フォックスフェイスの戯れ
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例えばパワハラセクハラ、世の中には様々なハラスメントがある訳で。そういったトラブルが何故起こってしまうかって、簡単にまとめてしまえば'プレッシャーがある'からだ。上司とか、取引先とか、友達とか、色々な関係性があって、そのどれもにプレッシャーを感じさせる瞬間はあるもの。そこから逃げたり立ち向かったり、上手に迂回してみたりとその人毎に対処の仕方はあるけれど、完璧の傍に立つ立会人さんたちは一体どんな風にそんなプレッシャーから逃れるのかしら。という壮大な実験を今からします。
嘘です。
ただの言い訳です。
ーーヰ近立会人の場合
「ばっはっは伏龍、戻ったぞ!さあ持て成…んん?」
ヰ近が私に気付き、ドア口で立ち止まった。私は態とらしく首を傾げながら席を立つ。
「どうしたの、ヰ近立会人。すぐに紅茶を淹れるから座っててよ」
「いやいや、お屋形様。それは勿体無き幸せですぞ。伏龍を待ちます故」
「お屋形様を待ってどうするの?」
「…んん?」
ヰ近が大きく首をひねる。とても良い反応である。
「どうしたの、賭郎に伏龍は一人しかいないでしょう?」
呆れたように腰に手を当てて見れば、ヰ近は目に見えて困惑し始める。
「ええ…そうですな。伏龍は賭郎にただ一人、事務の…」
「いくら温厚なお屋形様でも、事務呼ばわりは怒るんじゃない?」
冗談も大概にしなよね、と言ってみると、流石のヰ近も何も言えない様子だった。可哀想なのでトドメを刺すことにした私は、後ろ手に携帯を取り出し、晴乃君を呼んだ。
「ねえねえ切間君!ババ抜きしようよ!」
すぐに事務室に乱入してきた晴乃君がニコニコそう言うので、いつもの様に「別に良いけどコテンパンですよ?」と返した。'お屋形様'に対してフランクすぎただろうか。そう思ってヰ近を見るが、最早そこに違和感を抱く余裕もない様子。
「ね、夜行さんもやるでしょう?」
「仰せのままに」
楽しそうな晴乃君と、仕方がない娘でも見るかの様な夜行。ほのぼの感を醸し出す二人を見るヰ近の顔がどんどん切羽詰まってきたところで、滝がそっとボードを上げた。
ドッキリ大成功、と書かれたそれを見た瞬間、ヰ近が手近なテーブルを叩き壊したのは言うまでもない。
ーー能輪立会人の場合
「それで、内閣暗謀のロゴってどうなったんですか?」
「いや、そもそもなんでお前さんがその椅子に座っちょる。お屋形様が帰ってくる前に降りんか。どやされても知らんぞ」
「へ?」
態とらしく首を傾げてみせれば、おじいちゃんは憮然とした顔をした。
「能輪立会人、何を仰る」
夜行さん、ナイスです。心の中で親指を立てるけど、お屋形様はそんな事しないので努めて無表情に「疲れてるんですか?」と聞いた。おじいちゃんの呆れた様な、怒った様な視線。
多分これ、相当頑張らないと騙しきれないな。
私は本腰を入れる。
「ま、疲れてるならすぐ終わらせましょ。さ、下絵見せて下さいな」
「お屋形様を出さんか、伏龍」
「はぁ…私がお屋形様ですよ、おじいちゃん」
私はとっても心配そうな顔を作り、おじいちゃんを見つめる。
「忘れたんですか?記憶喪失のことがあるからって、しばらく選手交代になったじゃないですか」
「そんなん聞いとらんわい、なあ、夜行…」
おじいちゃんの声は尻すぼみになる。冒頭で夜行さんがこちらサイドだったのを思い出したのだろう。よしよし。
「ま、おじいちゃん最後まで反対してましたからね。でも、お互いやらなきゃ賭郎が回っていかないので」
