3章 公園の自分勝手な少年

かるた「みちるくぅん、お金貸して♡」

かるた「よっ、少年。今日は元気ないな。どしたん?」

かるた「お腹すいたわ〜。駄菓子でもええからくれへんか?」

かるた「見てみぃ、少年。ポンとランがウチにもご飯分けたれって言っとるように見えへんか?……あ、見えない?そっか。」

かるた「少年!」

かるた「少ね〜ん!」

かるた「お金。」

かるた「フッ……ご飯ください。」



みちる「……いつになったら働くの?僕のお小遣いも限界なんだけど。」

かるた「そんなウチがみちる君のヒモになってるみたいに言うなや〜。お礼はするて!」

みちる「そう!それ!お礼ってなにさ。まだ何も貰ってないんだけど。」

かるた「それはぁ……ウチと友達として過ごすことや。どや、うれしいやろ?」

みちる「……チッ!」

かるた「え、嘘ぉ舌打ち?……冗談やって!本気にならんといて!」

お姉さんの安らぎのために目を瞑ってご飯をあげてたけど……

みちる「いい加減にしないともうご飯持ってこないよ。」

かるた「ちょい待ち!……これでどうや?」

かるたお姉さんはポータルから金塊を取り出した。
……金塊!??

かるた「これなら高く売れるやろ。」

みちる「え?これ本物?受け取れないって!」

かるた「なんや、お礼が欲しかったんやろ?ウチはこの世界の人やないから売れへんけど、みちる君のお父さんとかなら売れるやろ?」

みちる「そうだけどそうじゃない!それに父さんに怒られちゃうよ。……父さんは僕の話なんか聞いてくれないし。」

かるた「ふーん……ほな、ウチが説明しに行ったろか?みちる君のときみたいに多次元宇宙ツアー連れてったら理解るやろ。」

みちる「いや……父さんはそれでも怒ると思う。頑固で意地っ張りなんだ、ポンとランを飼わせてくれないし!」

かるた「なんや面倒くさい性格しとるな〜。今までどんくらい訴えたんや?」

みちる「えっと……2回くらい?」

かるた「ハァ?そんなんで諦めとんの?一回ガツンと言ったれや。きっと父ちゃんはみちる君のこと舐めとると思うで。」

みちる「でも……父さん怒ったら怖いし……すぐ怒鳴るし……。」

かるた「ウジウジ言ってないでやってみぃ!」

みちる「(この人、僕に食べ物もらってるのによくこんなにズカズカもの言えるなぁ。そういうとこは見習うべきかなぁ?)」

かるた「ま、ええわ。みちる君にはみちる君のペースがあるやろからな。」

けん「おーい!みちる、かるたお姉さん。」

みちる「けん君。」

けん「ほら、ポンとランを育ててくれる人探してたろ。」

かるた「なんや、そないことしとったんか。」

けん「見つかったんだよ!飼ってもいいって人が!」

みちる「えっ……」

かるた「良かったやん!これでポンとランの分のご飯もウチが貰えるっちゅーわけやな!」

けん「いやそうはならんだろ。」

みちる「……。」

けん「みちる、どうしたんだ?あんまり嬉しそうじゃないな?」

みちる「けん君……その話、一旦待ってもらえることはできるかな?」

けん「え?……まぁ、できると思うけど。なんでだ?」

みちる「僕、ポンとランが大好きだ。あいつらが幸せに暮らすためならなんでもしたい。けど……他の人に世話してほしくない……。」

けん「まあ、気持ちはわかる。」

みちる「でも……僕ん家では飼えない。父さんも母さんも反対するし。」

かるた「ほならどうすんのや。」

みちる「本当のこと言うと……ずっとこの公園であいつらの世話していたいんだ。」

けん「……。」

かるた「今はそれでもええかもな。でもな、みちる君が高校生になって、大学生になって……遠くに暮らさなアカンなるかも知れへんやろ?そんときはどうすんのや。」

みちる「……。……うーん、けん君かあつし君が世話する……とか?」
けん「あんま保証できないけどな。」

かるた「……なんや、他人頼みやん。自分の都合で公園で飼いたい言うとんのに。それなら育てたい言うてる人に渡したほうがええんやない?」

みちる「……!……そ、それは。僕、今日は帰るね……」

けん「お、おう。また明日学校で……」

かるた「あちゃ〜、言い過ぎたわ。明日謝るか。……ところでけんクン。」

けん「え、なんすか?」

かるた「ご飯もってる?みちる君からもらい損ねたんや。」

けん「……。」



みちる「……ッ!」

かるた(回想)「……なんや、他人頼みやん。自分の都合で公園で飼いたい言うとんのに。」

みちる「……わかってるよ。僕だってそれくらい。」

みちる父(回想)「お前には無理だ。やめておけ。」

みちる「うるさいな……!」

気づけば家の前まで来ていた。
なんだか足取りが重い。
魔王城の前まで辿り着いた勇者のような気分だ。

みちる「……ただいまー。」

みちる母「おかえりみちる。今日ははやかったわね?」

みちる「学校がはやく終わったんだ。……ねえ、犬と猫、飼っちゃ駄目だよね?」

みちる母「……何度も言ってるでしょ、みちるにはまだはやいって。……何よりお父さんから許してもらわないと。」

みちる「……だよね。」

みちる父「ただいま。」

みちる母「おかえりなさい貴方。貴方もはやかったわね。」

みちる父「ああ、案外商談がスムーズに行ってな。みちる、帰ってきてたのか。」

みちる「父さん……あーと……うーんと。」

みちる父「?どうしたんだみちる?言いたいことがあるなら言いなさい。」

みちる母「この子、またペットを飼いたいって言ってるのよ。ほらこの前言ってた、犬と猫の話。」

みちる父「成る程な……諦めなさいみちる。お前にはまだはやい。飼うとは命を預かることだ。飽きっぽいお前には任せられん。父さんも母さんも忙しいんだ、世話なんかしてる暇はない。……わかったか?」

みちる「……うん。わかったよ。」

また、一歩踏み出せなかった。
かるたお姉さんにボロクソ言われても仕方ないな。

みちる母「……仕方ないの。宿題や学校を頑張ってたらきっとそのうちお父さんも認めるわ。」

みちる父「そうだな、そのうちな。」

きっと嘘だ。
父さんも母さんも休みの日はダラダラしてるし、夜はお酒を飲んだりしてるだけじゃないか。
よく知らないけど、母さんだって昼間はドラマとか見てるだけなんじゃないの?
大人は自分勝手だ。
1/1ページ
スキ