意外や意外の千日紅
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「やあ晴乃君」
「あ、お疲れ様です」
突然訪れたお屋形様に対し、伏龍は慣れた調子で挨拶を返す。最初こそ来訪の度に恥ずかしながら俺含め事務全員が焦ったものだが、今やお屋形様が公的にも私的にも伏龍の元に訪れるのは日常茶飯事だ。スターウォーズ一気見に誘われたのを見た時に色々悟った。
気楽なのだろう。この女が相手だと。
「どうなさいました?」と首を傾げる伏龍に、「これを飲んでみてほしいんだよね」とお屋形様が小瓶を差し出す。
「え、何ですかそのどピンクの液体」
「懇意にしてる製薬会社が新しく開発したらしくってね。なんでも20歳は若返られるみたいだよ」
「それはまた大きく出ましたねー」
美容液いらずですねと笑いながら、伏龍はその瓶を持ち上げ、中身を眺める。
「でも、ホントになんなんでしょうね、このピンク。グァバかな」
「さぁ?流石に中身は教えてくれなかったよ。飲んでみたら?」
「えー、怖いなぁ」
「大丈夫じゃない?」
「そこは断言してくださいよう」
そう言いつつも、伏龍は瓶の蓋を開け、口元に近付ける。匂いを嗅いで「グァバじゃないなぁ。なんでしょ」と呟きながら一口。うわまず、と呟いたかと思うと、一気に残りを煽った。
「どう?」
「いやとにかく不味いです。効果の程は知りませんが…っ!」
突然言葉に詰まったかと思うと、伏龍は呻き声を上げてしゃがみこむ。机の陰になってしまった彼女の状況を確認しようと立ち上がり、異変に気付く。
「伏龍?!」
「ひゃ、た、たきしゃん!!」
高い、舌ったらずな声。ああなんてこった。
「あた、あたち何がおきてましゅか?!」
「わー、すごい。本当に若返ったね」
伏龍はお屋形様の言葉で状況を察したようだったが、それでも縋るように俺を見上げた。
「その、お屋形様の仰る通りだ」
丸っこい目をかっ開き、ゆっくりと彼女は下を見る。袖の半分のところまでも到達しない自分の腕と、スカートの下から覗く小さな足。それから外れて転がっているパンプス。
「え、20さいってもじどーり?」
「うん。そうみたい」
「ななな、なんてことちてくれるんでしゅか!」
こんなんじゃ仕事できない!と大慌ての彼女に、お屋形様は「いや君は大丈夫。内勤だし」と呑気に言い放つ。
「いや、内勤だからってこんなに小さいと不便でしゅ!」
「なんとかなるよ、君なら」
「なんなんでしゅかその無駄な信頼!とにかく今日はもう年休取ります!」
パソコンの方へ向かう伏龍だが、その背中にお屋形様が「軟禁されてる分際で年休があるわけないでしょ」と声を掛ける。え、なかったのか。伏龍も驚いたようで振り返ってまじまじとお屋形様の顔を見た。
「ないんでしゅか?」
「無いよ。取ったことないでしょ」
「ないけど…」
でも、お給料貰ってますよ?と彼女は問うが、お屋形様はそれはそれ、これはこれ、とすげない。
「まあとにかく、今日はそのまま頑張って」
「よーするにそれ、'私を楽しませろ'って事でしゅね?」
「うん。晴乃君の話の早いとこ、好きだよ」
「こんちくしょう!」
いいわよやってやるわよ!と啖呵を切ると、彼女は立ち上がる。スカートの裾に足を取られながらも「着替えてきます」とよちよち事務室を出て行った。
「本当に晴乃君ってへこたれないよねえ」
ああいう所大好き、とホクホク顔のお屋形様に、あんまいじめないでやって下さい、と言ってみた。効果は多分ない。
「あ、お疲れ様です」
突然訪れたお屋形様に対し、伏龍は慣れた調子で挨拶を返す。最初こそ来訪の度に恥ずかしながら俺含め事務全員が焦ったものだが、今やお屋形様が公的にも私的にも伏龍の元に訪れるのは日常茶飯事だ。スターウォーズ一気見に誘われたのを見た時に色々悟った。
気楽なのだろう。この女が相手だと。
「どうなさいました?」と首を傾げる伏龍に、「これを飲んでみてほしいんだよね」とお屋形様が小瓶を差し出す。
「え、何ですかそのどピンクの液体」
「懇意にしてる製薬会社が新しく開発したらしくってね。なんでも20歳は若返られるみたいだよ」
「それはまた大きく出ましたねー」
美容液いらずですねと笑いながら、伏龍はその瓶を持ち上げ、中身を眺める。
「でも、ホントになんなんでしょうね、このピンク。グァバかな」
「さぁ?流石に中身は教えてくれなかったよ。飲んでみたら?」
「えー、怖いなぁ」
「大丈夫じゃない?」
「そこは断言してくださいよう」
そう言いつつも、伏龍は瓶の蓋を開け、口元に近付ける。匂いを嗅いで「グァバじゃないなぁ。なんでしょ」と呟きながら一口。うわまず、と呟いたかと思うと、一気に残りを煽った。
「どう?」
「いやとにかく不味いです。効果の程は知りませんが…っ!」
突然言葉に詰まったかと思うと、伏龍は呻き声を上げてしゃがみこむ。机の陰になってしまった彼女の状況を確認しようと立ち上がり、異変に気付く。
「伏龍?!」
「ひゃ、た、たきしゃん!!」
高い、舌ったらずな声。ああなんてこった。
「あた、あたち何がおきてましゅか?!」
「わー、すごい。本当に若返ったね」
伏龍はお屋形様の言葉で状況を察したようだったが、それでも縋るように俺を見上げた。
「その、お屋形様の仰る通りだ」
丸っこい目をかっ開き、ゆっくりと彼女は下を見る。袖の半分のところまでも到達しない自分の腕と、スカートの下から覗く小さな足。それから外れて転がっているパンプス。
「え、20さいってもじどーり?」
「うん。そうみたい」
「ななな、なんてことちてくれるんでしゅか!」
こんなんじゃ仕事できない!と大慌ての彼女に、お屋形様は「いや君は大丈夫。内勤だし」と呑気に言い放つ。
「いや、内勤だからってこんなに小さいと不便でしゅ!」
「なんとかなるよ、君なら」
「なんなんでしゅかその無駄な信頼!とにかく今日はもう年休取ります!」
パソコンの方へ向かう伏龍だが、その背中にお屋形様が「軟禁されてる分際で年休があるわけないでしょ」と声を掛ける。え、なかったのか。伏龍も驚いたようで振り返ってまじまじとお屋形様の顔を見た。
「ないんでしゅか?」
「無いよ。取ったことないでしょ」
「ないけど…」
でも、お給料貰ってますよ?と彼女は問うが、お屋形様はそれはそれ、これはこれ、とすげない。
「まあとにかく、今日はそのまま頑張って」
「よーするにそれ、'私を楽しませろ'って事でしゅね?」
「うん。晴乃君の話の早いとこ、好きだよ」
「こんちくしょう!」
いいわよやってやるわよ!と啖呵を切ると、彼女は立ち上がる。スカートの裾に足を取られながらも「着替えてきます」とよちよち事務室を出て行った。
「本当に晴乃君ってへこたれないよねえ」
ああいう所大好き、とホクホク顔のお屋形様に、あんまいじめないでやって下さい、と言ってみた。効果は多分ない。