意外や意外の千日紅
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それから本人曰く一番ずり落ちなかったワンピースを身に纏った彼女は、舌ったらずが目立たないように細心の注意を払いつつ、動きが最小限で済むように必要そうなファイルを片っ端から抱え込み、えっちらおっちら仕事をしているという訳だ。頭が下がる。
その結果があれだから、目蒲には申し訳ない話だが。
「要するに、目蒲立会人は明らかに伏龍さんが小さくなっていたのには気づいていたけど、それを受け入れられずに動揺したまま帰ってきた訳ですね」
「自分の目がおかしいとでも思ったんでしょうね」
山口は「じゃ、謎が解けたので俺は戻ります」と爽やかに事務室を出て行った。
「目蒲立会人でも部下にバレるくらい動揺することがあるんですね」
権田が二人のやり取りを受けて呟く。確かに、意外だ。その思いをきっかけに不謹慎ながらこの異常事態に立会人達はどんなリアクションをするんだろうかと気になり始める。次に来るのは弥鱈と銅寺。二人は指摘するのか、スルーするのか。
ーーーーーーーーーー
「え、誰この子」
入ってくるなり、銅寺が真顔になる。愉快に思えて、「誰だと思う」と聞いてみれば、ええ、と彼は戸惑いの声を上げる。
「ええ…先生のご親戚ですか…?」
「軟禁中に親戚連れ込んでどうするんですかー」
話し方に心当たりがありまくりだった銅寺はいよいよフリーズする。そんな銅寺に「何ドア口でつっ立ってるんですか、銅寺立会人」と声を掛けながら、弥鱈が入ってきて、直後、大爆笑を始めた。
「伏龍!伏龍良かったなアンタ、遂に精神年齢と見た目が釣り合ったな!」
「ちょ、何全力で馬鹿にしてんの信じらんない!親友を心配する言葉はない訳?!」
「いや何言ってんだ伏龍、むしろ今までの状態が心配だったんだ。釣り合って良かったな」
「あんった…!もう銅寺さん、何とか言ってやって下さいよ!」
「え、その…OK?ホントに先生って事でOK?」
「あ、まだその段階でしたか。OKですよ銅寺さん」
なんでそんな事に、と至極真っ当な疑問を投げかけてくる銅寺に、伏龍はため息混じりに経緯を話して聞かせた。よっぽど面白いらしく、その間も弥鱈は爆笑を続けた。
全く関係ない話だが、これくらいの事で動揺していたら伏龍の親友は務まらないという事なのかもしれない、と思った。
「はぁ…お屋形様が…」
「ええ。とんでもないお屋形様ですよ全く。並み居るお屋形様の中でもひときわとんでもない」
「いや並み居はしないと思うけど…」
「お屋形様と仲いーんだな」
訳の分からない状況から立ち直れない銅寺は、それでもごにょごにょ突っ込んだ。それとは対照的な態度の弥鱈が続けて言う。
「割とね。そのせいでこのザマ」
「アンタ変な奴は大体友達だよなー」
「高校の時から変わらずねえ」
若干お屋形様に聞かれてはまずい事を言った気がするが、概ね同意だ。
まあいいや、と親友コンビは勝手に気を取り直し、銅寺を置き去りに立会いの説明を始めた。慌てて銅寺も話に加わる。派遣先は二人の専属同士のギャンブル。二人は肩を並べて事務室を後にした。
と思いきや、弥鱈が戻ってくると携帯で写真を撮った。
「ええ?!」
「じゃ、頑張れよ伏龍」
今度こそ去っていった弥鱈の背を呆然と見送る伏龍。そのぷにぷにした横顔を見つめながら、大親友弥鱈はこの子供が伏龍だと信じて疑わなかったな、と今更感心した。
その結果があれだから、目蒲には申し訳ない話だが。
「要するに、目蒲立会人は明らかに伏龍さんが小さくなっていたのには気づいていたけど、それを受け入れられずに動揺したまま帰ってきた訳ですね」
「自分の目がおかしいとでも思ったんでしょうね」
山口は「じゃ、謎が解けたので俺は戻ります」と爽やかに事務室を出て行った。
「目蒲立会人でも部下にバレるくらい動揺することがあるんですね」
権田が二人のやり取りを受けて呟く。確かに、意外だ。その思いをきっかけに不謹慎ながらこの異常事態に立会人達はどんなリアクションをするんだろうかと気になり始める。次に来るのは弥鱈と銅寺。二人は指摘するのか、スルーするのか。
ーーーーーーーーーー
「え、誰この子」
入ってくるなり、銅寺が真顔になる。愉快に思えて、「誰だと思う」と聞いてみれば、ええ、と彼は戸惑いの声を上げる。
「ええ…先生のご親戚ですか…?」
「軟禁中に親戚連れ込んでどうするんですかー」
話し方に心当たりがありまくりだった銅寺はいよいよフリーズする。そんな銅寺に「何ドア口でつっ立ってるんですか、銅寺立会人」と声を掛けながら、弥鱈が入ってきて、直後、大爆笑を始めた。
「伏龍!伏龍良かったなアンタ、遂に精神年齢と見た目が釣り合ったな!」
「ちょ、何全力で馬鹿にしてんの信じらんない!親友を心配する言葉はない訳?!」
「いや何言ってんだ伏龍、むしろ今までの状態が心配だったんだ。釣り合って良かったな」
「あんった…!もう銅寺さん、何とか言ってやって下さいよ!」
「え、その…OK?ホントに先生って事でOK?」
「あ、まだその段階でしたか。OKですよ銅寺さん」
なんでそんな事に、と至極真っ当な疑問を投げかけてくる銅寺に、伏龍はため息混じりに経緯を話して聞かせた。よっぽど面白いらしく、その間も弥鱈は爆笑を続けた。
全く関係ない話だが、これくらいの事で動揺していたら伏龍の親友は務まらないという事なのかもしれない、と思った。
「はぁ…お屋形様が…」
「ええ。とんでもないお屋形様ですよ全く。並み居るお屋形様の中でもひときわとんでもない」
「いや並み居はしないと思うけど…」
「お屋形様と仲いーんだな」
訳の分からない状況から立ち直れない銅寺は、それでもごにょごにょ突っ込んだ。それとは対照的な態度の弥鱈が続けて言う。
「割とね。そのせいでこのザマ」
「アンタ変な奴は大体友達だよなー」
「高校の時から変わらずねえ」
若干お屋形様に聞かれてはまずい事を言った気がするが、概ね同意だ。
まあいいや、と親友コンビは勝手に気を取り直し、銅寺を置き去りに立会いの説明を始めた。慌てて銅寺も話に加わる。派遣先は二人の専属同士のギャンブル。二人は肩を並べて事務室を後にした。
と思いきや、弥鱈が戻ってくると携帯で写真を撮った。
「ええ?!」
「じゃ、頑張れよ伏龍」
今度こそ去っていった弥鱈の背を呆然と見送る伏龍。そのぷにぷにした横顔を見つめながら、大親友弥鱈はこの子供が伏龍だと信じて疑わなかったな、と今更感心した。