意外や意外の千日紅
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夕方、事務室に寄ると恐竜がデスクでへばっていた。なんと声を掛けたらいいかと思案していると、滝さんが「そっとしといてやれ目蒲、散々だったんだ」と苦笑いながら先手を打ってきた。その声で彼女がむくりと顔を上げる。
「散々だったのか」
「目蒲さん…疲れました」
室内を見渡せば、確かにハイセンスすぎる物品が数多く転がっている。あのクマのチェアは誰だ、と思ったら、晴乃が「それ、夕湖ですよ。ちなみに滑り台はお屋形様と棟揶さんの合作。門倉さんがそこの缶ぽっくりとハシゴ、マジックハンドは銅寺さんで、そのキッズ用お箸セットはなんと間紙さんです」と疲れ切った顔で説明をくれた。なんとなく、その全員に散々遊ばれたんだろうな、と想像がついた。
「じゃあ、その着ぐるみは」
「弥鱈君です。ふざけてますよね」
彼女は立ち上がると、フードを脱いでこちらに寄ってくる。
「目蒲さんはどうしたんですか?」
「仕事に切りがついたから、お前の様子でも見に来ようとな」
「それはどうもです」
「何か貢ぎ物が必要だった様だが、気が利かず申し訳ない」
「これであなたまで持ってきたら泣きますよ、私」
けらけらと笑う彼女にいつもの覇気は無い。疲れたんだろう、仕方がない。
「何か食べたいものはあるか?」
そう問い掛ければ、彼女は少し目を丸くして、すぐにはにかんだ笑みを浮かべた。
ーーーーーーーーーー
自分の取るべき栄養を考えるのと同じくらい当然に、彼女が好む味付けを考えながら料理をする。そんな自分が笑える。
意外と自分には、できることが多いらしい。
勿論、やろうとして出来ないことは一つもない。でも、自然に出来ない事は沢山ある、と思う。例えば疲れ切った相手を気遣う言葉が出たり、自分より相手の好みの味付けを優先したり。自分の中でそういったことは自然にやることではなくて、好かれたくて、点数を稼ぎたくてやるものだという考えがあった。
それが自然と出来てしまうようになるんだから、人間は不思議だ。
恐らく、今回の贈り物たちも同じ。皆はそれぞれに彼女を心配し、必要なものは何かを考え買ってきたのだろう。照れや不慣れが邪魔をするだけで、全ては彼女への愛の現れ。
そんなこと、彼女が一番分かっている。
クマのチェアに座り、両手に子ども用のフォークとスプーンを持った小さな恐竜に「出来たぞ」と声をかければ、満点の笑顔が返ってきた。
「散々だったのか」
「目蒲さん…疲れました」
室内を見渡せば、確かにハイセンスすぎる物品が数多く転がっている。あのクマのチェアは誰だ、と思ったら、晴乃が「それ、夕湖ですよ。ちなみに滑り台はお屋形様と棟揶さんの合作。門倉さんがそこの缶ぽっくりとハシゴ、マジックハンドは銅寺さんで、そのキッズ用お箸セットはなんと間紙さんです」と疲れ切った顔で説明をくれた。なんとなく、その全員に散々遊ばれたんだろうな、と想像がついた。
「じゃあ、その着ぐるみは」
「弥鱈君です。ふざけてますよね」
彼女は立ち上がると、フードを脱いでこちらに寄ってくる。
「目蒲さんはどうしたんですか?」
「仕事に切りがついたから、お前の様子でも見に来ようとな」
「それはどうもです」
「何か貢ぎ物が必要だった様だが、気が利かず申し訳ない」
「これであなたまで持ってきたら泣きますよ、私」
けらけらと笑う彼女にいつもの覇気は無い。疲れたんだろう、仕方がない。
「何か食べたいものはあるか?」
そう問い掛ければ、彼女は少し目を丸くして、すぐにはにかんだ笑みを浮かべた。
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自分の取るべき栄養を考えるのと同じくらい当然に、彼女が好む味付けを考えながら料理をする。そんな自分が笑える。
意外と自分には、できることが多いらしい。
勿論、やろうとして出来ないことは一つもない。でも、自然に出来ない事は沢山ある、と思う。例えば疲れ切った相手を気遣う言葉が出たり、自分より相手の好みの味付けを優先したり。自分の中でそういったことは自然にやることではなくて、好かれたくて、点数を稼ぎたくてやるものだという考えがあった。
それが自然と出来てしまうようになるんだから、人間は不思議だ。
恐らく、今回の贈り物たちも同じ。皆はそれぞれに彼女を心配し、必要なものは何かを考え買ってきたのだろう。照れや不慣れが邪魔をするだけで、全ては彼女への愛の現れ。
そんなこと、彼女が一番分かっている。
クマのチェアに座り、両手に子ども用のフォークとスプーンを持った小さな恐竜に「出来たぞ」と声をかければ、満点の笑顔が返ってきた。