過ぎ去るはエーデルワイス
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「ごもっともです。俺の見通しが甘かったんです。伏龍は俺に振り回されただけ。何も悪くありません。ところでー」
弥鱈様は顔を上げる。その目に宿っていた弱気が無くなっていることに気付き、私は驚きを隠せない。
劣勢だったじゃないか、君は。
自分で自分を追い詰めていたじゃないか、君は。
彼女とあれ程険悪になっていたじゃないか、君は。
そして、私は更に気付く。
あれ程耳障りだった呼吸音は、どこへ消えた?
「優越感でしたか?近藤さんの父親を殴るのは」
部屋を支配する空気の変化に薄らと気付きつつも、今更態度は変えられない。猫様は足を組み替え、「いやいや、何の感情もないね。ただ、娘さんとお付き合いさせて頂いておりますと名刺を渡したら、あろうことか昌美君を殴ってきたもので。こっちはただ正当防衛を行なっただけのこと」と宣った。それを受けて口を開いたのは、喋られる筈のない人物。
「お父さんが貰ったっていう名刺を見たよ。握った跡がくっきり残ってた。普通短時間であんな風にはならないよ。お父さんはさ、信じてたんだろうね。近藤さんがそれでも幸せだって。ホントは信じちゃダメな局面だったとは思うけどさ、でも、それだけ信じてやってたんだ。それをあんたは裏切ったんだよ。ねえ、近藤さんさ」
晴乃嬢は昌美嬢の横顔を見つめ、息苦しそうに話しかける。「喋れたのか、君は」と、ゼエゼエ喘ぐだけの昌美嬢に代わって問うてしまう。
「当たり前ですよう。弥鱈君、あんなに全速力でやってくれてましたもん」
へらりと笑う晴乃嬢の言葉には何も返さず、弥鱈様はさらっと目の前に7つの6を揃えて示す。そして、「果たしましたよ、王への請願。さあ、最終バトルといきましょう」と興味なさげに言った。
弥鱈様は顔を上げる。その目に宿っていた弱気が無くなっていることに気付き、私は驚きを隠せない。
劣勢だったじゃないか、君は。
自分で自分を追い詰めていたじゃないか、君は。
彼女とあれ程険悪になっていたじゃないか、君は。
そして、私は更に気付く。
あれ程耳障りだった呼吸音は、どこへ消えた?
「優越感でしたか?近藤さんの父親を殴るのは」
部屋を支配する空気の変化に薄らと気付きつつも、今更態度は変えられない。猫様は足を組み替え、「いやいや、何の感情もないね。ただ、娘さんとお付き合いさせて頂いておりますと名刺を渡したら、あろうことか昌美君を殴ってきたもので。こっちはただ正当防衛を行なっただけのこと」と宣った。それを受けて口を開いたのは、喋られる筈のない人物。
「お父さんが貰ったっていう名刺を見たよ。握った跡がくっきり残ってた。普通短時間であんな風にはならないよ。お父さんはさ、信じてたんだろうね。近藤さんがそれでも幸せだって。ホントは信じちゃダメな局面だったとは思うけどさ、でも、それだけ信じてやってたんだ。それをあんたは裏切ったんだよ。ねえ、近藤さんさ」
晴乃嬢は昌美嬢の横顔を見つめ、息苦しそうに話しかける。「喋れたのか、君は」と、ゼエゼエ喘ぐだけの昌美嬢に代わって問うてしまう。
「当たり前ですよう。弥鱈君、あんなに全速力でやってくれてましたもん」
へらりと笑う晴乃嬢の言葉には何も返さず、弥鱈様はさらっと目の前に7つの6を揃えて示す。そして、「果たしましたよ、王への請願。さあ、最終バトルといきましょう」と興味なさげに言った。