からむ宿木
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「ん?空ですね」
開いたエレベーターを覗き込み、晴乃が首を傾げた。
「…成程な」
「へ?」
「ブラフだ」
「…目蒲さん、もうちょっと分かりやすく」
「雹吾様だ…マルコ様を最上階に誘き寄せた隙に、地上から展望フロアに繋がるエレベーターを破壊する気だろう…如何でしょう、レオ様?」
「知らんが…恐らく、な」
レオ様が肩をすくめ、晴乃が「おおー」と歓声を上げる。予想通り、エレベーターはすぐに扉を閉ざし、また展望フロアへと戻り、間もなく上を目指し始める。
「乗ってくるのは…マルコ君?」
「ああ…」
晴乃はマルコ様が飛び出してくるのに備え、エレベーターから距離を取った。
「モミー!逃がさないよ!」
予想通りの動きを見せるマルコ様だったが、お目当ての‘モミー’が見当たらない事に気づき、目を白黒させる。
「あ!あれ?モミーはどこなの?…ねえ晴乃、モミー見たか?キローは?」
「うふふ、ごめんなさいね、教えられないんです」
「同じく」
「二人ともケチよ!ケチは心が貧しくなるのよ!」
「ううん…それは嫌ですねえ…あ、じゃあ、レオ様に聞いてみたらどうでしょう?」
「え、レオのおじさん?!」
マルコ様はやっと気付いた様子で、目を丸くする。
「ど…どうなの?レオのおじさん?」
「…ここには誰も来なかった…おそらくそいつの狙いはここではなかったのだろう。お前をここに誘き寄せさっさと目的を果たした。お前はハメられたんだよ。全く…相変わらずだな、マルコ」
問われ、普通に答えるレオ様。晴乃といい、マルコ様を舐めてるな、と思った。
「その前に…マルコ、お前は何をしているんだ?」
いや、ハメられた事を教えている時点でそれを聞くのはおかしいだろうが、と思ったが、マルコ様は気付く様子もなく、親切にドティのルールを説明し始めた。二人が舐めているのではなく、俺が買い被り過ぎていたようだ。恐れ入る。
一から十まで懇切丁寧にルールを説明され、レオ様は大きく頷いた。
「なるほど…勝負の内容はあの入力端末への正解パスワードの入力ということか…という事はおそらく、そいつらの狙いはタワーにあるエレベーターの破壊。嘘喰いの足を封じる狙いもありうる…」
「エ…エレベーターを?!」
マルコ様はエレベーターに駆け寄り、ボタンを連打した。案の定、エレベーターは動く気配を見せない。
「あれ?えっ?!動いていないー!」
「やだ困る」と晴乃が眉間に皺を寄せたが、放っておく。
「ありがとうレオのおじさん!マルコはちょっといそがしいっ!詳しい話はまた後ほど!」
マルコ様は駆け出すが、すぐに立ち止まり、「ところで…何でこんな所にいるの?観光?」と聞いた。それに対してレオ様は「お前に言っても分からんさ…さあ、急げよ」と答える。マルコ様はそれに納得し、駆けていった。
「…凄いな」
「凄いですよねえ」
「俺が嘘喰いなら殺してる」
「えー、和みません?」
「和んで、たまるか」
俺も和まんな、とレオ様が言った。そして携帯を取り出すと、電話を掛ける。相手は恐らく鞍馬蘭子だろう。彼女はそれをクスクス笑いながら見ると窓の方へ歩いていき、ひょいと下を覗いた。
「うわ、高い」
「落ちるなよ」
「落ちませんよ…死にますもん、流石に」
「お前はな」
「いや、みんな死にますって」
「この高さならやりようはある」
「なんだかなあ」
呆れる彼女の横に立ち、俺も地上を見下ろす。
「SATが来たか」
「密葬課もらしいですよ。あー、帰りたい」
「他の立会人からすれば垂涎ものの立会いなんだがな」
「そうですけど…ちょっと謀略が渦巻き過ぎて吐きそうです」
「やめろ」
「善処します…あ、そうだ、一階の様子見ます?」
「ああ…見る」
彼女は隣にきてワイヤレスイヤホンの片方をこちらに寄越すと、携帯に一階の画面を映した。嘘喰い対捨隈の戦いが終わるまではここに動きはないだろう。俺は暫く休憩にすることを決め、イヤホンを耳に差し込んだ。
