フォックスフェイスの戯れ
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「いやいや」
「凄く荒れてたね、南方」
「女史はそんな事するタイプじゃないって信じてたのにー!って言われちゃいましたよ。過去に何があったんでしょ」
「騙されたんじゃない?」
「可哀想に」
「でも晴乃君はそんな南方の?」
「動画撮ってました」
「君も大概だよ」
「お屋形様には負けます」
「さ、私あと一人引っ掛けたいんだよね」
「ほう?」
ーー目蒲立会人の場合
「やあ目蒲、立会いご苦労様」
「…お疲れ様です」
晴乃君を目で探す目蒲。当然、ここにはいない。10分後に来いとだけ伝えて別室に控えさせている。
「晴乃君なら解放したよ」
単刀直入にそう告げた。目蒲の目が見開かれる。
「晴乃、を」
「うん。君は立会人を続けなよ。過去については忘れてあげる」
流石に鉄面皮と呼ばれた男の表情は変わらない。何となく、呆けているなと思う程度。
「返事は?」
少しの間。その後、掠れた声ではい、と答えた。
ーーああ。私は想いを馳せる。君が潤沢な愛で育てた立会人は、君を失ったと知ればどうなるのだろう。落ち着いた鼓動。伏せられた目。次にその目が合った時、彼は何と言うだろう。悪趣味な想像。私だったら、何と言うだろう。
ドアの開く音。残念。時間切れだ。
「うお目蒲さん?!」
「…晴乃?」
素っ頓狂な声と共に事務室に戻ってきた晴乃君。そして、朧げながら私が目蒲に良くないいたずらを仕掛けたことを理解して、私を睨んだ。
「後で説教」
低い声でそう言うと、彼女は目蒲に駆け寄っていく。
「目蒲さん大丈夫ですか?何されたんですか?」
「…まだいたのか」
「へ?」
「解放されたと、聞いた」
「ああ、そういう騙し方…」
晴乃君は酷く冷めた目でこちらを見遣り、それを隠すかのように目蒲に笑顔を向ける。
「ごめんなさいね、目蒲さん。お屋形様の嘘なの。ドッキリを仕掛ける筈だったけど、こんなタチの悪いことするなんて思ってなくて」
目蒲の腕をさする晴乃君の髪を、目蒲は空いている方の手で梳いた。
「お前が」
「ん?」
「お前が早く解放されるといいと、思っていた筈なんだがな」
彼女は依然呆けたままの目蒲を小さく笑って、「ばかだなあ」と言った。
「凄く荒れてたね、南方」
「女史はそんな事するタイプじゃないって信じてたのにー!って言われちゃいましたよ。過去に何があったんでしょ」
「騙されたんじゃない?」
「可哀想に」
「でも晴乃君はそんな南方の?」
「動画撮ってました」
「君も大概だよ」
「お屋形様には負けます」
「さ、私あと一人引っ掛けたいんだよね」
「ほう?」
ーー目蒲立会人の場合
「やあ目蒲、立会いご苦労様」
「…お疲れ様です」
晴乃君を目で探す目蒲。当然、ここにはいない。10分後に来いとだけ伝えて別室に控えさせている。
「晴乃君なら解放したよ」
単刀直入にそう告げた。目蒲の目が見開かれる。
「晴乃、を」
「うん。君は立会人を続けなよ。過去については忘れてあげる」
流石に鉄面皮と呼ばれた男の表情は変わらない。何となく、呆けているなと思う程度。
「返事は?」
少しの間。その後、掠れた声ではい、と答えた。
ーーああ。私は想いを馳せる。君が潤沢な愛で育てた立会人は、君を失ったと知ればどうなるのだろう。落ち着いた鼓動。伏せられた目。次にその目が合った時、彼は何と言うだろう。悪趣味な想像。私だったら、何と言うだろう。
ドアの開く音。残念。時間切れだ。
「うお目蒲さん?!」
「…晴乃?」
素っ頓狂な声と共に事務室に戻ってきた晴乃君。そして、朧げながら私が目蒲に良くないいたずらを仕掛けたことを理解して、私を睨んだ。
「後で説教」
低い声でそう言うと、彼女は目蒲に駆け寄っていく。
「目蒲さん大丈夫ですか?何されたんですか?」
「…まだいたのか」
「へ?」
「解放されたと、聞いた」
「ああ、そういう騙し方…」
晴乃君は酷く冷めた目でこちらを見遣り、それを隠すかのように目蒲に笑顔を向ける。
「ごめんなさいね、目蒲さん。お屋形様の嘘なの。ドッキリを仕掛ける筈だったけど、こんなタチの悪いことするなんて思ってなくて」
目蒲の腕をさする晴乃君の髪を、目蒲は空いている方の手で梳いた。
「お前が」
「ん?」
「お前が早く解放されるといいと、思っていた筈なんだがな」
彼女は依然呆けたままの目蒲を小さく笑って、「ばかだなあ」と言った。