アイリス・アポロは野に咲いて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「貴方は、何故ここにきたのです?」
私は敢えて先程と同じ質問を重ねました。結局この質問が答えを得るのに一番相応しいと思うのです。
その証拠に、彼は先程とは違う答えを語り始めました。
「立会人は、会員のすぐ後ろで、彼らと同じ景色を見ている。そう思いませんか」
「ええ、思いますよ」
「私は会員と同じものを見ながらも、その遥か先を見据えることができる。そう自負しておりました。ですが、'あれ'はどうにも違うのです。'あれ'は私をどこにでも立たせてくれる。ですが、駄目なのです。後ろに控えれど、前で守れど、横に並べど、'あれ'の本懐が見えてこない。私は伏龍晴乃という人間を知りたいのです」
彼はそこで言葉を切りました。そして、唇の端を少しだけ自虐的に持ち上げ、続けます。
「情けなく見えるでしょうねえ。守りたい、役に立ちたいと宣いながら、あの小さな背を追い掛けて、私は」
「人質より格好悪くなることなんて早々無いと、どなたか仰っていましたね」
「ああ、あのインタビュー」
ふと思い出して投げ掛けた言葉を、彼はニヒルな笑みで受け止め、「その人質に振り回されてれば世話ありませんねえ」と言いました。あの人質に振り回されなかった方の方が少ないようにも思いますが、言うことでもありませんね。
「彼女と会って、多少格好悪くても生きていけるのだと認識を改めましたよ」
「先程のDareはつまり」
「彼女の目的を守る為なら、罰ゲームの一つや二つ」
「ふ、ふふふ」
笑いが漏れます。簡単な事だったのでしょう。我々は些かプライドが高く、それができなかっただけなのです。
「ふふふ、ありがとうございました。ああ、今日は貴方と話すことが出来て本当に良かった」
立ち上がれば、目蒲立会人を見下ろす形になります。彼は私を見上げ、不思議そうにしています。
「この老人にもまだまだやりたい事があったのを思い出しました。ふふ。晴乃さんにお伝え願いますか?どうか止めないでくれと」
ぽかんと私を見上げる目蒲立会人に軽く一礼すると、私はスタッフに後を任せて賭郎本部へと向かいました。私も立会人の本懐を遂げる為に。
私は敢えて先程と同じ質問を重ねました。結局この質問が答えを得るのに一番相応しいと思うのです。
その証拠に、彼は先程とは違う答えを語り始めました。
「立会人は、会員のすぐ後ろで、彼らと同じ景色を見ている。そう思いませんか」
「ええ、思いますよ」
「私は会員と同じものを見ながらも、その遥か先を見据えることができる。そう自負しておりました。ですが、'あれ'はどうにも違うのです。'あれ'は私をどこにでも立たせてくれる。ですが、駄目なのです。後ろに控えれど、前で守れど、横に並べど、'あれ'の本懐が見えてこない。私は伏龍晴乃という人間を知りたいのです」
彼はそこで言葉を切りました。そして、唇の端を少しだけ自虐的に持ち上げ、続けます。
「情けなく見えるでしょうねえ。守りたい、役に立ちたいと宣いながら、あの小さな背を追い掛けて、私は」
「人質より格好悪くなることなんて早々無いと、どなたか仰っていましたね」
「ああ、あのインタビュー」
ふと思い出して投げ掛けた言葉を、彼はニヒルな笑みで受け止め、「その人質に振り回されてれば世話ありませんねえ」と言いました。あの人質に振り回されなかった方の方が少ないようにも思いますが、言うことでもありませんね。
「彼女と会って、多少格好悪くても生きていけるのだと認識を改めましたよ」
「先程のDareはつまり」
「彼女の目的を守る為なら、罰ゲームの一つや二つ」
「ふ、ふふふ」
笑いが漏れます。簡単な事だったのでしょう。我々は些かプライドが高く、それができなかっただけなのです。
「ふふふ、ありがとうございました。ああ、今日は貴方と話すことが出来て本当に良かった」
立ち上がれば、目蒲立会人を見下ろす形になります。彼は私を見上げ、不思議そうにしています。
「この老人にもまだまだやりたい事があったのを思い出しました。ふふ。晴乃さんにお伝え願いますか?どうか止めないでくれと」
ぽかんと私を見上げる目蒲立会人に軽く一礼すると、私はスタッフに後を任せて賭郎本部へと向かいました。私も立会人の本懐を遂げる為に。