意外や意外の千日紅
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チビー!と低い声が聞こえてきたのは、それから程なくしての事。これは、と思えば案の定の大男が事務室に駆け込んできた。
「おうチビ助!おどれ大丈夫なんか?!」
「うわ門倉さん、びっくりしたあ」
なんでここに、と伏龍が驚きの覚めやらぬまま問う。門倉もまた焦りを落ち着けることもせず、「弥鱈が伏龍会に写真投稿しよっての。なんや思うて見たらチビ助がチビ助になっとるやんけ。慌てて様子見に来たんじゃ」と答えた。伏龍がんん?!と声を上げる。
「すみません、伏龍会って何なんですか」
「なんや知らんのか」
「知る訳ないじゃないですか。むしろ知ってたら止めてますよそんな会」
「そういってくれんなや。伏龍家の夕飯に御相伴預かる会、縮めて伏龍会じゃ」
「ふざけるのも大概にして下さいよもう…。発起人誰ですか。指導入れます」
「やめたれやめたれ。亜面じゃよ」
「なんですと?!」
「バラバラ押しかけんのも如何なもんか言うて作っとったで」
「やだ亜面さん、なんていい人…」
伏龍は口に手を当てて大袈裟に感動したポーズを作る。果たして毎日人の家に夕飯を食べにくる輩をいい人と言うのかは甚だ疑問だが、黙っておく。
「しっかしチビ助、見事に縮んだのう」
門倉が近寄れば、伏龍は「そうなんですよー」と空笑いだ。
しかし、2m近い門倉とその半分しかない伏龍が並ぶと差がすげえなあ。もう、見上げる伏龍の首が垂直まで曲がってんじゃねえか。コケるぞありゃ。とかなんとか思ってたら、本当にコケた。「マジかチビ助おどれ、遂に尻餅つきよったか!」と門倉が爆笑する。伏龍がきーきー怒り出すが、門倉には何処吹く風。更に近寄ると、両脇に手を差し込み、高く掲げた。
俗に言う、高い高いである。
「あっはっは、かわええのう!」
呵々大笑の門倉と対照的に、伏龍はうぎゃー怖い怖い怖い!と大騒ぎだ。まあ、あの視点から一気に天井近くまで持ち上げられちゃあ敵わんわな。
「や、やめてくだしゃいきゃどきゅらしゃん!」
パキ、と音を立てて空気が凍る。そして門倉が無言で伏龍を地に下ろし、尻ポケットをゴソゴソやりだした。
後ろ手に携帯が見えた瞬間、伏龍は脱兎のごとく走り出す。
「そうはいかんぞチビ!」
門倉はそんな彼女の首根っこを掴み、再び自分の前に引き戻した。
「イヤです私、そんな辱めを受ける謂れはありません!」
「いやいや、辱めやない、ちょっとした癒しじゃ。殺伐とした仕事で心が荒んだら見るわ」
「あんた事務のムービー見て癒されるのっておかしいなって!自分で思わないんですか?!」
「いやー思わん思わん。ちっちゃい子とかペットの面白動画の一つや二つみんな保存しとる。問題ないわ」
「大アリですってもう!だから私はいい大人なんですって!」
「ビジュアルがそれなら問題ないわ。ホラ、拾陸號立会人、門倉雄大」
「言いませんよ?!」
ムービーを起動したらしい門倉がしゃがんで携帯を伏龍に向けるが、伏龍は渋面を作ってそれを睨みつける。
「ホラチビ助、ホラ」
門倉がニコニコ笑いながら彼女の脇腹をつつく。意外と子供好きなんだなぁ、と身をよじる幼女を眺めながら思った。
「ちょ、ふふ、やめて、やめてかどきゅ、門倉さん」
「ホラ、言うたら楽になるけえ、言ってまえ」
「やだ、やだ、やです、うふふ」
「強情なやっちゃな、ホラ、拾陸號立会人、門倉雄大」
「いわ、いわなっ、ふふ、もう!じゅーろきゅごーちゃちあいにん、きゃどきゅらゆーらい!」
よし、と門倉は満足そうに立ち上がると、携帯をしまう。散々くすぐられた伏龍が肩で息をするのを見ながら「その身長じゃ不便そうじゃの」と今更ながら彼女を慮る言葉を口にする。
「不便だし、皆しゃん未だ嘗てない絡み方をしてくるし、しゃんじゃんです!」
「ほうか、よし、ちょっと待っとれ」