右手を差し出して、下絵を催促する。おじいちゃんの戸惑った顔。これで大人しく渡してくれたら私の勝ち、反論するなら大人しくネタバラシかなあ、と思ってはいたけど、ありがたいことにおじいちゃんは下絵をくれた。
夜行さんが連絡を入れてくれたのであろう。お屋形様が'ドッキリ大成功!'のボードを持ってドアを開けた。
嘘です。
ただの言い訳です。
ーーヰ近立会人の場合
「ばっはっは伏龍、戻ったぞ!さあ持て成…んん?」
ヰ近が私に気付き、ドア口で立ち止まった。私は態とらしく首を傾げながら席を立つ。
「どうしたの、ヰ近立会人。すぐに紅茶を淹れるから座っててよ」
「いやいや、お屋形様。それは勿体無き幸せですぞ。伏龍を待ちます故」
「お屋形様を待ってどうするの?」
「…んん?」
ヰ近が大きく首をひねる。とても良い反応である。
「どうしたの、賭郎に伏龍は一人しかいないでしょう?」
呆れたように腰に手を当てて見れば、ヰ近は目に見えて困惑し始める。
「ええ…そうですな。伏龍は賭郎にただ一人、事務の…」
「いくら温厚なお屋形様でも、事務呼ばわりは怒るんじゃない?」
冗談も大概にしなよね、と言ってみると、流石のヰ近も何も言えない様子だった。可哀想なのでトドメを刺すことにした私は、後ろ手に携帯を取り出し、晴乃君を呼んだ。
「ねえねえ切間君!ババ抜きしようよ!」
すぐに事務室に乱入してきた晴乃君がニコニコそう言うので、いつもの様に「別に良いけどコテンパンですよ?」と返した。'お屋形様'に対してフランクすぎただろうか。そう思ってヰ近を見るが、最早そこに違和感を抱く余裕もない様子。
「ね、夜行さんもやるでしょう?」
「仰せのままに」
楽しそうな晴乃君と、仕方がない娘でも見るかの様な夜行。ほのぼの感を醸し出す二人を見るヰ近の顔がどんどん切羽詰まってきたところで、滝がそっとボードを上げた。
ドッキリ大成功、と書かれたそれを見た瞬間、ヰ近が手近なテーブルを叩き壊したのは言うまでもない。
ーー能輪立会人の場合
「それで、内閣暗謀のロゴってどうなったんですか?」
「いや、そもそもなんでお前さんがその椅子に座っちょる。お屋形様が帰ってくる前に降りんか。どやされても知らんぞ」
「へ?」
態とらしく首を傾げてみせれば、おじいちゃんは憮然とした顔をした。
「能輪立会人、何を仰る」
夜行さん、ナイスです。心の中で親指を立てるけど、お屋形様はそんな事しないので努めて無表情に「疲れてるんですか?」と聞いた。おじいちゃんの呆れた様な、怒った様な視線。
多分これ、相当頑張らないと騙しきれないな。
私は本腰を入れる。
「ま、疲れてるならすぐ終わらせましょ。さ、下絵見せて下さいな」
「お屋形様を出さんか、伏龍」
「はぁ…私がお屋形様ですよ、おじいちゃん」
私はとっても心配そうな顔を作り、おじいちゃんを見つめる。
「忘れたんですか?記憶喪失のことがあるからって、しばらく選手交代になったじゃないですか」
「そんなん聞いとらんわい、なあ、夜行…」
おじいちゃんの声は尻すぼみになる。冒頭で夜行さんがこちらサイドだったのを思い出したのだろう。よしよし。
「ま、おじいちゃん最後まで反対してましたからね。でも、お互いやらなきゃ賭郎が回っていかないので」
右手を差し出して、下絵を催促する。おじいちゃんの戸惑った顔。これで大人しく渡してくれたら私の勝ち、反論するなら大人しくネタバラシかなあ、と思ってはいたけど、ありがたいことにおじいちゃんは下絵をくれた。
夜行さんが連絡を入れてくれたのであろう。お屋形様が'ドッキリ大成功!'のボードを持ってドアを開けた。