香り立て花蘇芳
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まだ喉痛いんだけど。ホントめんどくさい。身の程を知れっつの。ブツブツうるさい伏龍を尻目にゲームをする。彼女がわざわざ返事を求めてくることはない。
門倉立会人の一件を境に、伏龍は事務室に籠って賭郎とその周辺人物を手当たり次第に調べるようになった。門倉立会人の負傷は自分のせいだと思い込んでいるせいだ。
コイツは本当に頭が悪いから不憫だ。しかも強情だから救いようが無い。
「なあ」
「何」
「俺たちが天真を調べよーが調べなかろーが」
「門倉立会人は救えなかったと思うぜ、でしょ?もうそれ聞いた」
「じゃあ」
「やめない」
ぴしゃりと打ち付けられた言葉に閉口する。彼女はパソコンをじっと睨みつけている。その横顔をぼんやりと眺めていると、ふと思い出す。
「俺がアメリカに行くって伝えた時、アンタそんな感じだったな」
「へ?」
「なんつーの?私今真剣だから黙ってて!みたいな顔」
「そうだっけ」
「おー。何考えてんの?そういう時」
「野暮だなあ」
「アンタは聞かなくても分かるからいーよなあ」
「私だって分かんないよ」
彼女は椅子の上で体育座りをすると、膝に顎を乗せて出来るだけ小さくなる。
「なんでそんなことになっちゃったのか全然分かんないんだけどさ、覆らないことだけはよく分かった。あの時」
「だからか」
「何が」
「なんで門倉立会人が怪我しちゃったのかは全然分かんねーけど、取り返しがつかねーことになったことは分かるんだろ、アンタ」
彼女は俺を睨みつけ、膝にでこをつける。
聞こえてきた「うっさい、ばーか」という言葉が何よりの答え。
「いい加減そのメサイアコンプレックス直せ」
「破滅願望と呼んでほしいね。別に救うことは目的じゃない」
「なら尚更止めとけ。これ以上賭郎に尽くす必要はねえだろ」
「次は弥鱈君かもしれないから」
彼女の顔は見えない。低い声からどんな気持ちを読み取れるというのか。俺は伏龍じゃない。
「別に賭郎なんてどうなろうが知ったこっちゃないよ。知ってるでしょ?こんな組織は嫌い。でも、友達がいるんだもん。みんなのことは好きだから、死んだら嫌だ。どの立会人さんでも嫌だ。それが弥鱈君だった時が一番怖い。弥鱈君がその立会人さんだとしたら、私もうどうしたらいいか分からない。弥鱈君が生きてる内はどこへでも追っていける。アメリカだろうが、賭郎だろうが。でも、死んだらどこへ追いかけていけばいいの?」
彼女は顔を上げない。俺もそれを求めない。目が合った瞬間に逃げてしまう真実もある。
「アンタと組んでんだぜ、死ぬ訳ねーだろ」
間違っても目を合わさぬよう、ゲーム機に目を落とし、言う。それが何でもない、たわいの無い会話であるように振る舞った。
「なら、やっぱり、頑張るよ」
「いーよ。俺がやるし」
「組んでるんじゃなかったの?」
「ばーか」
「弥鱈くんのがばーか」
彼女は小さな笑い声を立てた。
「いいや、一つ終わらせる。そしたら二人でご飯食べよう」
そういうと、例のキッズスマホを胸ポケットから取り出した。
門倉立会人の一件を境に、伏龍は事務室に籠って賭郎とその周辺人物を手当たり次第に調べるようになった。門倉立会人の負傷は自分のせいだと思い込んでいるせいだ。
コイツは本当に頭が悪いから不憫だ。しかも強情だから救いようが無い。
「なあ」
「何」
「俺たちが天真を調べよーが調べなかろーが」
「門倉立会人は救えなかったと思うぜ、でしょ?もうそれ聞いた」
「じゃあ」
「やめない」
ぴしゃりと打ち付けられた言葉に閉口する。彼女はパソコンをじっと睨みつけている。その横顔をぼんやりと眺めていると、ふと思い出す。
「俺がアメリカに行くって伝えた時、アンタそんな感じだったな」
「へ?」
「なんつーの?私今真剣だから黙ってて!みたいな顔」
「そうだっけ」
「おー。何考えてんの?そういう時」
「野暮だなあ」
「アンタは聞かなくても分かるからいーよなあ」
「私だって分かんないよ」
彼女は椅子の上で体育座りをすると、膝に顎を乗せて出来るだけ小さくなる。
「なんでそんなことになっちゃったのか全然分かんないんだけどさ、覆らないことだけはよく分かった。あの時」
「だからか」
「何が」
「なんで門倉立会人が怪我しちゃったのかは全然分かんねーけど、取り返しがつかねーことになったことは分かるんだろ、アンタ」
彼女は俺を睨みつけ、膝にでこをつける。
聞こえてきた「うっさい、ばーか」という言葉が何よりの答え。
「いい加減そのメサイアコンプレックス直せ」
「破滅願望と呼んでほしいね。別に救うことは目的じゃない」
「なら尚更止めとけ。これ以上賭郎に尽くす必要はねえだろ」
「次は弥鱈君かもしれないから」
彼女の顔は見えない。低い声からどんな気持ちを読み取れるというのか。俺は伏龍じゃない。
「別に賭郎なんてどうなろうが知ったこっちゃないよ。知ってるでしょ?こんな組織は嫌い。でも、友達がいるんだもん。みんなのことは好きだから、死んだら嫌だ。どの立会人さんでも嫌だ。それが弥鱈君だった時が一番怖い。弥鱈君がその立会人さんだとしたら、私もうどうしたらいいか分からない。弥鱈君が生きてる内はどこへでも追っていける。アメリカだろうが、賭郎だろうが。でも、死んだらどこへ追いかけていけばいいの?」
彼女は顔を上げない。俺もそれを求めない。目が合った瞬間に逃げてしまう真実もある。
「アンタと組んでんだぜ、死ぬ訳ねーだろ」
間違っても目を合わさぬよう、ゲーム機に目を落とし、言う。それが何でもない、たわいの無い会話であるように振る舞った。
「なら、やっぱり、頑張るよ」
「いーよ。俺がやるし」
「組んでるんじゃなかったの?」
「ばーか」
「弥鱈くんのがばーか」
彼女は小さな笑い声を立てた。
「いいや、一つ終わらせる。そしたら二人でご飯食べよう」
そういうと、例のキッズスマホを胸ポケットから取り出した。