いいでしゅなにもしなくて!と意地を張る伏龍になにも答えず、門倉は去っていった。
憮然としながらも自分のデスクに戻る彼女に、「お疲れさん」とだけ声をかけておいた。
「おうチビ助!おどれ大丈夫なんか?!」
「うわ門倉さん、びっくりしたあ」
なんでここに、と伏龍が驚きの覚めやらぬまま問う。門倉もまた焦りを落ち着けることもせず、「弥鱈が伏龍会に写真投稿しよっての。なんや思うて見たらチビ助がチビ助になっとるやんけ。慌てて様子見に来たんじゃ」と答えた。伏龍がんん?!と声を上げる。
「すみません、伏龍会って何なんですか」
「なんや知らんのか」
「知る訳ないじゃないですか。むしろ知ってたら止めてますよそんな会」
「そういってくれんなや。伏龍家の夕飯に御相伴預かる会、縮めて伏龍会じゃ」
「ふざけるのも大概にして下さいよもう…。発起人誰ですか。指導入れます」
「やめたれやめたれ。亜面じゃよ」
「なんですと?!」
「バラバラ押しかけんのも如何なもんか言うて作っとったで」
「やだ亜面さん、なんていい人…」
伏龍は口に手を当てて大袈裟に感動したポーズを作る。果たして毎日人の家に夕飯を食べにくる輩をいい人と言うのかは甚だ疑問だが、黙っておく。
「しっかしチビ助、見事に縮んだのう」
門倉が近寄れば、伏龍は「そうなんですよー」と空笑いだ。
しかし、2m近い門倉とその半分しかない伏龍が並ぶと差がすげえなあ。もう、見上げる伏龍の首が垂直まで曲がってんじゃねえか。コケるぞありゃ。とかなんとか思ってたら、本当にコケた。「マジかチビ助おどれ、遂に尻餅つきよったか!」と門倉が爆笑する。伏龍がきーきー怒り出すが、門倉には何処吹く風。更に近寄ると、両脇に手を差し込み、高く掲げた。
俗に言う、高い高いである。
「あっはっは、かわええのう!」
呵々大笑の門倉と対照的に、伏龍はうぎゃー怖い怖い怖い!と大騒ぎだ。まあ、あの視点から一気に天井近くまで持ち上げられちゃあ敵わんわな。
「や、やめてくだしゃいきゃどきゅらしゃん!」
パキ、と音を立てて空気が凍る。そして門倉が無言で伏龍を地に下ろし、尻ポケットをゴソゴソやりだした。
後ろ手に携帯が見えた瞬間、伏龍は脱兎のごとく走り出す。
「そうはいかんぞチビ!」
門倉はそんな彼女の首根っこを掴み、再び自分の前に引き戻した。
「イヤです私、そんな辱めを受ける謂れはありません!」
「いやいや、辱めやない、ちょっとした癒しじゃ。殺伐とした仕事で心が荒んだら見るわ」
「あんた事務のムービー見て癒されるのっておかしいなって!自分で思わないんですか?!」
「いやー思わん思わん。ちっちゃい子とかペットの面白動画の一つや二つみんな保存しとる。問題ないわ」
「大アリですってもう!だから私はいい大人なんですって!」
「ビジュアルがそれなら問題ないわ。ホラ、拾陸號立会人、門倉雄大」
「言いませんよ?!」
ムービーを起動したらしい門倉がしゃがんで携帯を伏龍に向けるが、伏龍は渋面を作ってそれを睨みつける。
「ホラチビ助、ホラ」
門倉がニコニコ笑いながら彼女の脇腹をつつく。意外と子供好きなんだなぁ、と身をよじる幼女を眺めながら思った。
「ちょ、ふふ、やめて、やめてかどきゅ、門倉さん」
「ホラ、言うたら楽になるけえ、言ってまえ」
「やだ、やだ、やです、うふふ」
「強情なやっちゃな、ホラ、拾陸號立会人、門倉雄大」
「いわ、いわなっ、ふふ、もう!じゅーろきゅごーちゃちあいにん、きゃどきゅらゆーらい!」
よし、と門倉は満足そうに立ち上がると、携帯をしまう。散々くすぐられた伏龍が肩で息をするのを見ながら「その身長じゃ不便そうじゃの」と今更ながら彼女を慮る言葉を口にする。
「不便だし、皆しゃん未だ嘗てない絡み方をしてくるし、しゃんじゃんです!」
「ほうか、よし、ちょっと待っとれ」
いいでしゅなにもしなくて!と意地を張る伏龍になにも答えず、門倉は去っていった。
憮然としながらも自分のデスクに戻る彼女に、「お疲れさん」とだけ声をかけておいた。