開いたエレベーターを覗き込み、晴乃が首を傾げた。
「…成程な」
「へ?」
「ブラフだ」
「…目蒲さん、もうちょっと分かりやすく」
「雹吾様だ…マルコ様を最上階に誘き寄せた隙に、地上から展望フロアに繋がるエレベーターを破壊する気だろう…如何でしょう、レオ様?」
「知らんが…恐らく、な」
レオ様が肩をすくめ、晴乃が「おおー」と歓声を上げる。予想通り、エレベーターはすぐに扉を閉ざし、また展望フロアへと戻り、間もなく上を目指し始める。
「乗ってくるのは…マルコ君?」
「ああ…」
晴乃はマルコ様が飛び出してくるのに備え、エレベーターから距離を取った。
「モミー!逃がさないよ!」
予想通りの動きを見せるマルコ様だったが、お目当ての‘モミー’が見当たらない事に気づき、目を白黒させる。
「あ!あれ?モミーはどこなの?…ねえ晴乃、モミー見たか?キローは?」
「うふふ、ごめんなさいね、教えられないんです」
「同じく」
「二人ともケチよ!ケチは心が貧しくなるのよ!」
「ううん…それは嫌ですねえ…あ、じゃあ、レオ様に聞いてみたらどうでしょう?」
「え、レオのおじさん?!」
マルコ様はやっと気付いた様子で、目を丸くする。
「ど…どうなの?レオのおじさん?」
「…ここには誰も来なかった…おそらくそいつの狙いはここではなかったのだろう。お前をここに誘き寄せさっさと目的を果たした。お前はハメられたんだよ。全く…相変わらずだな、マルコ」
問われ、普通に答えるレオ様。晴乃といい、マルコ様を舐めてるな、と思った。
「その前に…マルコ、お前は何をしているんだ?」
いや、ハメられた事を教えている時点でそれを聞くのはおかしいだろうが、と思ったが、マルコ様は気付く様子もなく、親切にドティのルールを説明し始めた。二人が舐めているのではなく、俺が買い被り過ぎていたようだ。恐れ入る。
一から十まで懇切丁寧にルールを説明され、レオ様は大きく頷いた。
「なるほど…勝負の内容はあの入力端末への正解パスワードの入力ということか…という事はおそらく、そいつらの狙いはタワーにあるエレベーターの破壊。嘘喰いの足を封じる狙いもありうる…」
「エ…エレベーターを?!」
マルコ様はエレベーターに駆け寄り、ボタンを連打した。案の定、エレベーターは動く気配を見せない。
「あれ?えっ?!動いていないー!」
「やだ困る」と晴乃が眉間に皺を寄せたが、放っておく。
「ありがとうレオのおじさん!マルコはちょっといそがしいっ!詳しい話はまた後ほど!」
マルコ様は駆け出すが、すぐに立ち止まり、「ところで…何でこんな所にいるの?観光?」と聞いた。それに対してレオ様は「お前に言っても分からんさ…さあ、急げよ」と答える。マルコ様はそれに納得し、駆けていった。
「…凄いな」
「凄いですよねえ」
「俺が嘘喰いなら殺してる」
「えー、和みません?」
「和んで、たまるか」
俺も和まんな、とレオ様が言った。そして携帯を取り出すと、電話を掛ける。相手は恐らく鞍馬蘭子だろう。彼女はそれをクスクス笑いながら見ると窓の方へ歩いていき、ひょいと下を覗いた。
「うわ、高い」
「落ちるなよ」
「落ちませんよ…死にますもん、流石に」
「お前はな」
「いや、みんな死にますって」
「この高さならやりようはある」
「なんだかなあ」
呆れる彼女の横に立ち、俺も地上を見下ろす。
「SATが来たか」
「密葬課もらしいですよ。あー、帰りたい」
「他の立会人からすれば垂涎ものの立会いなんだがな」
「そうですけど…ちょっと謀略が渦巻き過ぎて吐きそうです」
「やめろ」
「善処します…あ、そうだ、一階の様子見ます?」
「ああ…見る」
彼女は隣にきてワイヤレスイヤホンの片方をこちらに寄越すと、携帯に一階の画面を映した。嘘喰い対捨隈の戦いが終わるまではここに動きはないだろう。俺は暫く休憩にすることを決め、イヤホンを耳に差し込んだ。