I wish
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「よし、じゃあ次は何がしたい?」
『はい!お兄ちゃんと一緒に、料理がしたい!』
「料理か…。生憎、俺はあまり得意じゃないな」
『知ってる!けど大丈夫!今度は私が教えてあげるね、お兄ちゃん!』
「そうか、それは頼もしいな」
「なんだかあの二人、段々と本当の兄妹みたいに見えてきましたね」
「ああ、これは反響間違いないぞ」
次の撮影の準備がされるなか、スタッフの間ではそんな会話がされていた。
「で、今日は何を作るんだ?」
『私の得意料理、ふわふわたまごのオムライスを作ります!』
「はは、いいな!さぞかしふわふわしてるんだろう」
『ふわっふわだよ!任せて!じゃあお兄ちゃんはこれ、玉ねぎをみじん切りにしてください』
「みじん切り?ミジンコみたいにってことか?」
『あー違う違う!やっぱなし!皮だけむいて!』
「ん、こうか?」
『そうそう、それが終わったらサラダはお兄ちゃん担当ね!』
「契約農家から届いたオーガニックの採れたて野菜だろうな?」
『ちっがーう!今日は庶民的な普通のサラダでいいんです!』
「そうなのか?まあいい、今日のところはなまえの言うことに従うさ」
そんなやりとりをしながらも、自信満々なだけあって調理は順調に進められていく。
撮影慣れしているわけでもないのに、スタッフに言われたことに対応しながら取り組んでいる様にはこちらも大変助けられた。
『じゃーん!特製オムライスとサラダとスープ完成~!』
「見た目はよく出来てるな。よし、じゃあお兄ちゃんが食べさせてやろう」
『え!なんで?!むりむりむりむりむり!』
「いや、カンペで指示が出てるんだ。ほら」
『そんなご褒美タイム聞いてない!でも仕方ない、他の視聴者さんのためなら!』
「はは、物分かりがいいな。それじゃ、あーん」
『…あーん、もぐもぐ…ってやばーい!せっかく緊張しなくなってきたのに!またドキドキしてきた!』
キャッキャとはしゃぐなまえを見ているのは悪くない。
別撮りでもうワンテイクと言われ、興奮さめやらないままにまた食べさせてやるが、もう顔が茹でダコ状態で、そんな表情をさせているのが自分だと思うと気分が良かった。
「すみません。今のところ、編集で彼女の顔は写らないようにしてください」
こっそりとプロデューサーにそんなお願いをしておいた。
「時間的に、次がラストだそうだ。最後に何がしたい?」
『お兄ちゃんと一緒に、ゲーセンに行きたい!』
高校生らしい最後のお願いで、ゲームセンターにやってきた。
クレーンゲームで景品を獲ったり、エアホッケーで勝負したり、楽しそうななまえにつられて自分も柄にもなく、ついはしゃいでしまった。
そろそろ、というスタッフの合図に、もうそんな時間かと内心ガッカリしている自分がいた。
『お兄ちゃん、最後に二人でプリクラ撮ろう』
そうして二人でプリクラの撮影ブースへ。
自分から言い出したのに少し緊張していたなまえは、それでも女子高生の勢いか、バッチリ撮影を済ませると今度はラクガキブースへ。
隣で何やら色々と書いていたが俺はよく分からないので、とりあえず前にŹOOĻのみんなで撮ったときのように【なまえ】【虎於】と名前を書いておいた。
「ではこちらで最後にコメントを撮っていきます。まずはみょうじさんから。その後に続けて御堂さん、お願いします。」
『えーと、お兄ちゃん…はもう終わりだから、虎於くん。今日は一日夢のような体験ができて、とても嬉しかったです。私は一人っ子だから、お兄ちゃんがいたらこんな感じかなーって考えながら一緒に過ごして、本当に幸せな一日で、楽しかったです!』
「俺も兄になるなんて初めての体験だったが、案外悪くなかったな。なまえが楽しんでくれたなら、今日は大成功ってことでいいよな」
そうして終えた長かったような短かったような一日は、後日放送された際には大反響で。
その後もなまえとは個人的にやりとりが続いていて、兄と妹のような関係がいつしか別のものに変わっていったのは、また別の話である。
fin.
2022/12/13
2/2ページ