香り立て花蘇芳
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「門倉さん!」と可愛らしい女が病室に飛び込んで来るので、俺は多少驚いた。へえ、コイツの知り合いにこんな女らしい女がいたんだねえ、と、そんなところ。
女は恥も外聞もなく門倉の胸に飛び込んで、「ああ良かった生きてた!ホントに良かった!」と大はしゃぎだ。対する門倉はひたすらに目を白黒させている。
「うお、チビお前、どうやって来たんじゃ」
「出張の帰りです!お屋形様に無理言って寄って貰いました!…あれ?いない。置いて来ちゃった?」
「はあ?!おまっ…お屋形様をか!」
「えー待ってエレベーターまではいた記憶が」
「エレベーターに置き去りにしたんか!最悪じゃお前、粛清されてまえ!」
「ど、どうしよう!」
「死ね!」
「酷い!」
この女は。病人と一緒にキャンキャン騒ぐんじゃないよ。窘めようかと思ったところでものすっごい不機嫌そうな青年と、阿修羅の如き形相のジイさんが入室してくる。
真っ青になって口をパクパクさせる女を睨みつけて、青年が言う。
「いい度胸だね、晴乃君」
「ちょっと待って、話し合いましょう。話し合いましょうお屋形様」
「そうだね、話し合おうか。君が立会人贔屓なのは知っていたけど、まさかここまでとは思ってなかったよ。真に敬うべきは誰か理解しないとね」
やっちゃって、夜行。青年のその言葉に迅速に応えたジイさんが女にアイアンクローをかまし、門倉から引き剥がす。「やだー!」という色気の無い悲鳴。
「門倉さん!待ってますからね!リハビリ終わらせて早めに戻ってきて下さいねー!」
彼女はそう叫びながら、ずりずりと室外へと運ばれていった。
どういうノリなの、一体。
「ええと?」
再び二人きりに戻った病室。俺がそう声を上げると、門倉はそっと眉間に人差し指を添え、話し出す。
「今来た若い方の男がお屋形様。切間創一ゆうて、ウチのボスじゃ。後ろにおった白髪が夜行丈一。凄腕の掃除人で、お屋形様の側近の一人じゃよ。んでのう、あの賑やかなんは伏龍晴乃。説明し辛いんじゃが…事務じゃ」
「…事務。へえ。所謂アットホームな職場なのかね」
「いやチビ…やのうて、伏龍が一人でアットホームなだけじゃ。他の奴が同じ事しようとしたらもれなく粛清じゃ」
「…へえ。あの女だけ」
肩を竦める門倉に、同じく肩を竦めて返した。
女は恥も外聞もなく門倉の胸に飛び込んで、「ああ良かった生きてた!ホントに良かった!」と大はしゃぎだ。対する門倉はひたすらに目を白黒させている。
「うお、チビお前、どうやって来たんじゃ」
「出張の帰りです!お屋形様に無理言って寄って貰いました!…あれ?いない。置いて来ちゃった?」
「はあ?!おまっ…お屋形様をか!」
「えー待ってエレベーターまではいた記憶が」
「エレベーターに置き去りにしたんか!最悪じゃお前、粛清されてまえ!」
「ど、どうしよう!」
「死ね!」
「酷い!」
この女は。病人と一緒にキャンキャン騒ぐんじゃないよ。窘めようかと思ったところでものすっごい不機嫌そうな青年と、阿修羅の如き形相のジイさんが入室してくる。
真っ青になって口をパクパクさせる女を睨みつけて、青年が言う。
「いい度胸だね、晴乃君」
「ちょっと待って、話し合いましょう。話し合いましょうお屋形様」
「そうだね、話し合おうか。君が立会人贔屓なのは知っていたけど、まさかここまでとは思ってなかったよ。真に敬うべきは誰か理解しないとね」
やっちゃって、夜行。青年のその言葉に迅速に応えたジイさんが女にアイアンクローをかまし、門倉から引き剥がす。「やだー!」という色気の無い悲鳴。
「門倉さん!待ってますからね!リハビリ終わらせて早めに戻ってきて下さいねー!」
彼女はそう叫びながら、ずりずりと室外へと運ばれていった。
どういうノリなの、一体。
「ええと?」
再び二人きりに戻った病室。俺がそう声を上げると、門倉はそっと眉間に人差し指を添え、話し出す。
「今来た若い方の男がお屋形様。切間創一ゆうて、ウチのボスじゃ。後ろにおった白髪が夜行丈一。凄腕の掃除人で、お屋形様の側近の一人じゃよ。んでのう、あの賑やかなんは伏龍晴乃。説明し辛いんじゃが…事務じゃ」
「…事務。へえ。所謂アットホームな職場なのかね」
「いやチビ…やのうて、伏龍が一人でアットホームなだけじゃ。他の奴が同じ事しようとしたらもれなく粛清じゃ」
「…へえ。あの女だけ」
肩を竦める門倉に、同じく肩を竦めて返した。