過ぎ去るはエーデルワイス
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私だって幸せになりたかった!アンタなんかに許されなくったっていい!
弥鱈と猫は順調に手札を増やしていった。元々相手のダイスに干渉することは出来ないこのゲーム、晴乃と昌美が攻撃を仕掛けない限りハイカードになることはあり得ない。考えれば考えるほどいい手を思い付ける。
そういう意味じゃ、猫が有利だね。
アタシは囚われの乙女たちの表情を眺めながら思う。比較的余裕があるのは晴乃の方。というのはつまり、弥鱈の方がパートナーを気遣っているということ。熟考を重ねる猫と短時間で最適解を見つけようとする弥鱈。元々賢い男ではあるのだろうが、こりゃ良くない。経験上ね、どんな勝負師も自分の命が掛かってる時は意外と冷静でいられるもんだが、大切にしてる他人の命ってのはダメだね。不思議なもんで、何かを狂わせる。焦りをもたらす。だからアタシは頭を継いだその日から、大切な他人ってもんを持たないようにしてる。だから、こうやって寄り添いあって助け合ってる奴らってもんが時々眩しくなって、手を貸しちまうのさ。幻影を追っちまう。もしもアタシが人並みに人を想い続けてたらどうなっていたんだろう。そこに救いはあったのか、それとも待ち受けていたのは袋小路か。安心したいけど、夢も見たいのさ。選んだ道を振り返って不安がってみるなんで、アタシも女さね。自虐的な笑いは、キセルから立ち上る紫煙と消えた。
流れが変わったのは、3巡目だった。黒服が弥鱈に近づき、出目を操作する。弥鱈の表情が曇り、ゆっくりと昌美に目を向ける。それに続いて晴乃も彼女に流し目を送る。驚きと怒りの入り混じったその目は、冷ややかなその目は、偏に昌美の裏切りを訴えていた。昌美の唇が戦慄く。
「やっぱ、無理」
昌美は涙を流す。怯え切り、震える声。
「ごめん伏龍さん、私やっぱ言えない。こんなこと」
「いいよ別に。好きな方の味方につきなよ」
棘のある言い方じゃないか、と思って見れば、やはり晴乃の目は冷ややかなままだった。
「言ったじゃん、許さないって。ここから何個積み上がろうが、何個減らそうが、許さないんだってば」
弥鱈が舌打ちを1つ。4つのダイスの示す選択肢は、道化師か職人。弥鱈は迷い無く道化師を取った。「あ、それより…」という晴乃の小さな声に、弥鱈は一瞬動きを止め、先程よりも大きな舌打ちを決めた。
こりゃ傑作だね。職人が取れることに気付かなかったっていうのかい。
昌美の攻撃は大成功だったって訳だ。アタシは罪悪感に俯く昌美を、ニヤニヤと状況の好転に笑みを浮かべる猫を眺めながら思う。互いの出目に干渉できないこのゲーム、いかに冷静にゲームをこなせるかがモノを言う。昌美の裏切りは、見事弥鱈の動揺を誘った。本人はまさかここまでの効果があるとは思っていなかったようだがね。オトコってのは何故かアタシらよか不測の事態に弱い。ここから弥鱈は崩れるだろう。二人で仲睦まじく切り開いてきた道も、ここで袋小路さ。
弥鱈と猫は順調に手札を増やしていった。元々相手のダイスに干渉することは出来ないこのゲーム、晴乃と昌美が攻撃を仕掛けない限りハイカードになることはあり得ない。考えれば考えるほどいい手を思い付ける。
そういう意味じゃ、猫が有利だね。
アタシは囚われの乙女たちの表情を眺めながら思う。比較的余裕があるのは晴乃の方。というのはつまり、弥鱈の方がパートナーを気遣っているということ。熟考を重ねる猫と短時間で最適解を見つけようとする弥鱈。元々賢い男ではあるのだろうが、こりゃ良くない。経験上ね、どんな勝負師も自分の命が掛かってる時は意外と冷静でいられるもんだが、大切にしてる他人の命ってのはダメだね。不思議なもんで、何かを狂わせる。焦りをもたらす。だからアタシは頭を継いだその日から、大切な他人ってもんを持たないようにしてる。だから、こうやって寄り添いあって助け合ってる奴らってもんが時々眩しくなって、手を貸しちまうのさ。幻影を追っちまう。もしもアタシが人並みに人を想い続けてたらどうなっていたんだろう。そこに救いはあったのか、それとも待ち受けていたのは袋小路か。安心したいけど、夢も見たいのさ。選んだ道を振り返って不安がってみるなんで、アタシも女さね。自虐的な笑いは、キセルから立ち上る紫煙と消えた。
流れが変わったのは、3巡目だった。黒服が弥鱈に近づき、出目を操作する。弥鱈の表情が曇り、ゆっくりと昌美に目を向ける。それに続いて晴乃も彼女に流し目を送る。驚きと怒りの入り混じったその目は、冷ややかなその目は、偏に昌美の裏切りを訴えていた。昌美の唇が戦慄く。
「やっぱ、無理」
昌美は涙を流す。怯え切り、震える声。
「ごめん伏龍さん、私やっぱ言えない。こんなこと」
「いいよ別に。好きな方の味方につきなよ」
棘のある言い方じゃないか、と思って見れば、やはり晴乃の目は冷ややかなままだった。
「言ったじゃん、許さないって。ここから何個積み上がろうが、何個減らそうが、許さないんだってば」
弥鱈が舌打ちを1つ。4つのダイスの示す選択肢は、道化師か職人。弥鱈は迷い無く道化師を取った。「あ、それより…」という晴乃の小さな声に、弥鱈は一瞬動きを止め、先程よりも大きな舌打ちを決めた。
こりゃ傑作だね。職人が取れることに気付かなかったっていうのかい。
昌美の攻撃は大成功だったって訳だ。アタシは罪悪感に俯く昌美を、ニヤニヤと状況の好転に笑みを浮かべる猫を眺めながら思う。互いの出目に干渉できないこのゲーム、いかに冷静にゲームをこなせるかがモノを言う。昌美の裏切りは、見事弥鱈の動揺を誘った。本人はまさかここまでの効果があるとは思っていなかったようだがね。オトコってのは何故かアタシらよか不測の事態に弱い。ここから弥鱈は崩れるだろう。二人で仲睦まじく切り開いてきた道も、ここで袋小路さ。