マイヒーロー
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「ゼロみたいなアイドルになる!」
『みつきくんならなれるよ!だってわたしのヒーローだもん!』
いつも一生懸命な君はキラキラと輝いていた。
私はそんな君の一番のファンだった。
親戚のお兄ちゃんの三月くん、弟の一織くんとはとても仲が良かった。
一人っ子だった私は兄弟に憧れていて、本当のお兄ちゃんと弟のように思っていたし家も近くだったのでしょっちゅう和泉家に遊びに行っていた。
好きな遊びはアイドルごっこ。
三月くんと一緒に歌って踊ったり、お客さんになって見ているのも大好きだった。
「またオーディション、駄目だったわー」
『三月くん…』
何度目かも分からない彼からの報告。
夢を叶えるためにたくさんのオーディションに参加しては、実らない日々にもどかしさばかりが募っていった。
「兄さん、次は一番の武器である可愛らしさを最大限発揮して…「いいから!」」
「そういうの、いいよ。俺は俺らしく頑張りたい。お前にどうこう言われたくないから!」
そう言って荒々しく部屋に駆けていく彼にかける言葉が見つからない。
三月くんはあんなにも魅力的で、努力だってたくさんしているのに。
「私なら、兄さんを最大限活かして立派なアイドルにしてみせるのに。…兄さん、怒ったでしょうか…。」
『…大丈夫だよ、今はそっとしておこう』
三月くんにも、一織くんにも何も言えない自分がもどかしい。
どうしたら何か力になってあげられるんだろう…。
「なまえ、この前はごめんな。みっともないとこ見せちまったよな」
『そんなことないよ!…一織くんとは、仲直りできた?』
「あーうん…。謝ったけど、全然気にしてないって…。俺に余裕がないばっかりに、一織にもひどいこと言っちまったよな…。」
自分を責めないで。
辛いときまで、無理に良いお兄ちゃんでいようとしないで。
あなたはあなたのままで、みんなから愛されてるんだよ。
『私、三月くんの歌が聴きたいな』
「え…?」
『ゼロの歌がいい!うたって!』
そう言いつつ私が先に歌いだすと、三月くんも笑って歌ってくれた。
私達の歌が聞こえたのか一織くんもやってきて、二人のコール アンド レスポンスに応えて仕方なさそうに、でも泣きそうな顔になって一緒に歌ってくれた。
そんな顔を見ていたら我慢できなくなって、私が一番に泣いてしまった。
そしてつられるように三月くんが、一織くんが泣き出して、でも三人とも歌うのはやめなかった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『え、スカウトされた?』
「おう!一織と一緒に、アイドルグループに入りませんかって!デビューはまだまだ先だけど、これで夢に一歩前進だぜ!」
『やったー!おめでとう三月くん!』
「何度も諦めそうになったけど、ここまで頑張れたのはなまえのおかげだ!ありがとな!」
そうして眩しい笑顔の君がテレビで活躍するようになるのは、もうすぐ先のお話。
fin.
2022/11/14
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