ボクがボクであるとき
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来シーズンに放送されるスペシャルドラマの主演が決まった。
ヒロインだけはまだ決まっていないが、共演者はなんと陸だ。
初めは双子設定で、なんて話があったようだがそこは両事務所が必死に止めたらしい。
まさか本当の双子であることは、世間に知られてはならない。
──────────
「天に…じゃなかった、九条さん!今日から撮影、よろしくお願いします!」
撮影スタジオにやってきた自身の片割れは、ボクを見つけると一目散に駆けよってくる。
背後にはぶんぶん振り回される尻尾まで見えてきそうだ。
「こちらこそよろしくお願いします、七瀬さん」
「へへ、まさか仲良しの幼馴染役を一緒にやるなんて!もうずっと楽しみで、メンバーにも何回も自慢しちゃいました!」
「んん"っ」
「大丈夫ですか?喉の調子が悪いとか?」
「いいえ、問題ありません」
今となっては隠す気はないが、ボクは自他共に認めるブラコンだ。
だってこの弟が可愛すぎるんだから仕方ない。
「一緒に幼馴染をやるヒロイン役の人、やっと決まったんですよね」
「そうみたいですね。随分撮影のギリギリまで役に合う人を探していたようで、今日が初顔合わせですぐ撮影になってしまったみたいですよ」
「どんな人かなぁ?仲良くなれるかな?」
「どんな人でも、仲の良い幼馴染三人組っていう設定ですから、そう演じるだけですよ」
「格好いい~!オレも頑張ります!」
昔から陸に褒められると悪い気がしない。
そうして乗せられて、結局甘やかしてしまうんだからどうしようもない。
今回は仕事だ、キッチリと公私を分けなければ。
「ヒロイン役のなまえさん入りまーす」
そうこうしてるうち、役者は揃ったようだ。
撮影スタジオの扉から今回のヒロイン役が入ってきた。
『なまえです。九条さん、七瀬さん、今日からよろしくお願いします』
「…キミ!」
『…久しぶり、天!また会えて嬉しい』
そして抱きついてきたなまえを受け止める。
周りはざわついたが正直どうでもいいというくらい混乱している。
「日本にいたの?!まさかなまえが相手役って!」
『ビックリした?私もこの話を貰った時に、相手が天だって聞いて驚いたよ。たまたま日本で一度勉強しようと戻ってきたタイミングで、急遽決まったんだ』
してやったり顔の彼女が少し腹立たしい。
連絡先も知ってるんだから、事前に報告できただろうに故意に黙っていたようだ。
「あのー…天、じゃなくて九条さんとなまえさんはお知り合いですか?」
蚊帳の外になっていた陸が恐る恐る訪ねてくる。
それでようやく我に返って、彼女と少し距離をとった。
「アメリカにいた時、同じスクールで演技やダンスを習ったんだ。日本に戻ってからは疎遠になってしまったけど、当時はよきライバルって感じだったかな」
『同郷だ!って嬉しくて声をかけたのに最初は凄く素っ気なくて。なんだコイツって思ってたけど、スクールでは常にトップの成績だったから実力は認めざるを得なくて。負けないように必死にやってたらいつの間にか仲良くなったよね』
「なまえの演技は目を引くものがあったから、ボクも一目置いていたよ」
『そんなこと当時は言ってくれなかったのに!』
彼女とのこの感じが懐かしい。
気心が知れた相手との仕事とあって、今回のドラマは上手くいくような気がした。
「いやぁ、まさか九条くんとなまえちゃんが知り合いだったとは!七瀬くんともアイドル同士仲が良いと聞いているし、今回のドラマ撮影もみんなよろしく頼むよ!」
「はい!よろしくお願いします」
そしていよいよ、撮影が始まる
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