6章 公園の一ノ瀬かるた

みちる「ってことで、ポンとランを飼えることになったよ!」

リディキュール「おめでとうございます!……ところで、その勇気をくれた公園のお姉さんとやら、興味がわきました。みちる君の良い師なんですね。話を聞くとだらしなさそうですが。」

みちる「師……そうかも?そういえば、会ったことないもんね。リディキュールお兄さん、今から会いに行こうよ!」

リディキュール「今からですか?いいですが……」

みちる「さ、善は急げだ!杜山公園に!」



かるた「ポン、ラン……今日でお別れやな。アンタらと過ごした日々……忘れへんで。ちなみに恨み、な。ウチのご飯ぶんどりやがって!」

ポン「ハッハッハ……ワン?」
ラン「ミャオ〜ン。」

あつし「お姉さん、犬や猫と張り合って恥ずかしくないの?」

かるた「童心を忘れずエエやろ?」

けん「……。」

みちる「けん君、あつし君、お姉さん〜!」

けん「みちる!……その隣の人は?」

みちる「リディキュールお兄さん!今回の説得で、僕にアドバイスしてくれたんだ!」

かるた「……ブッ!!リディキュール·チェルカトーレ!?」

リディキュール「"一ノ瀬かるた"……さん!??」

みちる「あれ?二人とも知り合い?」

かるた「前言ったやろ、ウチは別の世界から来たって!ウチとは違う世界出身やけど、コイツも別世界の住人や!」

リディキュール「驚きました……まさか貴方だとは。今思えば"ガサツで図々しい金髪お姉さん"は貴方の特徴そのものでしたね。」 

かるた「あ?やんのかコラ?」

リディキュール「失礼、みちる君がそう説明されていたので。」

かるたお姉さんがこっちを見る。

みちる「違う違う……図々しい金髪お姉さんとしか言ってないよ……」

かるた「それは言っとんのかい!……で、"夏の王"サマは何しにこの世界に来たん?またロクでもないこと考えとんのやろ?」

リディキュール「いいえ……休暇ですよ。少し喧騒に疲れましてね。比較的平和なこの世界でゆったり過ごしたかったのです。」

かるた「チッ……なんやウチと同じかい、シバくぞ腹立つなぁ!」

リディキュール「理不尽。」

けん「みちる……お前なんか変な人達を寄せ付ける何かあるんじゃないか?」

みちる「ほんとにね……リディキュールお兄さんも別の世界の人だったなんて。」

リディキュール「心配せずとも今日中には帰りますよ。休暇もそう長くは取れませんから。」

かるた「なんや?せっかくならウチと1戦やりあおうや。」

リディキュール「相変わらずの戦闘狂ですね。……やめておきましょう。私も、この辺りもタダでは済みません。」

かるた「冗談や。この世界は荒らすつもりはあらへん。それに……」

かるたお姉さんがこちらをチラリと見る。

みちる「……?」

かるた「エエもん見れたからな。今は気分がエエ!」

リディキュール「私もです。立場が違えば貴方とは良い友人になれたかも知れませんね。」

かるた「アホ抜かせ。」

リディキュール「……そろそろ私は失礼します。みちる君、ありがとうございます。ここにいた1週間、とても楽しめました。おっと、1点忘れていました。」

かるた「はよ帰れ〜!」

リディキュール「……。こちらをお受け取りください。」

リディキュールお兄さんから封筒を貰う。

みちる「何これ?」 

リディキュール「お金です。話を聞いたところ、かるたさんに食べ物やお金をあげていたのでしょう?あくまで予想額ではありますが、その分の金額を私が代わって返金しますよ。」

みちる「え……貰えないよこんなお金!」

リディキュール「受け取ってください。私からのお願いです。」

みちる「……わかったよ。」

かるた「やるやん、助かったわ!」

あつし「……(この人はほんとに)」

リディキュール「では、失礼します。」

そう言うと、リディキュールお兄さんの目の前にトランプのダイヤみたいな形のポータルが出てきた。
本当に別の世界から来ていたんだ……

みちる「またね、リディキュールお兄さん。」 

リディキュール「……はい、また。」

ヴン……

かるた「さてと、せっかくやし、ウチもそろそろ行こうかな。」

けん「え!?(嬉しい)」

かるた「……。」

みちる「なんで?もう行っちゃうの?」

かるた「エエ反応やな!そやな、ウチの夢を叶えたくて多次元宇宙を旅してんねん。ウチがまだ若いうちに叶えとうてな。」

あつし「そういやお姉さんの夢って何?」

かるた「そりゃ決まっとるやん!運命の王子サマを見つけるんや!無限大に広がる多次元宇宙やで、絶対何処かに理想の男がいるに違いないで!」

けん「あー……(無理そう)」

かるた「おいガキンチョ、失礼なこと考えたやろ。」

みちる「そっか、かるたお姉さんにも夢があるんだね。……何もかもいつか終わりがくるもの、かぁ。お姉さんはまたここに来る?」

かるた「……そうやな。気が向いたら、休みたくなったらまた来るで。ガキンチョどもの成長した姿も見たいしな。」

みちる「理想の王子サマになってたりして。」

かるた「ハハッ!言うやんけ!ほなら少なくともウチよりは強くならへんとな!」

みちる「うーん……そりゃ厳しいな。」

かるた「ま、みちる君ならエエ男になるで。ウチが保証したるわ。」

みちる「ありがとう、かるたお姉さん。」

かるた「ほな、またな!」

みちる「またね!」

ヴン……

けん「なんかここ数週間、嵐のような日々だったな。」

あつし「ああ……正直かるたお姉さんは迷惑だったけど……いなくなったらなったで少し寂しいな。」

みちる「また、来るさ。ご飯でも貰いにね。」

けん「……確かに!」

あつし「早速ポンとランを連れてみちるん家行こうぜ!」

みちる「いぇい!行くぞ〜。」

僕はきっと忘れない。
ポンとラン、お姉さんがいなくなってもこの杜山公園には来るだろう。
一ヶ月にも満たない時間だったけど、楽しかったんだ。
忘れたくないんだ。
この公園の一ノ瀬かるたのことを。

fin.
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