フォックスフェイスの戯れ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いやいや、怖い目に遭いました」
「引くほど怒られてたね、晴乃君」
「ムカつきますよねえ。お屋形様にも怒ってみろってんですよ」
「私に意見するのは世界で君だけだからね」
「それホントにどうかと思います」
「ま、私完璧だから」
「言いますねえ。しかし、やっぱりジョークが通じる相手にしないとダメですね」
「例えば?」
「え?そりゃあ」
ーー南方立会人の場合
「あんたは何でもっと考えないのー!」という怒号が聞こえてきて、肩が竦む。女史の怒り方は本当に多彩だ。今日は火山噴火型なんだね。怒られてるのは一体誰なのやら。俺は不謹慎にもワクワクしながら事務室を覗き込んだ。
そして、慌てて頭を引っ込めた。
「晴乃君、落ち着いて、落ち着いて」
「うるさい!なめ腐りやがって、こっちは仕事中だって何回言ったら分かるのー!」
「ごめ、ほら、謝るよ」
「今更謝ったって遅い!あんたが来ると立会人さん達が寛げないのって何回言わせたと思ってるの!」
「16回」
「数えてんじゃねえー!」
火でも噴きそうな女史の猛攻を受けているのは、どう見てもお屋形様。いや、目眩がするね。彼女だけはこういう暴挙も許されるとは分かっちゃいたけど、これは流石にやり過ぎなんじゃないかね。
「何でそんなに言われて改めない?!」
「だって私、お屋形様だし」
「お屋形様は事務より偉いのか!」
「偉いよ。何言ってるの」
ホントだよ。何言ってるの。
「だああもう!やかましい!」
「え、ちょっと待って晴乃君」
「待たない!」
動揺したお屋形様の声に驚き、再び事務室を覗いてしまう。そこにいたのは大型の水鉄砲を構える女史と両手をホールドアップしたお屋形様。駄目だ、ちょっとよく分からない。代わって門倉。
「なにそれ、どこで手に入れたの」
「目蒲さんに決まってるでしょー!」
「うわホントに撃たないでよね!」
こんなクレイジーな女に何でもホイホイ買い与えるんじゃないよ目蒲立会人。というか、せがまれた時に用途を聞けよ。水鉄砲なんて誰かが被害を被るに決まってるんだから。
しかし、ここに居たら次の被害者は俺だ。俺は踵を返すが、振り向けばいた能輪立会人に驚き、思わず立ち止まる。彼はどんよりとした顔のまま「気配は隠しとらんかったがのう」と嫌味を言ってきた。とりあえず、謝っておく。
「さて、私は失礼します」
「何を言うちょる。事務室に用があったんじゃろう」
入らんか、と車椅子で器用ににじり寄る能輪立会人に気圧されかけるも、後門の狼。易々と入る訳にはいかない。
「いえ、能輪立会人、今は入らない方が得策と言えましょう」
「アホ抜かせ。仕事をこなさんか」
「その…今入ると逆に仕事が滞るのですよ」
「オロ?何じゃ、社則を見ておらんのか?」
「社則?」
「お屋形様に降りかかる危険を排除するのも立会人の務め。行かんか」
「ええ…」
女史も降りかかる危険扱いなのだろうか?無礼な言い草なんだが、しかし、まあ、確かにね。
だからこそ嫌なんだけどね。
「いえ、ここは静観しましょう」
「何を言うか」
「能輪立会人、平たく申し上げて危険です」
「立会人とはそもそも危険な勤めよ」
「いえ、世の中には被らなくていい危険が…うわ冷た!」
「被らなくていい危険とは失礼なー」
「というか南方、結構四の五の言うタイプなんだね」
「えっ」
何事かと振り向けば、水鉄砲をこちらに向ける女史と「ドッキリ大成功」のボードを持ったお屋形様が立っていた。
「引くほど怒られてたね、晴乃君」
「ムカつきますよねえ。お屋形様にも怒ってみろってんですよ」
「私に意見するのは世界で君だけだからね」
「それホントにどうかと思います」
「ま、私完璧だから」
「言いますねえ。しかし、やっぱりジョークが通じる相手にしないとダメですね」
「例えば?」
「え?そりゃあ」
ーー南方立会人の場合
「あんたは何でもっと考えないのー!」という怒号が聞こえてきて、肩が竦む。女史の怒り方は本当に多彩だ。今日は火山噴火型なんだね。怒られてるのは一体誰なのやら。俺は不謹慎にもワクワクしながら事務室を覗き込んだ。
そして、慌てて頭を引っ込めた。
「晴乃君、落ち着いて、落ち着いて」
「うるさい!なめ腐りやがって、こっちは仕事中だって何回言ったら分かるのー!」
「ごめ、ほら、謝るよ」
「今更謝ったって遅い!あんたが来ると立会人さん達が寛げないのって何回言わせたと思ってるの!」
「16回」
「数えてんじゃねえー!」
火でも噴きそうな女史の猛攻を受けているのは、どう見てもお屋形様。いや、目眩がするね。彼女だけはこういう暴挙も許されるとは分かっちゃいたけど、これは流石にやり過ぎなんじゃないかね。
「何でそんなに言われて改めない?!」
「だって私、お屋形様だし」
「お屋形様は事務より偉いのか!」
「偉いよ。何言ってるの」
ホントだよ。何言ってるの。
「だああもう!やかましい!」
「え、ちょっと待って晴乃君」
「待たない!」
動揺したお屋形様の声に驚き、再び事務室を覗いてしまう。そこにいたのは大型の水鉄砲を構える女史と両手をホールドアップしたお屋形様。駄目だ、ちょっとよく分からない。代わって門倉。
「なにそれ、どこで手に入れたの」
「目蒲さんに決まってるでしょー!」
「うわホントに撃たないでよね!」
こんなクレイジーな女に何でもホイホイ買い与えるんじゃないよ目蒲立会人。というか、せがまれた時に用途を聞けよ。水鉄砲なんて誰かが被害を被るに決まってるんだから。
しかし、ここに居たら次の被害者は俺だ。俺は踵を返すが、振り向けばいた能輪立会人に驚き、思わず立ち止まる。彼はどんよりとした顔のまま「気配は隠しとらんかったがのう」と嫌味を言ってきた。とりあえず、謝っておく。
「さて、私は失礼します」
「何を言うちょる。事務室に用があったんじゃろう」
入らんか、と車椅子で器用ににじり寄る能輪立会人に気圧されかけるも、後門の狼。易々と入る訳にはいかない。
「いえ、能輪立会人、今は入らない方が得策と言えましょう」
「アホ抜かせ。仕事をこなさんか」
「その…今入ると逆に仕事が滞るのですよ」
「オロ?何じゃ、社則を見ておらんのか?」
「社則?」
「お屋形様に降りかかる危険を排除するのも立会人の務め。行かんか」
「ええ…」
女史も降りかかる危険扱いなのだろうか?無礼な言い草なんだが、しかし、まあ、確かにね。
だからこそ嫌なんだけどね。
「いえ、ここは静観しましょう」
「何を言うか」
「能輪立会人、平たく申し上げて危険です」
「立会人とはそもそも危険な勤めよ」
「いえ、世の中には被らなくていい危険が…うわ冷た!」
「被らなくていい危険とは失礼なー」
「というか南方、結構四の五の言うタイプなんだね」
「えっ」
何事かと振り向けば、水鉄砲をこちらに向ける女史と「ドッキリ大成功」のボードを持ったお屋形様が立っていた。