二輪草の選択
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さて、話は現在、つまり、獏様が賭けを始める三時間前に戻ってくる。
「で、どうすればいいんですか?」
「後何時間だ?」
「えと…三時間です」
眉間にしわを寄せた目蒲さんを見て、滝さんが「おい、どうしたってんだ」と心配してくれる。私は人を巻き込みすぎている申し訳なさに耐えつつ、「獏様を止めたいんです」と答えた。
「何がまずいってんだ」
「獏様をお屋形様にしたくないです」
「そんなことかよ。諦めろ」
「えーそんな」
「黙ってろ馬鹿女。申し訳ありません滝さん、それは無視して頂きたい。嘘喰いはLファイルの情報を使って搦手の候補達を脅す気です。つまり、我々が取り立てたアリバイを使って」
「おお、なるほど、まずいな」
滝さんが笑う。
「よし、電波塔破壊しろ」
「ええ?!」
「根回しに失敗したんだろ?ならそれしかあるめえよ。能輪ならそうする。俺もそうする」
「まあ、それしかありませんなあ。おい、外務卿まだか」
目蒲さんがそう言いながら出入り口を見やると、丁度そこに夕湖がやってきた。
「泉江外務卿、折角来ていただいたところ申し訳ありませんが、執務室に戻って電波塔破壊の手筈を整えていただきたい」
「ああ…やはりそれしかないか」
「ええ?!いやいや、そんな物騒な。第一ね、そんなことしたらテレビ見れなくなっちゃう」
「ガキかお前は」
「伏龍家の唯一の娯楽なんです!」
「今度DVDプレーヤーを買ってやる」
「え、やった!…じゃなくて、そういう問題じゃないんです!その…ほら、誰がそんな立会い引き受けるってんですか!」
「誰でもいいだろ」
「えーじゃあ、目蒲さんやりますか?ゲーム守る為に電波塔を守りつつ最後は賭郎の為にゲーム続行不可能にしなきゃいけないんですよ?」
目蒲さんがキュッと眉間にしわを寄せた。私は畳み掛ける。
「いいですよ?私は別に誰でも。経歴に傷が付くのは私じゃないですもん。さ、誰にババ引かせます?」
「…みだ」
「うわー最低!」
「てんめっ…!」
目蒲さんが頭を掴もうとしたので、私は後ろに逃げる。そのまま夕湖の後ろに隠れて、「てか、今人の親友売ろうとしませんでした?」と更に追撃しておく。「お前は本当に、減らず口なんとかしろ!」と怒る彼を他所に、夕湖が「だが晴乃、誰かがババを引くしかないぞ」と諭すように言った。
「私にいい考えがある!って言ったら、協力してくれます?」
途端、時が止まる。失礼な奴らめ。
「まあ、一応聞こう」
「時間の無駄ですよ外務卿。この馬鹿女に策も糞もある訳がない」
「よし、立会いは目蒲さんですね」
「待て。聞こう」
「うわあ現金な人。まあいいや。私が出演者を説得して、先に事件のことを自白させるってどうでしょう」
「前提がおかしい」
「なんでまた」
「忘れているかもしれないが、お前は軟禁されているんだ」
「お屋形様に許可を貰えばいいじゃないですか」
「そんなゆるい感じの軟禁だったのか」
「まさか。そういう関係まで持ってったんですよ。長いことかけてね」
目蒲さんは目を見開いた。その姿がおかしくて、口の端が上がってしまう。
「命と名誉のための防衛戦なんです。戦うに決まってる。そうでしょ?いつまでもダラダラ捕虜なんてやってませんよ」
そう。いくら目蒲さんの為と言えど、流石に人生全部をくれてやる気なんて更々無い。これは期間限定の関係。貴方が素直に人に甘えられるようになる、その日までの。
「だから、私たちの命のことは気にしないで下さいな」
自信ありげに見えるように、ピースサインを作る。目蒲さんはため息をついた。
「で、どうすればいいんですか?」
「後何時間だ?」
「えと…三時間です」
眉間にしわを寄せた目蒲さんを見て、滝さんが「おい、どうしたってんだ」と心配してくれる。私は人を巻き込みすぎている申し訳なさに耐えつつ、「獏様を止めたいんです」と答えた。
「何がまずいってんだ」
「獏様をお屋形様にしたくないです」
「そんなことかよ。諦めろ」
「えーそんな」
「黙ってろ馬鹿女。申し訳ありません滝さん、それは無視して頂きたい。嘘喰いはLファイルの情報を使って搦手の候補達を脅す気です。つまり、我々が取り立てたアリバイを使って」
「おお、なるほど、まずいな」
滝さんが笑う。
「よし、電波塔破壊しろ」
「ええ?!」
「根回しに失敗したんだろ?ならそれしかあるめえよ。能輪ならそうする。俺もそうする」
「まあ、それしかありませんなあ。おい、外務卿まだか」
目蒲さんがそう言いながら出入り口を見やると、丁度そこに夕湖がやってきた。
「泉江外務卿、折角来ていただいたところ申し訳ありませんが、執務室に戻って電波塔破壊の手筈を整えていただきたい」
「ああ…やはりそれしかないか」
「ええ?!いやいや、そんな物騒な。第一ね、そんなことしたらテレビ見れなくなっちゃう」
「ガキかお前は」
「伏龍家の唯一の娯楽なんです!」
「今度DVDプレーヤーを買ってやる」
「え、やった!…じゃなくて、そういう問題じゃないんです!その…ほら、誰がそんな立会い引き受けるってんですか!」
「誰でもいいだろ」
「えーじゃあ、目蒲さんやりますか?ゲーム守る為に電波塔を守りつつ最後は賭郎の為にゲーム続行不可能にしなきゃいけないんですよ?」
目蒲さんがキュッと眉間にしわを寄せた。私は畳み掛ける。
「いいですよ?私は別に誰でも。経歴に傷が付くのは私じゃないですもん。さ、誰にババ引かせます?」
「…みだ」
「うわー最低!」
「てんめっ…!」
目蒲さんが頭を掴もうとしたので、私は後ろに逃げる。そのまま夕湖の後ろに隠れて、「てか、今人の親友売ろうとしませんでした?」と更に追撃しておく。「お前は本当に、減らず口なんとかしろ!」と怒る彼を他所に、夕湖が「だが晴乃、誰かがババを引くしかないぞ」と諭すように言った。
「私にいい考えがある!って言ったら、協力してくれます?」
途端、時が止まる。失礼な奴らめ。
「まあ、一応聞こう」
「時間の無駄ですよ外務卿。この馬鹿女に策も糞もある訳がない」
「よし、立会いは目蒲さんですね」
「待て。聞こう」
「うわあ現金な人。まあいいや。私が出演者を説得して、先に事件のことを自白させるってどうでしょう」
「前提がおかしい」
「なんでまた」
「忘れているかもしれないが、お前は軟禁されているんだ」
「お屋形様に許可を貰えばいいじゃないですか」
「そんなゆるい感じの軟禁だったのか」
「まさか。そういう関係まで持ってったんですよ。長いことかけてね」
目蒲さんは目を見開いた。その姿がおかしくて、口の端が上がってしまう。
「命と名誉のための防衛戦なんです。戦うに決まってる。そうでしょ?いつまでもダラダラ捕虜なんてやってませんよ」
そう。いくら目蒲さんの為と言えど、流石に人生全部をくれてやる気なんて更々無い。これは期間限定の関係。貴方が素直に人に甘えられるようになる、その日までの。
「だから、私たちの命のことは気にしないで下さいな」
自信ありげに見えるように、ピースサインを作る。目蒲さんはため息をついた。