過ぎ去るはエーデルワイス
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ガキじゃあるまいし、諦めろって。な?
残念というか、至当というか。俺は今日も取り立てて運がいい方ではなかったらしく、最初の目は6、3、2。俺はそれを見つめ、偶数で揃える事にする。長考の時間はあまりない。いくら伏龍が死ななさそうといっても、それは印象の話。流石に首を絞め続けたら多分死ぬ。
つか、多分って。絶対と言い切らなかった自分の脳内がしょうもなく思えて、俺は口元を緩める。親友とはいえ、殺して死なないのは、ちょっと、引く。6と2を確定させ、ダイスを1つ振り直す。出目は6。意外な運に驚きかけ、よく考えたら偶数の確率は2分の1、6か2を出す確率は3分の1。どちらも悪くない数字だったと思い直す。どうやらこのゲーム、7つのゾロ目、つまり46656分の1という途方もないワードに惑わされがちだが、一手ずつ確実に確率を上げていけば届かなくはないということ。俺は農夫のカードを手に入れた。ダイスを1つ追加することができるから、これで次からは4つのダイスが振れるようになる。
アイツは死なない。俺がついている。
あのさ、私は執着するよ、弥鱈君に。弥鱈君が何を思おうが、する。だから今から足掻くからね
弥鱈君が農夫を手元に置いた。なんとなく、鋤を構えて偉そうな様子は校長を彷彿とさせてムカついた。その程度で偉そうに、といった感じ。よくも、あんな小心者が弥鱈君と私の仲をバカにしてくれたもんだ。私たちが仲良しなのは学業に関係ないだろう。あ、でも確かに授業中ずっと喋っていて、関係ないとも言い切れない。ごめんなさい。
それはさておき、どうしたもんか。私は悩む。この哲学者というカードは自分で使う分には良さそうなカードだけど、人に、しかも予告なしに使うには難しい。近藤さんの下女のカードが羨ましく思えた。アクティブなダイス1つの出目に1から3までの好きな数字を加える。分かりやすい。サポートも邪魔もしやすそう。なのになんなんだこの、ダイスの1つから好きなだけ数字を引き、その数字を他のダイス1つに足すことができるって。
ええい、相変わらず運が悪い。
私は切間立会人に合図を送って、早速哲学者のカードを使う。とりあえず、弥鱈君に私のカードがなんなのか、気づいてもらうことにした。
弥鱈君は勝つ。私がついている。
アンタら…なんでそう緊張感がないんだい…
いい顔をするじゃあないか。私は二人の横顔を眺め、思う。ルール説明の時のおちゃらけた態度は何処へやら、今の二人の目には美しい青い炎が灯っている。油断も隙もない涼やかな目、負けん気をよく表した引き締まった口許。これほど若くして、表情は、所作は勝負師のそれだ。最初に負けないと豪語していた時は若気の至りかとも思ったが、自信は本物らしい。
二人に困難はない。纏うオーラが告げていた。
黒服が猫のダイスに触れ、出目を操作した。猫の眉間に一瞬だけ皺がよる。おや、と思えば、逆サイドでは弥鱈と晴乃がちらりと目を合わせる。なるほどね、晴乃が使ったのかい、哲学者のカードを。1ターン目ということは、つまり本来何のカードも使われるはずがないということ。黒服が操作した出目を見れば、何のカードが使われたかは明白だった。そして、今の一瞬で弥鱈は誰が使ったか理解したが、猫はどうだかね。常識的に晴乃の一撃と考えるか、それとも近藤の裏切りと考えるか。アタシに人の心は読めないが、早すぎる攻撃に猫がたじろいだのは確か。出目をハイカードにされた彼は、憮然としながら道化師を手札に迎え入れた。
弥鱈が農夫の効果を使い、4つ目のダイスを自分のダイスに加える。ポーカーフェイスのその男の代わりに、晴乃が不敵に微笑んだ。
残念というか、至当というか。俺は今日も取り立てて運がいい方ではなかったらしく、最初の目は6、3、2。俺はそれを見つめ、偶数で揃える事にする。長考の時間はあまりない。いくら伏龍が死ななさそうといっても、それは印象の話。流石に首を絞め続けたら多分死ぬ。
つか、多分って。絶対と言い切らなかった自分の脳内がしょうもなく思えて、俺は口元を緩める。親友とはいえ、殺して死なないのは、ちょっと、引く。6と2を確定させ、ダイスを1つ振り直す。出目は6。意外な運に驚きかけ、よく考えたら偶数の確率は2分の1、6か2を出す確率は3分の1。どちらも悪くない数字だったと思い直す。どうやらこのゲーム、7つのゾロ目、つまり46656分の1という途方もないワードに惑わされがちだが、一手ずつ確実に確率を上げていけば届かなくはないということ。俺は農夫のカードを手に入れた。ダイスを1つ追加することができるから、これで次からは4つのダイスが振れるようになる。
アイツは死なない。俺がついている。
あのさ、私は執着するよ、弥鱈君に。弥鱈君が何を思おうが、する。だから今から足掻くからね
弥鱈君が農夫を手元に置いた。なんとなく、鋤を構えて偉そうな様子は校長を彷彿とさせてムカついた。その程度で偉そうに、といった感じ。よくも、あんな小心者が弥鱈君と私の仲をバカにしてくれたもんだ。私たちが仲良しなのは学業に関係ないだろう。あ、でも確かに授業中ずっと喋っていて、関係ないとも言い切れない。ごめんなさい。
それはさておき、どうしたもんか。私は悩む。この哲学者というカードは自分で使う分には良さそうなカードだけど、人に、しかも予告なしに使うには難しい。近藤さんの下女のカードが羨ましく思えた。アクティブなダイス1つの出目に1から3までの好きな数字を加える。分かりやすい。サポートも邪魔もしやすそう。なのになんなんだこの、ダイスの1つから好きなだけ数字を引き、その数字を他のダイス1つに足すことができるって。
ええい、相変わらず運が悪い。
私は切間立会人に合図を送って、早速哲学者のカードを使う。とりあえず、弥鱈君に私のカードがなんなのか、気づいてもらうことにした。
弥鱈君は勝つ。私がついている。
アンタら…なんでそう緊張感がないんだい…
いい顔をするじゃあないか。私は二人の横顔を眺め、思う。ルール説明の時のおちゃらけた態度は何処へやら、今の二人の目には美しい青い炎が灯っている。油断も隙もない涼やかな目、負けん気をよく表した引き締まった口許。これほど若くして、表情は、所作は勝負師のそれだ。最初に負けないと豪語していた時は若気の至りかとも思ったが、自信は本物らしい。
二人に困難はない。纏うオーラが告げていた。
黒服が猫のダイスに触れ、出目を操作した。猫の眉間に一瞬だけ皺がよる。おや、と思えば、逆サイドでは弥鱈と晴乃がちらりと目を合わせる。なるほどね、晴乃が使ったのかい、哲学者のカードを。1ターン目ということは、つまり本来何のカードも使われるはずがないということ。黒服が操作した出目を見れば、何のカードが使われたかは明白だった。そして、今の一瞬で弥鱈は誰が使ったか理解したが、猫はどうだかね。常識的に晴乃の一撃と考えるか、それとも近藤の裏切りと考えるか。アタシに人の心は読めないが、早すぎる攻撃に猫がたじろいだのは確か。出目をハイカードにされた彼は、憮然としながら道化師を手札に迎え入れた。
弥鱈が農夫の効果を使い、4つ目のダイスを自分のダイスに加える。ポーカーフェイスのその男の代わりに、晴乃が不敵に微笑んだ。