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第九楽章


「ツィスティアさん、こちらの準備はほとんど終わりましたよ」

自分の一つ下の青年がこちらに声を掛ける。

「ご苦労だった。………おいヴィーゲンリート構成員?何をしている」
「えぇ!?い、いやだなぁ副指揮官…まさかそんな、観葉植物にあげていた筈だった栄養剤が?実は洗剤だったから?必死に水で薄めているだとか?そんなことあるはずないですよ、ねぇラルシェさん!?」
「あ、うーん…元祖フローラルに人工のフローラルを付けるのは少々如何なものかと思っていましたが、それがセレナさんの楽しみ方であるなら俺が口を出す必要はないかなと…」

何?観葉植物に?洗剤?何を考えているんだこいつは…。
「観葉植物から人工のフローラルが香る分には構わんが、頼んでいた仕事は済ませたのかヴィーゲンリート」
「……人工のフローラル…。あ、はい。そちらはもう完膚なきまでに実行済みです。異常も特には」

ならいいんだが。まったく、どうしていつもこいつはこうも腑抜けの間抜けなんだ?その面ではもう少し指揮官を見習ってほしいものだが。

「ツィスティアさん、実行は明日…でいいんでしたよね」
「あぁそうだ。おそらく明日が全てにおいて最高のタイミングであると言える。………頼むから遅刻だけはするなよヴィーゲンリート?」
「なんで私!?」
「原因なら自分で一番分かっているだろう…」

言ってしまえば、こいつはろくに寝ることがないのでそもそも寝坊が原因の遅刻をするはずはないのだが、どうにもそれ以外の理由での遅刻がやたら多い。タンスに両足の小指をぶつけた、鞄に蛇が住み着いていた、石鹸を誤飲して腹を下した…など非常に下らない。

そう、下らないのだ何もかも。もはやため息すら出ない。

「ではあらためて宣言でもしておこうか」


かんと静かな空気の中に雨音がよく響いた。


「明日、計画の全てを実行する。メジアの全てを壊し、マイナの全てをもって再構築しろ。」



この計画をもって、俺らが全てを破壊する。


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