からむ宿木
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「お久しぶりです」と猫議員に微笑みかける晴乃は平静そのものだった。いつも感情のままに生きていると思っていたので感動した。
勿論それは彼女に伝わってしまったようで、彼女は俺の太ももを後ろ手に叩く。
「何だったかねえ、君は?」
「あらら。覚えていないようでしたら結構です」
「ふむ…?」
そう唸り、猫議員は思考を巡らす。彼女は待ってやるそぶりを見せたが、彼が一向に思い出さないのを見て態とらしく肩を竦めた。
「はあ…雹吾さんも。お久しぶりです」
「ああ。懐かしいな」
「また会う日が来るとは思ってませんでしたけどね」
「オレはそんな気がしてたさ」
「まさかぁ」
「あ、あああ!」
「うお、どうしたんですか」
過去の記憶がつながるや否や取り乱し始めた猫議員は晴乃を指差して叫んだ。
「き、貴様あの時の!」
「ああ、やっと思い出していただけました?」
「貴様のせいで私は今までコイツらにいいように…!」
「自分で蒔いた種じゃないですか」
「何を…!」
「落ち着いてください」
突然話に入ってきた男に驚き、猫議員と晴乃は口を噤む。男は二人に薄い笑みで答えた。この男こそが捨隈悟。引きが悪いな、嘘喰いも晴乃も。
「この勝負が終われば、あなたはもう助かります」
「ああ…そうかね、へへ」
晴乃はにへにへ笑う猫議員を心底蔑んだ目で見ると、けっ、と目を逸らした。
「おや晴乃さん、お早い」
「夜行立会人、お疲れ様です」
「貴女に立会人と呼ばれると、こそばいですね」
「ふふ、公私は分ける女です」
「それは結構ですね」
二人は朗らかに微笑みあい、すぐに捨隈様達に向き直る。
「捨隈様、こちらが今回斑目獏様側の立会人を務めます、夜行妃古壱でございます」
「弐號立会人、夜行妃古壱と申します。以後お見知りおきを」
「よろしくお願いします」
恭しい挨拶を猫議員と雹吾と呼ばれた男は会釈で受け取るが、捨隈様はじっと晴乃を見つめる。意図を察した彼女は「あ」と声を上げ、自分の失態に赤面した。
「申し遅れました。私、伏龍晴乃と申します」
「…目蒲鬼郎と申します」
「君達が噂の」
「やだ、どう広まってるんですか…?」
嘘偽りなく事実が事実のままに広まってるぞ、と心の中で答えつつ、俺は無関心を装う。丁度夜行立会人の電話が鳴る。
「はい…はい。承知しました」
電話を済ませた夜行立会人が捨隈様の話を遮り、「あちらも全員揃ったようです。参りましょう」と声を掛けた。
勿論それは彼女に伝わってしまったようで、彼女は俺の太ももを後ろ手に叩く。
「何だったかねえ、君は?」
「あらら。覚えていないようでしたら結構です」
「ふむ…?」
そう唸り、猫議員は思考を巡らす。彼女は待ってやるそぶりを見せたが、彼が一向に思い出さないのを見て態とらしく肩を竦めた。
「はあ…雹吾さんも。お久しぶりです」
「ああ。懐かしいな」
「また会う日が来るとは思ってませんでしたけどね」
「オレはそんな気がしてたさ」
「まさかぁ」
「あ、あああ!」
「うお、どうしたんですか」
過去の記憶がつながるや否や取り乱し始めた猫議員は晴乃を指差して叫んだ。
「き、貴様あの時の!」
「ああ、やっと思い出していただけました?」
「貴様のせいで私は今までコイツらにいいように…!」
「自分で蒔いた種じゃないですか」
「何を…!」
「落ち着いてください」
突然話に入ってきた男に驚き、猫議員と晴乃は口を噤む。男は二人に薄い笑みで答えた。この男こそが捨隈悟。引きが悪いな、嘘喰いも晴乃も。
「この勝負が終われば、あなたはもう助かります」
「ああ…そうかね、へへ」
晴乃はにへにへ笑う猫議員を心底蔑んだ目で見ると、けっ、と目を逸らした。
「おや晴乃さん、お早い」
「夜行立会人、お疲れ様です」
「貴女に立会人と呼ばれると、こそばいですね」
「ふふ、公私は分ける女です」
「それは結構ですね」
二人は朗らかに微笑みあい、すぐに捨隈様達に向き直る。
「捨隈様、こちらが今回斑目獏様側の立会人を務めます、夜行妃古壱でございます」
「弐號立会人、夜行妃古壱と申します。以後お見知りおきを」
「よろしくお願いします」
恭しい挨拶を猫議員と雹吾と呼ばれた男は会釈で受け取るが、捨隈様はじっと晴乃を見つめる。意図を察した彼女は「あ」と声を上げ、自分の失態に赤面した。
「申し遅れました。私、伏龍晴乃と申します」
「…目蒲鬼郎と申します」
「君達が噂の」
「やだ、どう広まってるんですか…?」
嘘偽りなく事実が事実のままに広まってるぞ、と心の中で答えつつ、俺は無関心を装う。丁度夜行立会人の電話が鳴る。
「はい…はい。承知しました」
電話を済ませた夜行立会人が捨隈様の話を遮り、「あちらも全員揃ったようです。参りましょう」と声を掛けた。