からむ宿木
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「やあ晴乃チャン、また会えたね。運命かな」
「やーだ獏様ったら。願い下げですよう」
「ハハ、冗談キツいね。さて…」
嘘喰いは晴乃からのキッパリとした拒絶も何のそので笑うと、猫議員に先程とは打って変わって醒めた視線を送った。
「お会い出来て光栄です。電波ジャックのヒーロー様」
猫議員はその視線を下卑た笑いで迎え撃つ。
「いや本日はありがたいお話を頂き馳せ参じました、民政党幹事長衆議院議員の猫登です。頂戴したメッセージの通り番組を拝見したところ、あのゲスト達の様を見て私はもう足がガタガタしておもらしする始末。背筋が凍る思いでしたよ」
言葉とは全くの裏腹。彼はにこにこと笑いながら腕を広げた。
「しかし、神はいるものです。メッセージで私にあてられていた21のアルファベットの中のZ…お恥ずかしい話ですが抑えられぬ性欲というのはやっかいなものです。このZの暴露…私がここであなたとの勝負に勝てば何と見逃してもらえるなんて私は幸せです。私宝くじに当たった気分でございます。これでうまくいけばあと2、3人はヤって殺れそうです…なんて」
小物め。客前なので外には出さないが、そう心の中で毒づく。俺は心を読めないが、恐らく他の面々も同じような事を思っている事だろう。しかし、対戦者である嘘喰いだけは「で?」と威圧に出た。
「で、と言いますと?」
「いや気にしないで…何もないならさっさと…」
「あ!そーだそーだ忘れてた。いや、実は私政治家でありながら何というか…その、勝負事にはてんで向いておりませんでね。申し訳ないのですがこの勝負…私ではなく私の連れのこちらの方としてもらう訳にはいきませんでしょうか?認めていただけると私最高に助かるのですが…」
「助かる?いいよ…それでいいなら俺はかまわない」
嘘喰いが了承したのを聞いて、猫議員はあからさまに胸を撫で下ろす。
「結構!」
紹介を受けた捨隈は、よく張る声で二人に割って入った。
「それでは私からもう一つ…いえ、大した事ではありません…ちっちゃな事です。あなたの500億とこの…タワーでの時間稼ぎで生まれる予定の賭郎へ貢ぐ搦手の、その功績を賭けてもらう」
わーお大胆、と晴乃が呟いた。全く同感だ。流石に鞍馬様がタダでこの男に援軍を遣すとは思っていなかったが、中々にボるじゃないか。この男なのか、後ろにいる鞍馬様か知らないが、よく頭が切れる。面白くなってきた。
「のんだ方がお互いにとっていい方向に進む。断るなら私達はいつでも引き上げます….暴露するなりご自由にどうぞ。アルファベットに何が用意されているのか楽しみでもあります」
ブラフもブラフ。21のアルファベットに対応した暴露VTRを本当に作っていない確証など、無い。だが、普通は作らない。嘘喰いの狙いはあくまで搦手の候補達が白旗をあげるまで暴露せず放送を続ける為、賭郎の力を利用してタワーでの放送を外部の妨害から守ることなのだ。だからこそ…
「俺は…構わない」
嘘喰いはそう言うしか無い。実際に暴露してはいけない。放送が止まってもいけない。上手く嘘喰いの狙いを読んだ捨隈様が一枚上手だ。
「立会人も聞きましたね?」
「たしかに」
「勝負はこれで成立ですね?」
晴乃が何を感じ取ったのか、小首を傾げる。
彼女が違和感を持つのなら、何かがあるという事。考えろ。勝負が成立したという事は。
次に起こる事を一早く理解した俺は、咄嗟に胸元のハンカチを落とした。
「やーだ獏様ったら。願い下げですよう」
「ハハ、冗談キツいね。さて…」
嘘喰いは晴乃からのキッパリとした拒絶も何のそので笑うと、猫議員に先程とは打って変わって醒めた視線を送った。
「お会い出来て光栄です。電波ジャックのヒーロー様」
猫議員はその視線を下卑た笑いで迎え撃つ。
「いや本日はありがたいお話を頂き馳せ参じました、民政党幹事長衆議院議員の猫登です。頂戴したメッセージの通り番組を拝見したところ、あのゲスト達の様を見て私はもう足がガタガタしておもらしする始末。背筋が凍る思いでしたよ」
言葉とは全くの裏腹。彼はにこにこと笑いながら腕を広げた。
「しかし、神はいるものです。メッセージで私にあてられていた21のアルファベットの中のZ…お恥ずかしい話ですが抑えられぬ性欲というのはやっかいなものです。このZの暴露…私がここであなたとの勝負に勝てば何と見逃してもらえるなんて私は幸せです。私宝くじに当たった気分でございます。これでうまくいけばあと2、3人はヤって殺れそうです…なんて」
小物め。客前なので外には出さないが、そう心の中で毒づく。俺は心を読めないが、恐らく他の面々も同じような事を思っている事だろう。しかし、対戦者である嘘喰いだけは「で?」と威圧に出た。
「で、と言いますと?」
「いや気にしないで…何もないならさっさと…」
「あ!そーだそーだ忘れてた。いや、実は私政治家でありながら何というか…その、勝負事にはてんで向いておりませんでね。申し訳ないのですがこの勝負…私ではなく私の連れのこちらの方としてもらう訳にはいきませんでしょうか?認めていただけると私最高に助かるのですが…」
「助かる?いいよ…それでいいなら俺はかまわない」
嘘喰いが了承したのを聞いて、猫議員はあからさまに胸を撫で下ろす。
「結構!」
紹介を受けた捨隈は、よく張る声で二人に割って入った。
「それでは私からもう一つ…いえ、大した事ではありません…ちっちゃな事です。あなたの500億とこの…タワーでの時間稼ぎで生まれる予定の賭郎へ貢ぐ搦手の、その功績を賭けてもらう」
わーお大胆、と晴乃が呟いた。全く同感だ。流石に鞍馬様がタダでこの男に援軍を遣すとは思っていなかったが、中々にボるじゃないか。この男なのか、後ろにいる鞍馬様か知らないが、よく頭が切れる。面白くなってきた。
「のんだ方がお互いにとっていい方向に進む。断るなら私達はいつでも引き上げます….暴露するなりご自由にどうぞ。アルファベットに何が用意されているのか楽しみでもあります」
ブラフもブラフ。21のアルファベットに対応した暴露VTRを本当に作っていない確証など、無い。だが、普通は作らない。嘘喰いの狙いはあくまで搦手の候補達が白旗をあげるまで暴露せず放送を続ける為、賭郎の力を利用してタワーでの放送を外部の妨害から守ることなのだ。だからこそ…
「俺は…構わない」
嘘喰いはそう言うしか無い。実際に暴露してはいけない。放送が止まってもいけない。上手く嘘喰いの狙いを読んだ捨隈様が一枚上手だ。
「立会人も聞きましたね?」
「たしかに」
「勝負はこれで成立ですね?」
晴乃が何を感じ取ったのか、小首を傾げる。
彼女が違和感を持つのなら、何かがあるという事。考えろ。勝負が成立したという事は。
次に起こる事を一早く理解した俺は、咄嗟に胸元のハンカチを落とした。