沈丁花の約束
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あの、大丈夫ですか。寝転がって休んでいると、上から声が降ってきて、私はゆるゆると声の方向に目を向ける。
「山口さん」
名前を呼ばれた黒服さんは、大丈夫ですか、ともう一度同じ問いを繰り返してきた。この人はいつも部屋に誰もいなくなるとやってきて、あの人には秘密で私の手当てをしてくれる。
「吐いちゃいました」
あははと笑ってみるものの、山口さんにその事で私と笑い合う気はないようだ。はぁ、とため息をつかれてしまう。
「これでうがいしてください」
彼はコップの水とバケツを差し出す。受け取ろうとして、じゃら、と鳴る鎖に阻まれた。
「あ、手、繋がれてるんでした」
飲ませますので、安心してください。山口さんはそう言ってくれた。さっきの嵐の後だとこの優しさが身にしみる。山口さんはしゃがんで私の口にコップを触れされて、ゆっくりとそれを傾ける。言われたとおり、その水でうがいをした。
バケツに吐いた水がピンクくなっているのを見て、ちょっと消沈する。
「私ホントに死にそうなんですか?」
つい、その問いが口をついて出てきてしまう。帰ってくるのは沈黙ばかり。
やっぱりこれってヤバいんだ。まあでもどっちでもいいや、それは。
「逃げてください」
「駄目ですよ」
「手引きしますから」
「駄目ですってばー。山口さんだって困りますよ?」
「俺は大丈夫です」
「えー、じゃあ、報告書どうするんですか?」
「俺がやります」
「俺が、って」
「俺はまさか、貴方が俺のためにここまでするなんて思ってなかったんです!逃げてくださいよ手遅れになる前に!」
山口さんが大声を出した。そして、デスク脇の鍵束から一本毟り取る。
「これ、貴方の手錠の鍵ですから!いいから必ず今日逃げてくださいね!」
山口さんは私の手に鍵を握らせ、すがるような声で言った。
とはいえ、今の私はとても疲れていて、眠くて仕方がないのだ。ここの男性陣は明日死ねとか今日逃げろとか、無茶ばかりを言うんだから。
「大丈夫ですよ。私はまだやれますから」
だから、とりあえず、一眠りしてから考えさせてくれ。
「山口さん」
名前を呼ばれた黒服さんは、大丈夫ですか、ともう一度同じ問いを繰り返してきた。この人はいつも部屋に誰もいなくなるとやってきて、あの人には秘密で私の手当てをしてくれる。
「吐いちゃいました」
あははと笑ってみるものの、山口さんにその事で私と笑い合う気はないようだ。はぁ、とため息をつかれてしまう。
「これでうがいしてください」
彼はコップの水とバケツを差し出す。受け取ろうとして、じゃら、と鳴る鎖に阻まれた。
「あ、手、繋がれてるんでした」
飲ませますので、安心してください。山口さんはそう言ってくれた。さっきの嵐の後だとこの優しさが身にしみる。山口さんはしゃがんで私の口にコップを触れされて、ゆっくりとそれを傾ける。言われたとおり、その水でうがいをした。
バケツに吐いた水がピンクくなっているのを見て、ちょっと消沈する。
「私ホントに死にそうなんですか?」
つい、その問いが口をついて出てきてしまう。帰ってくるのは沈黙ばかり。
やっぱりこれってヤバいんだ。まあでもどっちでもいいや、それは。
「逃げてください」
「駄目ですよ」
「手引きしますから」
「駄目ですってばー。山口さんだって困りますよ?」
「俺は大丈夫です」
「えー、じゃあ、報告書どうするんですか?」
「俺がやります」
「俺が、って」
「俺はまさか、貴方が俺のためにここまでするなんて思ってなかったんです!逃げてくださいよ手遅れになる前に!」
山口さんが大声を出した。そして、デスク脇の鍵束から一本毟り取る。
「これ、貴方の手錠の鍵ですから!いいから必ず今日逃げてくださいね!」
山口さんは私の手に鍵を握らせ、すがるような声で言った。
とはいえ、今の私はとても疲れていて、眠くて仕方がないのだ。ここの男性陣は明日死ねとか今日逃げろとか、無茶ばかりを言うんだから。
「大丈夫ですよ。私はまだやれますから」
だから、とりあえず、一眠りしてから考えさせてくれ。