二輪草の選択
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「自分を?…はは、女史。舐めたこと言ってくれるじゃないの」
「舐めてません」
かん、かん、とデスクを叩くシャーペンの音が大きくなる。
「力量の話はしてない。立場の問題です。あんたら屋形越えを阻止できる立場なのか、って話なんですよ…!」
「は?」
「だから、あんたら、賭郎、メンバーが、どうやって、会員が、お金を、稼ぐ、のを、邪魔、できるの、かって、聞いてん、です、よぉ!」
一拍ごとにデスクに叩きつけられるシャーペン。ぞわぞわと悪寒が背中を登る。かん!かん!かん!
「会員が、お金を、稼ぐ、のも!搦手を、調達、する、のも!あんたらは、見てる、だけ、じゃない!」
豹変する晴乃を見つめる南方立会人の横顔が強張り始める。かん!かん!かん!俺でも分かる。あれは恐怖を感じているんだ。
「私しか、いない、のよ!獏様止められんのはぁぁ!」
「ひっ…!」
大声と共に晴乃がシャーペンを振りかぶったのと、南方立会人が手を引っ込めたのは同時だった。
「ふいぃ、勝った」
そしてその直後、さっきまで青い炎を燃え滾らせていた筈の女は、嘘のように椅子の上でだらけ切っている。
「は?」
「ん?」
「さっきまでのは…?」
「へ?…やだ、演技に決まってるじゃないですか」
「は?」
「ん?…まあいいや、後でね目蒲さん。そしてLファイル下さい南方さん」
「え…?」
「えっ、て…んもう!なんで立会人さんはみんなしてそうも知りたがりなんですか!」
「切れるなよ…」
「切れたくもなりますよ!なんなのもう、どうして負けたかとかいらないでしょうが!」
「いや、いるだろ」
「ええい目蒲さんはどっちの味方なんだ!とにかくほら、LファイルですLファイル!」
びっ、と差し出された手の平に、南方立会人は唖然としたままLファイルを乗せた。すると晴乃はそれをそのまま俺の手のひらに乗せた。
「は?」
「え?」
「何故俺に託す」
「え、だって、目蒲さんがまずはLファイルを見ないことには話にならないって…」
「言ったがなあ…」
晴乃は何も言わず、ただ呆れたような目で俺を見つめる。ああなんだ、嫌な予感。
「なあお前、まさかこれで何をするか分からないとか言わないよな…?」
「むしろ何で私に分かると思ったんですか?」
「なんでそんなに偉そうなんだ馬鹿女!質問しろ!」
耐えきれず大声で叫ぶと、晴乃は「ぎゃ!」と色気のない悲鳴を上げた。
「だってどうせ聞いても分かんなそうだったんですもん!」
「言い訳すんじゃねえ!あーもういい分かった。俺が馬鹿だった。やっとくからお前もう寝ろ」
「え?!」
「何だ」
「それはちょっと申し訳ない…」
「どうせ明日も無鉄砲なんだろうが」
晴乃がキョトンとした顔で俺を見上げる。見つめ返せば彼女は照れたような、怒ったような顔をした。
「だから別に、無鉄砲で走ってる訳じゃないんですって」
「どうだかな」
顎でドアを示せば、彼女は拗ねたような小さな声で「おやすみなさい」と言って出て行った。
「舐めてません」
かん、かん、とデスクを叩くシャーペンの音が大きくなる。
「力量の話はしてない。立場の問題です。あんたら屋形越えを阻止できる立場なのか、って話なんですよ…!」
「は?」
「だから、あんたら、賭郎、メンバーが、どうやって、会員が、お金を、稼ぐ、のを、邪魔、できるの、かって、聞いてん、です、よぉ!」
一拍ごとにデスクに叩きつけられるシャーペン。ぞわぞわと悪寒が背中を登る。かん!かん!かん!
「会員が、お金を、稼ぐ、のも!搦手を、調達、する、のも!あんたらは、見てる、だけ、じゃない!」
豹変する晴乃を見つめる南方立会人の横顔が強張り始める。かん!かん!かん!俺でも分かる。あれは恐怖を感じているんだ。
「私しか、いない、のよ!獏様止められんのはぁぁ!」
「ひっ…!」
大声と共に晴乃がシャーペンを振りかぶったのと、南方立会人が手を引っ込めたのは同時だった。
「ふいぃ、勝った」
そしてその直後、さっきまで青い炎を燃え滾らせていた筈の女は、嘘のように椅子の上でだらけ切っている。
「は?」
「ん?」
「さっきまでのは…?」
「へ?…やだ、演技に決まってるじゃないですか」
「は?」
「ん?…まあいいや、後でね目蒲さん。そしてLファイル下さい南方さん」
「え…?」
「えっ、て…んもう!なんで立会人さんはみんなしてそうも知りたがりなんですか!」
「切れるなよ…」
「切れたくもなりますよ!なんなのもう、どうして負けたかとかいらないでしょうが!」
「いや、いるだろ」
「ええい目蒲さんはどっちの味方なんだ!とにかくほら、LファイルですLファイル!」
びっ、と差し出された手の平に、南方立会人は唖然としたままLファイルを乗せた。すると晴乃はそれをそのまま俺の手のひらに乗せた。
「は?」
「え?」
「何故俺に託す」
「え、だって、目蒲さんがまずはLファイルを見ないことには話にならないって…」
「言ったがなあ…」
晴乃は何も言わず、ただ呆れたような目で俺を見つめる。ああなんだ、嫌な予感。
「なあお前、まさかこれで何をするか分からないとか言わないよな…?」
「むしろ何で私に分かると思ったんですか?」
「なんでそんなに偉そうなんだ馬鹿女!質問しろ!」
耐えきれず大声で叫ぶと、晴乃は「ぎゃ!」と色気のない悲鳴を上げた。
「だってどうせ聞いても分かんなそうだったんですもん!」
「言い訳すんじゃねえ!あーもういい分かった。俺が馬鹿だった。やっとくからお前もう寝ろ」
「え?!」
「何だ」
「それはちょっと申し訳ない…」
「どうせ明日も無鉄砲なんだろうが」
晴乃がキョトンとした顔で俺を見上げる。見つめ返せば彼女は照れたような、怒ったような顔をした。
「だから別に、無鉄砲で走ってる訳じゃないんですって」
「どうだかな」
顎でドアを示せば、彼女は拗ねたような小さな声で「おやすみなさい」と言って出て行った。