君にyell
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ŹOOĻの三人は見てしまった。
トウマが見知らぬ女性と揉めているところを。
そもそも、最近トウマの様子がおかしかった。
誰かと頻繁に連絡を取っているようだったし、スマホを見ながら思い詰めた顔をしてタメ息をついているところを何度も見た。
それとなく話を聞こうとしてもはぐらかされたので、三人は思っていた。
あ、これまた昔のメンバーと連絡取り合ってる?
そして今日、仕事が終わって楽屋に戻り、スマホを見たトウマが慌てて帰って行ったので、三人も慌てて後をつけてきたところだった。
『トウマくん、私本当に昔のことなんて気にしてないよ?ただまた一番近くでトウマくんのことを応援していたいだけ』
「いや…でも俺、なまえのこと傷つけておいて、また都合良く一緒にいることなんてできねぇし…」
『あの時はトウマくんが傷ついてたんだよ。だから私も、今は離れるのがいいのかなって何も言わなかった。でも今またŹOOĻとして頑張ってるトウマくんのそばにいたいっていうのは、ダメなのかな…?』
「ダメっていうか、俺が俺を許せねぇっていうか…」
『…トウマくんが、もう私の顔も見たくないって言うなら、二度と目の前には現れないよ…』
「っそんなこと思ってねぇ!連絡くれた時はすげぇ嬉しかったし、俺もずっと会いたいって思ってたけど…」
「ねぇ聞いた?」
「聞きました。」
「あれはどう考えてもトウマが悪いな」
三人はトウマ達の死角に隠れながら、会話が聞こえる距離でずっと聞き耳を立てていた。
そして何も言わずとも、三人の意見は一致していた。
「ただのヘタレですね。」
「女にあれだけ言わせておいてハッキリしないのは男じゃないな」
「ていうかもうムカつくから文句言ってきていい?」
「~~~っなんだよ!もう聞こえてんだよっ!」
「あら、気付かれてしまいました。」
「いや、見えてなかったけど…!さすがにこの距離じゃ声は聞こえるから!」
「トウマ、女に恥はかかせるもんじゃない。いい女じゃないか、俺が貰ってやろうか?」
「やめてくれ!コイツはそういうんじゃないんだ!」
「トウマの気持ちはハッキリしてるんじゃないの?なんでうだうだ言ってるわけ」
「っあーもう!なんなんだよおまえらこういう時ばっかり!」
そうして頭を抱えてしまったトウマだが、そんな彼の背中を優しくさする彼女の行動を、巳波はしっかりと目にしていた。
「初めまして。ŹOOĻの棗巳波と申します。狗丸さんとあなたのご関係は?」
『あ、初めまして。私とトウマくんは…昔の知人です』
「知人?…恋人じゃなく、ですか?」
『トウマくんとはNO_MAD時代に知り合ったので、音楽活動をしている彼の邪魔はしたくなくて。一番近くで応援してあげたかっただけなので』
「ほう。つまり、大人の関係ってやつか?」
「っちげぇから!トラはちょっと黙っててくれ!っていうか!これは俺とこいつの問題だから、三人は気にせず帰ってくれ!」
そう言って無理矢理三人を彼女から引き離し、帰そうとするトウマだったが、それを止めたのは彼女であった。
『トウマくん、そんな言い方はよくないよ。今日はもう帰るね。また連絡するから、落ち着いた時に返事ちょうだい』
そうして三人にも会釈をして去っていく彼女を見送る。
見えなくなったところで、三人からは一斉に落胆のタメ息が出た。
「「「追いかけないんだ」」」
「こういうところがあるから、お付き合いにまで発展しなかったんですね。」
「つくづく残念だよ、トウマ」
「あの人本当に可哀想」
「…だーから!なんなんだよおまえら!」
「「「いいから行ってこい!」」」
三人に尻を叩かれ駆け出していくトウマ。
進展がないまま戻ってきたら容赦しないと思いながらも、メンバーの幸せを願う一同であった。
fin.
2022/12/8
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