。肩の筋が痛む。
「一年前に攫われてね…娘なんだ…」
「しっ…知るか!」
「嘘、だね」
あの人の親もまた、読心ができたのか。掃除人は目を見開く。遺伝性、そうか、遺伝性…。
「ああ、ごめんね。私は娘みたいにそういうのはできなくて…でも、良かったよ。そこまで動揺するってことは、知ってるんだね。生きてるかな?酷い目には遭ってないかな?」
ぐいぐいと拘束が極まっていく。身体中の筋が痛いが、何よりこれ以上尋問を受け続ける事を危惧した。
「…降参、降参だ!」
「ええ…もうかい?」
と言いつつも、即座に拘束が解かれる。娘に似てさっぱりした人だった。
「ねえねえ、負けたんだからちょっとだけ話してくれないかな?頼むよ」
掃除人はこれ以上話すことはできないと、慌てて逃げ帰る。
ーーーーーーーーーー
「…駄目だな。交戦中だ」
一応晴乃に連絡するが、‘ぴかーん、ぴかーん’と効果音が連打されるに終わったので諦めた。手が離せない事を知らせる程度には、この効果音にも使い道があったらしい。
「しかし… 晴乃の親か…生きていることくらいは伝えてやるか?」
「しかし…次は社内に乗り込んできそうで俺怖いです…」
分からんでもない。何を隠そう、晴乃の親だからなあ。
「仕方がない…そろそろ私が出ようと思っていたところだ…気絶させて有耶無耶にしてくる」
「伏龍さんは…」
「…分かってくれるだろう、きっと」
私は歩き出す。しかし、ぐいと肩を掴んで引き留める手と、聞こえてきた言葉に驚く。
「おい…俺が掃除するのはこのゴミか?」
「え?」
まさか、このタイミングで夜行掃除人が復活するとは。
「いえ…あれは晴乃の親なので掃除されては…」
「あー…聞こえてたさ。話してやれ」
「良いのですか?」
「社内に乗り込まれたいのか?伏龍がやりそうな事はアイツもやるぞ。親子ってのは似てほしくない所が似るもんだ」
スタスタ夜行掃除人が歩いて行き、伏龍氏の目の前で止まる。
「お前の娘は生きている」
「ああ良かった!話してくれてありがとう。怪我はしていないかい?というか…返して欲しいんだけど」
「まだ返せん。あいつにはやるべき事がある」
「どうしてもかい?」
「ああ…」
「ああ、そう…!」
伏龍氏が殺気を放つ。当てに来たのだろうが、生憎と相対しているのは賭郎でも名うての掃除人。
「それは晴乃に了解を取っての事かな?ああ、いいよ答えなくて。どうせ脅して了解を取ったんだろう?」
伏龍氏は攻撃に入ろうと拳をぐんと後ろに引く。しかし、その手が突き出される事はなかった。氏の足元で何かが爆ぜたからだ。
…egg?
何が飛んできたと思えば、生卵。その元を辿れば、ウェーブ頭の男がほっとため息をついて、言った。
「親父さん、戻ってくるんだ。これ以上貴方を危険に晒せない」
口を開きかけた伏龍氏。反抗の意思を敏感に感じ取った男が嵐堂に手振りで指示を出す。
「うわああやめてくれ嵐堂くううん!」と情けない叫び声を上げながら、瞬く間に伏龍氏は回収されていった。
「あの、締まらない感じも親譲りだったんだな…」
ええと、続けるか。俺はお前を掃除すれば良いのか?夜行掃除人が気まずそうに言った。
負けてすごすご戻ってきた掃除人が、頭を下げる。
「申し訳ありません!外務卿!!しかし…!」
「言い訳はいらん。後は中の者達を信頼しろ」
「その、中の… 伏龍さんなんです!あの親父、伏龍さんの親父です!」
「…は?」
話を聞くと、こうだった。
親父さん、もとい伏龍氏が掃除人と向き合う。にこにこと笑いながら「お手柔らかにね」と言うどこか楽しそうな姿を見て、掃除人ははっきり言って侮っていたそうだ。私のスタートの合図と共に即座に距離を取るのを見て、それは確信に変わったと言う。勝てる。最近ずっと反抗的だった警察に一泡吹かせられることを喜んだ。
