第二楽章
「あれ、…ネリネさん眠そう?私で良ければ膝枕しますよ!」
考え事でもしていたのか、ぼんやりとしていた様子のネリネにセレナータさんが声をかける。
「えっ…え?あぁ、いやなかなか暇だなぁ~と思ってちょっとぼーっとしてました…へへ、心配させてしまったなら申し訳ないです」
「あっ膝枕はスルーの方向…!」
そんな彼らの会話に思わず苦笑いをこぼす。
「いやほんと、暇だよ暇!アルフィーネの奴らも来るならさっさと来てくれればいいのに」
待ちくたびれたのか、フォルテが不満そうな顔でため息混じりにぼやく。
「まあでも何も起きずに終わるならそれでいいよ、俺は」
そう言って二人で笑った時、俺は誰かの声を聞いた。
「ふふ、こんなところで二つの組織が揃ってるって言うのにアルフィーネは仲間外れって訳?寂しいなあ、僕たちも混ぜてよ!」
唐突に現れたその声の主の方を咄嗟に振り向く。
「わ、おま、アルフィーネのチャラ男…!?」
「んもうペトラ、ね。あれっ何君またカステラ食べてるの?あは、そのうちカステラになっちゃうんじゃない?」
「……う、るさい、わよ…」
フローラは視線を逸らして俯く。彼がここに居るということは、やはり第五教会への奇襲にアルフィーネが来るのだろうか。
「なんで、君はここにいるんだ?何か用事でもあるの?」
恐る恐る尋ねる。
「なんでここにいるか…って?はは、それより君らは僕とお喋りしてる暇なんてないんじゃないの」
「は?どういう意味だよ、それ」
冷たく言い放つ彼にフォルテが怒気を含んだ声で訊く。…のと同時に、フローラが勢いよく立ち上がる。
「あ、…!?」
「ど、うしたの、フローラ」
さっきのアルフィーネの彼の喋り口といい、今のフローラの行動といい、嫌な予感がしない訳がなかった。
絞りだしたようなフローラの声は小さなものだったにもかかわらず、俺の脳内をぐらぐらと揺さぶるように俺の体内で反響していた。
“第五教会が、燃えてる。“