「嬉しそうだね。試合が好きなのかい?」
気さくな声掛け。その手には乗らない。拳を握り込む。
「私もなんだよ。やーっと君達と接触できた。いい日だね」
賭郎に?その気持ちを察したように彼はにこりとする。
「ずっと聞きたい事があったんだよ…ねっ!」
距離が詰まる。ぐんと伏龍氏の笑顔が近づく。拳を飛ばすもいなされ、掴まれる。
あっという間にコブラツイストの完成だ。
「伏龍晴乃、賭郎にいるよねえ?」
「…はっ?」
「いる、よねえ?」
ぐっと力が込められる。肩の筋が痛む。
「一年前に攫われてね…娘なんだ…」
「しっ…知るか!」
「嘘、だね」
あの人の親もまた、読心ができたのか。掃除人は目を見開く。遺伝性、そうか、遺伝性…。
「ああ、ごめんね。私は娘みたいにそういうのはできなくて…でも、良かったよ。そこまで動揺するってことは、知ってるんだね。生きてるかな?酷い目には遭ってないかな?」
ぐいぐいと拘束が極まっていく。身体中の筋が痛いが、何よりこれ以上尋問を受け続ける事を危惧した。
「…降参、降参だ!」
「ええ…もうかい?」
と言いつつも、即座に拘束が解かれる。娘に似てさっぱりした人だった。
「ねえねえ、負けたんだからちょっとだけ話してくれないかな?頼むよ」
掃除人はこれ以上話すことはできないと、慌てて逃げ帰る。
ーーーーーーーーーー
「…駄目だな。交戦中だ」
一応晴乃に連絡するが、‘ぴかーん、ぴかーん’と効果音が連打されるに終わったので諦めた。手が離せない事を知らせる程度には、この効果音にも使い道があったらしい。
「しかし… 晴乃の親か…生きていることくらいは伝えてやるか?」
「しかし…次は社内に乗り込んできそうで俺怖いです…」
分からんでもない。何を隠そう、晴乃の親だからなあ。
「仕方がない…そろそろ私が出ようと思っていたところだ…気絶させて有耶無耶にしてくる」
「伏龍さんは…」
「…分かってくれるだろう、きっと」
私は歩き出す。しかし、ぐいと肩を掴んで引き留める手と、聞こえてきた言葉に驚く。
「おい…俺が掃除するのはこのゴミか?」
「え?」
まさか、このタイミングで夜行掃除人が復活するとは。
「いえ…あれは晴乃の親なので掃除されては…」
「あー…聞こえてたさ。話してやれ」
「良いのですか?」
「社内に乗り込まれたいのか?伏龍がやりそうな事はアイツもやるぞ。親子ってのは似てほしくない所が似るもんだ」
スタスタ夜行掃除人が歩いて行き、伏龍氏の目の前で止まる。
「お前の娘は生きている」
「ああ良かった!話してくれてありがとう。怪我はしていないかい?というか…返して欲しいんだけど」
「まだ返せん。あいつにはやるべき事がある」
「どうしてもかい?」
「ああ…」
「ああ、そう…!」
伏龍氏が殺気を放つ。当てに来たのだろうが、生憎と相対しているのは賭郎でも名うての掃除人。
「それは晴乃に了解を取っての事かな?ああ、いいよ答えなくて。どうせ脅して了解を取ったんだろう?」
伏龍氏は攻撃に入ろうと拳をぐんと後ろに引く。しかし、その手が突き出される事はなかった。氏の足元で何かが爆ぜたからだ。
…egg?
何が飛んできたと思えば、生卵。その元を辿れば、ウェーブ頭の男がほっとため息をついて、言った。
「親父さん、戻ってくるんだ。これ以上貴方を危険に晒せない」
口を開きかけた伏龍氏。反抗の意思を敏感に感じ取った男が嵐堂に手振りで指示を出す。
「うわああやめてくれ嵐堂くううん!」と情けない叫び声を上げながら、瞬く間に伏龍氏は回収されていった。
「あの、締まらない感じも親譲りだったんだな…」
ええと、続けるか。俺はお前を掃除すれば良いのか?夜行掃除人が気まずそうに言った。